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868話 プレラの前に現れたのは?
◇プレゼント◇
ギルゴール?
プレラは、
自分に声をかけた人が
ギルゴールであることに気づいて
戸惑いました。
さっきも会ったのに、
どうして、急に、
大きくなったって言うのかと
不思議に思いました。
プレラは、
自分が、もう大きくなったのかと
尋ねました。
その質問に男は首を傾げて笑いました。
心地より笑い声が四方に広がりました。
男は、
自分のことを、お父さんだと
思っているのかと尋ねました。
プレラは「お父さん?」と
聞き返すと、
自分の父親はラナムンだと答えました。
男は、
自分の父親はギルゴールだと
主張しました。
どう見ても、男はギルゴールなのに、
自分の父親がギルゴールだと
彼が主張すると
一体、これはどういうことなのか。
あの人はどうしたのかと、
プレラはさらに混乱しました。
プレラが呆然としていると、
男は、膝を曲げて
片方の瞼を下げながら、
「目を見て」と言いました。
紫!
ついに
プレラはギルゴールと男の違いを知り
悲鳴を上げました。
ギルゴールの目は
きれいなバラ色でしたが、
この男は紫色でした。
驚いたプレラは、男に、
あなたは誰なのか。
ギルゴールとそっくりだと尋ねると、
男は笑いを爆発させながら、
プレラは、よくグリフィンと
遊んでいるかと尋ねました。
プレラは、
グリフィンのことが好き。
ダンスも踊ってくれるからと
答えました。
男は、
自分はギルゴールの息子だと
打ち明けました。
プレラは、
でも、どうしてこんなに大きいのか。
自分はまだこれくらいで、
クレもこれくらいなのにと
尋ねました。
男は、食事をよく食べたから
早く大きくなったと答えました。
プレラは、
何をどれだけよく食べれば、
あんなに背が高くなれるのかと
依然として理解できませんでしたが
ぼんやりと頷きました。
シピサはシピサで、
少し前までは、
大きな野菜ばかり食べていた赤ちゃんが
話をして、一人で立っていたりする姿が
不思議で、子供をあちこち見回しながら
どうして一人で遊んでいるのか。
ラナムンはどこへ行ったのかと
尋ねました。
プレラは、
喧嘩をしに行ったと答えました。
シピサは「どこへ?」と尋ねると
プレラは、
母親の旦那さんたちの所と答えました。
お父さんは忙しそうだねと
シピサは指摘しました。
プレラは、
母親に夫が多いということを
少しも異常だと
思っていない様子なので、
シピサは不思議に思いながらも
感心しました。
プレラはプレラで、
いくら見ても、自分の兄弟というには
あまりにも大きな
ギルゴールに似ている人が不思議で、
砂遊びを続けるふりをしながら
定期的にシピサを横目で見ました。
でもあの変な人は
ギルゴールと同じ顔をしているので
怖かったり嫌ではありませんでした。
プレラは、
ギルゴールの息子の名前は何かと
尋ねました。
シピサは「シピサ」と答えました。
プレラは、
シピは、どこにいて、
そうして、今頃、来たのかと
尋ねました。
シピサは、
急に背が高くなったせいで
足が痛くなり、治療をするために
長い間、療養していたと
適当に言い繕うと、
子供が一人で作った
砂の塊を見回しながら、
プレラのお父さんはともかくとして、
どうしてプレラは
一人で遊んでいるのか。他の人は?
