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問題な王子様 6話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 6話 男ではなく毒キノコ

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6話 エルナについての噂が社交界に広まり始めました。

 

今まで引き受けた

どんな令嬢よりも美人だと思う。

あの子を見れば、きっと納得すると

ブレンダは冗談を言いながら

置時計をチラッと見ました。

よりによって、

こんなに大事なことがある時に

散歩に出かけるなんて、色々と

気に入らないところがある子だと

ブレンダは思いました。

 

マイアー伯爵夫人は、

そうでなければ

無駄足を踏んだことになる。

自分は、無意味なことに

自分の時間を使うのがとても嫌だと、

優しい声で言いましたが、

目は冷ややかでした。

ブレンダは、

腸がひっくり返りそうな気分を

抑えながら微笑みました。

 

卑しい準男爵家の娘として生まれた

マイアー伯爵夫人は

伯爵夫人の座まで上り詰め、

彼女の長女は伯爵夫人、

次女は新大陸の大富豪の

妻になりました。

そして、彼女が

シャぺロンを引き受けた娘たちにも、

立派な結婚相手を見つけてやることに

成功したので、その噂を聞いた

娘を持つ夫人たちは

彼女の前に行列を作り始めました。

 

もともと彼女は、

外国で次女と一緒に

夏を過ごす予定だったので、

今シーズンは

シャペロンを引き受けないと

宣言していました。

ところが、次女は夫と一緒に

長い旅行に行くことになり、

計画が狂いました。

ブレンダは、他の家族に

彼女が奪われる前に手を打つため

あらゆる人脈を

総動員しなければなりませんでした。

 

ブレンダが夫から

初めて娘を売ると聞いた時、

ついに夫は気が狂ってしまったと

思いました。

しかし、社交界では、

崖っぷちに追い込まれた家門が

娘を結婚市場に売り出すのは、

それほど特別なことでも

ありませんでした。

もちろん、

打算的な考えを露骨に表明すれば

多少品位を落とすけれど、

今のハルディ家は、

そんなことを考えられる

境遇ではありませんでした。

何よりもエルナは、

最上級の売り物に

なってくれるはずでした。

 

結局ブレンダは、

夫のとんでもない提案を受け入れ

この夏が終わるまで、

勝負するつもりでした。 

 

マイアー伯爵夫人の眉間のしわが

深まった瞬間、

エルナが帰って来たことを

メイドが知らせに来ました。

ブレンダは立ち上がると、

「お帰りなさい。

待ちわびていたわ」と

心からの挨拶をしました。

 

マイアー伯爵夫人も

エルナを眺めました。

彼女は、新しい服を

たくさん買ってもらったにも

かかわらず、

まだ、野暮ったいドレスを

着ていました。

 

ブレンダは、

マイアー伯爵夫人を紹介し、

こちらへ来て挨拶をしてと

イライラした声で

エルナを急き立てました。

見知らぬお客さんを見て、

強張ってしまった様子まで、

間違いなく田舎者でした。

これでは、 マイアー伯爵夫人が

すぐにでも席を蹴って

出て行ってしまうのではないかと

心配でした。

 

しかし、もじもじしながら

マイアー伯爵夫人に近づいたエルナは

幸いにも、きちんと

礼儀正しい挨拶をしました。

マイアー伯爵夫人は、鋭い目で

上から下へ、下から上へ

エルナをじろじろ見つめました。

静寂に耐えられなくなった

ブレンダは、マイアー伯爵夫人に

エルナを気に入ってもらえたかと

先に尋ねました。

 

何を考えているか分からない

顔をしていたマイアー伯爵夫人は

嘘をついていないのは確かだと言って

ようやく頷きました。

そしてエルナに近づくと、

「お会いできて嬉しい。

頑張りましょう」と挨拶すると、

手袋を外し、

エルナに握手を求めました。

そして、自己紹介すると

エルナのシャペロンを

務めることになったと告げました。

机に突っ伏すように座り、

せっせと手を動かしていたエルナは、

長いため息をつきながら

背を伸ばしました。

完成したシャクヤクを見つめる目は

喜びと満足感を湛えていました。

 