と尋ねました。
プレラは、
クレはクレお父さんと一緒にいると
答えました。
シピサは「末っ子は?」と尋ねると
プレラは、
砂をしっかりとつかみ、
塩を撒くように振りかけながら、
あの子は赤ちゃんだし、
自分も見ていない。
でもクレは赤ちゃんを見たらしい。
自分はお姉さんなのに見ていない。
自分も赤ちゃんが見たいと
打ち明けました。
シピサは、プレラの小さな頭頂部を
見下ろしながら、
この子を取り巻いていた
妙で鋭い雰囲気を思い出しました。
もしかして、あの時代の雰囲気が
ずっと続いているのだろうかと
考えました。
シピサは、子供が砂を
あちこちいじっているのを見て、
カバンから3つのプレゼントの箱を
取り出しました。
彼は躊躇いながらも、
箱を3つともプレラの前に置き、
「これは君へのプレゼントだ」と
言いました。
プレラは目を丸くして
シピサを見上げると、
「この中のどれ?」と尋ねました。
シピサは「3つとも」と答えると、
プレラは「全部?」と聞き返しました。
シピサは「そうだ」と答えると、
プレラはどうすればいいのか分からず
ずっと砂をいじくり回しながら、
本当に全部、自分にくれるのかと
尋ねました。
シピサは「もちろん」と答えました。
プレラは、
今日は自分の誕生日でもないのに・・
と躊躇いましたが、シピサは、
久しぶりに会ったのが嬉しくて
プレゼントするんだと言いました。
プレラは顔いっぱいに喜びを湛えて
ひよこのように、
プレゼントを胸に抱きしめました。
シピサは、子供の頭を撫でて
立ち上がると、
皇帝はどこにいるのかと尋ねました。
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◇
プレラは、
皇帝が寝室にいると言いましたが、
シピサが寝室に行ってみると
皇帝は仕事に行っていないと
言われました。
シピサがギルゴールだと思った
侍女長は、
赤ちゃんが生まれてから、
何日も立っていないのに、
もう仕事に行くなんて、とても心配だと
本音を吐露しました。
彼女の誤解に気づいたシピサは、
目を伏せて頷くと、
すぐにその場を離れました。
幸い、シピサは、個人の執務室で
皇帝に会うことができました。
ラティルは、
執務室へ来たついでに、
席を外している間に、
溜まった仕事をしていました。
そうしているうちに、
突然シピサが現れると、
ラティルは嬉しくてペンを下ろし
両腕を広げながら彼に近づくと、
久しぶりだね。 元気だった?
と尋ねました。
シピサは、
弟妹たちが、たくさん生まれたという
話を聞いて
急に皇帝が恋しくなって来たと、
照れくさそうに呟くと、
ラティルにあげたくて
別に持って来たプレゼントを
取り出しました。
何?何?
ラティルが浮かれて
プレゼントの包装を剥がしている間、
シピサは静かに微笑んだまま
その姿を眺めました。
ラティルはシピサに
ギルゴールに会って来たかと
尋ねました。
シピサは、
一番最初に皇帝に会いたかったと
答えました。
ラティルは、
「本当に?」と聞き返した後、
ギルゴールが寂しがると言いました、
シピサは、構わないと答えたので、
ラティルは笑いながら、
ギフトボックスを取り出しました。
それを見ていたシピサは、
皇帝より先に
偶然、プレラに会ったことを
思い出して、それを伝えました。
そうなの?
と聞き返すと、ラティルは、
箱からどんぐりのような宝石を取り出し
手のひらに置いて、
あちこち見回しました。
これは何だろうと思いました。
シピサは、プレラが
随分大きくなったと感心しました。
ラティルは、本当に子供たちは
すくすく大きくなると返事をすると、
シピサは、
プレラが一人で遊んでいる姿が
寂しそうだったので
プレゼントを三つあげたと
話しました。
ラティルは、三つもあげれば
プレラは喜んだだろうと言うと
シピサは、元々、弟妹に
一個ずつあげようと思っていたけれど
プレラが寂しがっているのを見て
可哀想に思ったと打ち明けました。
宝石を転がしていたラティルは
その言葉に戸惑いました。
シピサは
ラティルをじっと見ていたので、
すぐにその反応に気づき、
どうしたのかと尋ねました。
ラティルは、
小さくて、かわいい宝石を
じっと見下ろしながら、
少し前に思いついたことを
言ってもいいか迷いました。
久しぶりに良い雰囲気でやって来た
シピサなので、
ずっと親密な雰囲気でいたいと
思いました。
シピサはラティルが沈黙すると、
むしろ、もっと怖くなり、
たじたじしながら近づいて来ました。
シピサがギルゴールに似た顔で
怯えた表情をすると、ラティルは、
気持ちが沈んでしまったので、
大したことではないけれど、
妹たちへは、なるべく同じように
プレゼントしたらどうかなと
結局、打ち明けました。
シピサは目を丸くしました。
全く同じにするのかと
聞き返すシピサに、ラティルは、
他のことはともかく、
プレゼントだけは、
プレラとクレリスに同じようにあげた。
もう末っ子が生まれたので、
3人に同じようにあげなければと
説明しました。
その言葉に、シピサが黙っていると、
ラティルは、
うちのシピサは大人だから、
必ずプレゼントを、同じように
あげなくてもいいということを
知っているけれど、
しかし、弟妹たちは幼過ぎて
もしかすると、
寂しがる子がいるのではないかと
気になると話しました。
正確には、子供たちの間に
不和が生じる可能性を
気にしていました。
ラティルは、
シピサの反応をチラッと見ました。
もしかして、
自分がプレゼントしたのだから
好きなようにしたいと
言うのだろうかと考えました。
実際、シピサは、ラティルが
子供たちの間に自分まで含めて話すと
それが恥ずかしくもあり、
嬉しくもあったので、
顔が真っ赤になっていました。
幸いにもシピサは、
ラティルの意見を理解し、
自分の考えが浅はかだっと
言ってくれたので、
ラティルは安心して
彼をギュッと抱きしめました。
そして、彼を離しながら、
ところで、シピサがくれたこれは
何に使うのかと尋ねました。
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◇姉妹喧嘩◇
さらに30分ほど、
シピサはラティルと
楽しく話をしましたが、
皇帝と話をするのを待つ人は
あまりにも多く、
彼は、名残り惜しそうに
別れの挨拶をした後、執務室を出て、
先程、プレラ皇女が
一人で砂遊びをしていた所へ
行きました。
ところが、すでに子供はそこにおらず
一人の下女が、
あちこち飛び散った砂を
片付けていました。
シピサは、
皇女がどこへ行ったのか見たかと
尋ねました。
下女は急いで頭を下げながら、
ラナムンと一緒に
プレイルームに行ったと答えました。
彼女は、まだシピサを
ギルゴールだと誤解していましたが、
シピサはあえて訂正せずに、
プレイルームの場所を尋ねました。
下女は、ギルゴールが、
突然、その場所を忘れたことに
慌てましたが、
とにかく、プレイルームの場所を
教えました。
シピサは、彼女が教えてくれた
ハーレムの出入口に一番近い
3階建ての小さな建物に
行ってみました。
下女は建物一つが
丸ごと遊び部屋だと話していました。
シピサが部屋の扉を開けて入ると、
小さなパーティー会場のように
飾られた所で、
プレラが、彼女より少し幼く見える
赤毛の女の子と遊んでいました。
遠くない所で、
子供たちを見守っていた担当下女たちは
シピサが入ってくると、
頭を下げて挨拶しました。
下女たちは、
子供たちを呼ぼうとしましたが、
シピサはそうするなと合図し、
遊ぶのに忙しい子供たちに
近づきました。
シピサ!
彼を発見したプレラが、
先に知っているふりをして
ピョンピョンすると、
赤毛の子供も振り返りました。
シピサは、
どうして、あんなに
父親に似ているのかと、
父親たちにそっくりな子供たちを見て
笑いました。
しかし、
ギルゴール様ではなかったようだと
下女たちがひそひそ話す声に、
シピサは子供たちを見て
自分が笑う境遇ではないことに
気づきました。
クレリスは
ギルゴール?
と尋ねると、プレラは、
ギルゴールではなく、
ギルゴールの息子だと訂正しました。
クレリスは、
どうしてあんなに大きいのかと
尋ねると、プレラは、
ご飯をたくさん食べたんだってと
クレリスにシピサが誰なのか
熱心に教えました。
シピサは、子供たちが
自分を怖がらないように
全力で口角を上げて近づきました。
しかし、ラティルに
あのように言われたものの、
実際にプレラを見ると、
自分があげたプレゼント3個のうち
2個を返して欲しいとは
言えませんでした。
与えてから奪うことほど
酷いことはないと思いました。
ところが、シピサが
どうすることもできずにいる間に、
突然、プレラが、
先程、シピサからもらった
プレゼント3個をポケットから取り出し
妹に見せながら、
シピサが自分に3つともくれたと
自慢しました。
シピサは、
さらに言いづらくなりました。
これは全部お姉様のなのかと
クレリスが驚いた表情で尋ねると、
プレラは、
満足そうな表情で頷き、
うん。全部、私のもの。
と答えました。
本当にいいな。
と、クレリスは、ぼんやりと呟くと
チラッとシピサを見ました
「私のはないの?」という表情でした。
シピサはラティルの言葉と
プレラの自慢の間で
さらに困難になりました。
しかし、子供たちに与えるプレゼントは
もうありませんでした。
クレリスは、
シピサをずっと覗き込んでも
出てくるものがないと
泣きそうになり、
背を向けておもちゃの馬車を持って
遊ぶふりを始めました。
するとプレラは、これ見よがしに
その向かい側に
シピサからもらったおもちゃを並べて、
突然楽しく遊ぶふりを始めました。
クレリスは、
我慢ができなくなったのか、
それを1つだけ欲しいと頼みました。
しかし、プレラは
嫌!