頭が混乱している時は

仕事に集中するのが

エルナの長年の習慣でした。

グレベ夫人を助けて

造花を作って売るようになって以来、

想念にとらわれると

はさみを持つようになりました。

気持ちも落ち着くし生活費も稼げるので

色々と有益でした。

ここまで仕事を持って来たのは

おかしな話だけれど、エルナには

自分の体の一部のように

感じられるものでした。

 

はぎれと道具を片付けたエルナは

浴室に行き、手を洗いました。

鏡を見ながら、もしかしたら、

そんなに順調ではない1年に

なるかも知れないと、

ぼんやりと思いました。

 

ハルディ家の邸宅に移ってきてから、

もう10日近くになっていました。

その間、

子爵婦人はエルナを引きずって

数多くの派手な店を行き来し、

彼女に服を着せては脱がせ、

山のような品物を買い入れました。

エルナには、何の選択権も

与えられませんでした。

 

浴室から出て来るエルナを見た

メイドが、

嬉しそうに彼女を呼びました。

彼女は、エルナが

どこかへ行ってしまったのかと思い

驚いていたと言うと、エルナは

彼女に心配をかけたことを

謝りました。

その態度に当惑したリサは、

両手と首を横に振りながら

だからといって

謝るほどのことではないと

言いました。

 

少し恥ずかしそうに

にっこりしたエルナは、

お茶が用意されたテーブルの前に

近寄りました。

躊躇っていたリサも、

もじもじしながら

そばに近づきました。

 

4日前のお茶の時間、

次回から、ティーカップ

もう一つ持って来てと、

突然エルナが、

突拍子もない話を切り出しました。

リサは、危うく、驚愕の悲鳴を

上げるところでした。

 

リサは、自分にこんなことしたら

大変なことになると、

熱心に説明しましたが、

バーデン家で、グレベ夫人と

お茶を共にしてきたエルナは

首を傾げるだけでした。

リサは、精一杯声を低くして

グレベ夫人とは誰かと

苛立たしげに尋ねました。

エルナは、それにつられて

息を潜めながら

バーデン家の家政婦だと

真剣に答えました。

 

そのようにして始まった

お嬢様との秘密のお茶の時間は、

何日も平穏に続いていました。

 

ある日、突然現れた

ハルディ家の令嬢は、

身なりから態度まで、

貴族のお嬢さんらしいところがなく

少し変なお嬢様だと

ハルディ家の使用人たちが

ひそひそ話している言葉に

リサも、いくらか同意しました。

しかし、高慢きわまりないとか

変わり者とかいう非難は

全くのでたらめ。

人見知りで口数が少なく、

澄ましている印象だけれど、

よく見ると、

かなり優しいお嬢様でした。

 

思わず目を向けた机の上に

見事な造花を見つけたリサは

目を見開いて、

あれはお嬢様が作ったのかと

尋ねました。

エルナは頬を少し赤らめながら

頷きました。

 

リサは、

とてもきれいだ。本当に上手。

本物の花だと言われても信じると

心から感心しました。

その褒め言葉に喜んで

ニッコリするエルナの顔を見ると

リサは、何だか

ボーッとした気分になりました。

 

捨てた前妻の娘を、突然家に入れた

ハルディ子爵を巡り、使用人たちは

娘まで売ろうとしている。

かなり高い値段で売れそうだ。

何を売ろうと、

この家門が健在であれば、

自分たちには良いことと

話していました。

エルナを見ていると、リサは

その悪い言葉の意味が何なのか

理解できるような気がしました。

 

このお嬢様は、

自分の身の上がどうなのか

知っているのだろうか?