と拒否しました。
しかし、クレリスは、
1つだけ欲しい。本当に1つだけと
頼みました。
しかし、プレラは嫌だと拒否しました。
クレリスが貸して欲しいと言っても
拒否しました。
下女たちは、
シピサが子供たちといるせいか、
前に出ずに、
遠くから見守るだけでした。
シピサは慣れない状況に戸惑いながらも
ひとまず自分が乗り出して、
プレラを説得することにしました。
しかし、
クレリスはカルレインから
たくさんもらっているという
プレラが吐き出した言葉を聞くと、
シピサから、
子供を説得しようとした言葉が
すっと消えました。
クレリスは、
それはシピサから
もらったものではないと
反論しましたが、プレラは、
クレリスも、
カルレインがくれたものを
自分にくれないので、
自分もシピサがくれた物は
1人で遊ぶと言い張りました。
クレリスは、
貸してくれるのもダメなのかと
尋ねました。
プレラはダメだと答えました。
クレリスは、
自分は貸してあげているのにと
主張しましたが、プレラは、
その代わりにクレリスは、
もっとたくさん持っている。
自分にはこれ3つしかないと
言い返しました。
シピサはどうしてもプレラに
母親が弟妹たちと分けるようにと
言っていたことを
伝えることができませんでした。
クレリスは
悲しげに、すすり泣きながら
外へ出て行きました。
クレリスの担当下女が
後を付いて行くと、
プレイルームの中には、
シピサとプレラ、彼女の担当下女だけが
残ることになりました。
2番目の皇女が消えると、
むしろ、シピサはもっと気が楽になり、
ただプレラと一緒に遊んであげました。
その後、ラナムンが来る時間になったと
下女から知らされると、
プレイルームを出て皇帝を訪ねました。
皇帝に言われた通りにできなかったと
打ち明けて謝るつもりでした。
皇帝は、
しばらく仕事で忙しかったものの
彼女が先に彼に気づき、
シピサ、どうしたの?
と声をかけてくれましたが、
よりによって皇帝の後ろに
サーナットが立っていました。
泣きながら出て行った赤毛の子が
誰の子供なのかは
サーナットの顔を見るだけで
分かったので、
シピサは告白するどころか
首を横に振りました。
結局、彼は温室にいる
ギルゴールを訪ね、
やたらと彼に神経質になりました。
ギルゴールは、
久しぶりに現れたシピサが
怒っているので、シピサにも
可愛かった時期があったのにと
首を横に振りながら呟きました。
どういうことなのか。
今は可愛くないってことなのかと
シピサは不愉快になり、
ギルゴールを睨みつけましたが、
彼はシピサを見向きもせず、
花の木に水だけを撒きました。
ところが、しばらく小競り合いをして
一緒にコーヒーを飲みながらも
小競り合いしていると、
外から騒ぎが聞こえて来ました。
ギルゴールは気にしませんでしたが、
シピサは気になり、
ずっと後ろをチラチラ見ていました。
シピサは、
何があったか
確認しなくてもいいかと尋ねました。
ギルゴールは、
何があっても関係ない。
コーヒーを飲んでと勧めました。
それでも気になったシピサは
ずっと後ろを振り向いていると、
ちょうど温室の扉が開き、
ザイオールが入って来ました。
彼は、ギルゴールの位置を
把握するや否や、すぐに走って来て
今、外で大変なことになっている。
皇女様が大怪我をしたと話しました。
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ギルゴールの目は
きれいなバラ色。
ギルゴールと同じ顔をしているのに
怖かったり嫌ではない。
この言葉から、
プレラがギルゴールのことを
慕っていることが窺えました。
ギルゴールは
プレラが生まれてすぐの時も、
彼女をあやしていたので、
プレラに会う時は、
いつも優しくて親切にしていたのだと
思います。
陰で、プレラが傷つくようなことを言う
ゲスターとは大違いです。
ギルゴールは母親の夫だから
その息子は、自分の兄だと思う
プレラは賢いです。
ところでプレラは何歳なのでしょう?
クレリスとは年子で、
ラティルとラナムンの誕生日に、
サーナット卿の誓約式と
クレリスのお披露目をすると
とんでもないことを言い出した
翌年の誕生日に、
ラナムンに妊娠したことを告げたので
3歳くらいだと思うのですが、
それにしても考えていることが
大人びているように思えます。
ロードの子供だから、
他の子供よりも、精神的な発達が
早いのでしょうか?
どんなにラティルが気を遣っても
プレラとクレリスの関係に
ヒビを入れるようなことを
する人がいる。
クレリスは、カルレインから
たくさんもらっているという言葉に
どれだけ、プレラの悲しみが
こもっているかと思うと
やるせないです。
ギルゴールと最後に会った時、
シピサは議長を攻撃していた
ギルゴールに
酷い言葉を浴びせていたように
記憶していますが、
小競り合いをしながらも、
一緒にコーヒーを
飲めるようになったのは、やはり、
実の親子だからなのかなと思います。
今は可愛くないと思われていることに
気分を害したシピサは、
まだまだ子供だと思います。
サーナットは、
どこかへ行って欲しいです。
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