ふと浮かんだ疑問に

リサは、そわそわしました。

 

その時、いつの間にか

そばに近づいて来たエルナが

突然、造花を差し出しました。

まさか、自分にくれるのかと

信じられない気持ちで問い返すと、

エルナは小さく頷きました。

リサは、

ただきれいだと思っただけで

そんな意味で言ったのではないと

弁解しましたが、エルナは

プレゼントする。

帽子に付ければきれいだし

ブローチとして使ってもいいというと

困っているリサの手に

造花を持たせました。

 

どうしても、

その誠意を拒めなかったリサは

プレゼントを受け取りました。

エルナは、

自分が作った花のように

きれいな笑みを浮かべました。

 

リサは、

プレゼントのお礼に、

まだシュベリンに

慣れていないエルナに、

良い所をたくさん教えてあげるので

散歩に行こうと誘い、

意欲に満ちて立ち上がりました。

 

エルナは目を丸くして

彼女を見上げると、

迷惑ではないかと心配しましたが、

リサは、

そんなはずはない。

お嬢様に仕えるのが

自分の仕事だと言って笑ったリサは

素早くエルナの日傘と帽子を

持って来ました。

シュベリンは

首都に匹敵する大都市でした。

王室の夏の別荘がある

シュベリン宮殿、

高級商店街やホテル、

豪華な劇場があり、

名だたる貴族たちが避暑に来る

華やかさがありました。

 

もう少し北に行くと

大洋とつながる巨大な港があり、

昔から商業と金融が発達した

都市でもありました。

 

エルナは、

楽しそうなリサのおしゃべりに

耳を傾けながら、

ゆっくりと歩きました。

すでに、本で読んで

知っていることでしたが

直接、目でこの都市を見ると、

すべてが新しく感じられました。

 

リサは、

あるホテルを指差すと、

あれはシュベリンで

一番いいホテルで、

あそこにあるレストランと

ティールームが、

ここの女性たちの間で

とても人気があるそうなので、

今度、自分たちも行ってみようと

誘いました。

エルナは素直に頷きました。

 

その時、

1人の長身の男が

エルナの目に留まりました。

ホテルの入り口から出て来た男は、

大股で歩き、

そばに立っている女性が

何か話しかけても気にせず、

ただ自分の道を急ぐだけでした。

その後ろから、

適当な間隔を空けて

使用人たちが付いて行きました。

通行人の視線が

一斉に集中するのを見ると、

かなり有名人のようでした。

 

妙な既視感に捕らわれたエルナが

その男の方へ体を向けると

リサはむんずとエルナの腕をつかみ、

あの人が、

本当に格好いいという気持ちは

よく分かるけれど、

ダメだ、いけないと、

眉を顰めて、ため息をつきました。

 

エルナは、再び金髪の男性の方に

視線を移すと、

彼と女を乗せた馬車は

すぐに大通りの向こうへ

消えていきました。

 

絶対に駄目だと言って

ため息をついたリサは

エルナの前に立ちはだかりました。

エルナが、

あの人は誰なのかと尋ねると

リサは、

そんなことは知る必要もないと

答えました。

エルナは、

評判が悪いのかと尋ねました。

リサは、

言うまでもないと返事をし、

エルナの手を引っ張りました。

 

リサは、

覚えておくように。

あれは男ではなく毒キノコだと

目を輝かせながら叫びました。

そして、

この上なく真剣な表情で、

肝に銘じるように、

食べたら死ぬと告げました。

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大金を得るための初期投資とはいえ

破産寸前なのに、エルナに

最高のシャペロンを付けたり、

山ほどの買い物をするなんて、

その費用はどこから捻出するのかと

いらぬ心配をしてしまいました。

エルナが高く売れれば、

それ以上のお金を手に入れらると

思っての行動なのでしょうけれど。

 

ウォルターが詐欺に遭って

財産を失ったのは、

よく考えもしないで

楽してお金儲けをしようとしたせいでは

ないかと思います。

 

もし、エルナに他のメイドが付いたら

リサのように一緒にお茶を飲んでも

エルナに尽くしてくれたかどうか。

リサは彼女の優しさに

接しているうちに、

エルナのことが、とても好きになって

エルナがどのような目に遭っても

常にそばで支えてあげようと

思ったのではないかと思います。

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