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泣いてみろ、乞うてもいい 62話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ きれいな妖精

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62話 マティアスがチャリティー公演にやって来ました。

 

グレバー先生は、レイラに、

ヘルハルト公爵が来たと

上気した顔で囁きました。

子供たちの演劇の総練習を見るために

ロビーに一人で出て来たレイラは

驚いた顔で彼女を見ながら、

公爵家の奥様たちではなく、

公爵様かと尋ねました。

グレバー先生は、

その公爵様が、

おばあ様を連れてやって来た。

あそこを見てと言って指差しました。

 

レイラが、そちらに顔を向けると

人々に囲まれている

公爵が見えました。

よりによって、その瞬間、

公爵もこちらを向いたので、

なすすべもなく、

目が合ってしまいました。 

 

息が詰まりそうになったので、

レイラは挨拶するふりをして

慌てて頭を下げました。

幸い公爵は、まもなく

その場を去りました。

 

遠ざかっていく彼を

残念そうに見ていたグレバー先生は、

ルウェリン先生は

アルビスに住んでいるので、

時々、公爵に会うことがができるかと

尋ねました。

レイラは、わけもなくビクッとし、

両手を組みながら、

「・・・たまに」と答えました。

 

グレバー先生は、

本当に羨ましい。

たまに、遠くからでも

一度ずつ見られたら

どんなにいいだろうかと言いました。

 

アルビスに秋の遠足に行って以来、

グレバー先生は、

ヘルハルト公爵に対して

無限の好感を持つようになり、

彼が、どれほど素敵で

優雅で貴族的なのかと、しきりに

彼に対する賛辞を並べ立てました

 

グレバー先生は、

すぐに自分が担当する

上級クラスの子供たちの

合唱のリハーサルの準備のために

会場に戻りました。

 

他の教師たちと合流するために

ホールを通っていたレイラは、

再びヘルハルト公爵を発見しました。

ある中年の紳士と

話をしている公爵は、

とても上品で余裕のある姿でした。

しばらく

その場に立ち止まったレイラは、

慎重にマティアスを見ました。

 

幼い頃から、レイラにとって公爵は

ただ恐ろしくて不快な人でした。

そのためか、

人々が賛辞を惜しまない

ヘルハルト公爵は見慣れませんでした。

大半は同意できなかったし、

たとえそうだとしても、

あえて、それを認める理由は

ありませんでした。

 

その考えは、

今も変わっていないけれど、

少なくとも人々の評判は

荒唐無稽ではありませんでした。

本来の場所で、

自分の役割を完璧に果たす

マティアス・フォン・ヘルハルトは

確かにそのような人でした。

そのため、レイラだけが知っている

あの男の姿は、さらに

美しく残酷な悪夢のように

感じられました。

 

レイラは大理石の床に映る

長い影に向かっていた視線を

再び、ゆっくりと

上に移し始めました。

改めて、本当に

背が高い男だという気がしました。

ほっそりした感じを与える

すらりとした体でしたが、

目の前に立つと、とても強健で

目がクラっとするような

威圧感がありました。

そして、あの青い目は·・・・

 

ちょっと待って。

なぜ、目が見えるの?

レイラは公爵の目に向き合ってから

何かおかしいことに気づきました。

間違いなく彼は、

横顔を見せて立っていたのに

レイラを見ていました。

 

そうしなければならないのに、

どうして?

当惑したレイラは、

少しぼんやりした気分で

公爵の視線を受けました。

気が進まなそうな目つきでしたが、

唇は、少し曲がっているように

見えました。

 

ルウェリン先生、

ここで何をしているのかと、

後ろから聞こえてきた校長の声に

レイラはびっくりして振り返りました。

 

校長は、

驚いた。皆で挨拶をしようと言って

連れてきた教師たちを率いて、

ヘルハルト公爵と

老婦人が立っている所へ

向かい始めました。

レイラは、その群れに紛れて

公爵の前に立つことになりました。

 

教師たちを、注意深く観察していた

マティアスの視線は、

最後尾に立っているレイラにも

届きました。

目を伏せる前、レイラは、

しばらく

しかめっ面をしていた彼の目に

微かな笑みが浮かんだのを見ました。

 

なぜか気になりましたが、

顔を上げることはできませんでした。

よく磨かれて輝いている

公爵の靴の先を眺めながら、

早く公演が始まることだけを

祈りました。

それがもっと大変なことになるとは

夢にも思っていませんでした。

最近、随分元気そうだけれど、

何かいいことでもあったのかと、

隣に座った孫の顔を

注意深く見ていた老婦人が

嬉しそうに尋ねました。

マティアスは、

特に何もないと否定しました。

 

老婦人は、

もしやという期待を込めて

尋ねましたが、マティアスは、

礼儀正しい軽い笑みを浮かべた顔で

淡々と返事をするだけでした。

しかし、確かに普段とは違う雰囲気が

漂っていました。

 

おかしな考えだけれど、

最近のマティアスは、

まるで、同じ年頃の

美しい青春のただ中を生きている

青年の姿をしていました。

その姿に向き合って、彼女は

改めて若い孫の年齢を実感しました。

 

老婦人は、

とにかく、あなたのこんな姿を見ると

自分も嬉しいと言いました。

理由が何であれ、とても良い姿なので

彼女は、あえて

問い詰めないことにしました。

 

老婦人は、

このような行事は

些細に見えるかもしれないけれど

仁愛の心と尊敬は、

こういう所から始まる。

あなたが、このようなことにも

気を配ることができる

家門の主人になってくれて

どれほど感心しているか分からない。

あなたのおじい様とお父様は、

これほど気配りできなかったと、

満足そうにマティアスを褒めました。

 

ヘルハルト家の傑作。

世間の人たちは、

マティアスを、そう称しました。

そういう時は、

いつも褒めすぎだと笑って

謙遜したけれど、カテリナは、

内心誰よりも、

その賛辞に共感しました。

 

夫と子供に先立たれても、

このように、

長い年月を生き伸びて来た理由は、

最高のヘルハルトが、

最も華やかに家門を輝かせる日を

見るためではないだろうかと、

この頃、よくそんなことを

考えるようになりました。

 

素敵な孫の姿を再び見つめている間に、

会場の明かりが消えました。

客席が静かになると、

司会者が舞台の上に現れました。

マティアスは、

まっすぐな姿勢を保ちながら、

適切な拍手を送りました。

しかし、舞台の上で起こる

すべてのことについて、一瞬たりとも

関心を抱きませんでした。

レイラが、あのネックレスを

付けていたからでした。

 

もしかしてと思いましたが、

近づいて来た姿を見ると、確かに、

あのエメラルドのネックレスでした。

それがまるで印のようで、

マティアスは満足しました。

君は自分のもの。

君が知っていようがいまいが、

その事実は変わらないという

印でした。

 

マティアスが初めて舞台に集中したのは

村の学校の子供たちの演劇が

始まる頃でした。

見慣れた顔なので注意深く見ると、

レイラと一緒に、

アルビスに遠足に来た子供たちでした。

マティアスは、暗い舞台の下の方に

視線を移すと、予想通り、レイラは

そこで子供たちを見守っていました。

 

緊張した子供たちは、しきりに

そちらをチラチラ見ながらも、

もぞもぞ動き回りました。

レイラの服に

アイスクリームをこぼした、

一番小さくて幼い女の子は、

すでに泣く準備を終えた顔でした。

 

ルウェリン先生は

どんな顔をしているのだろうか。

子供たちと同じくらい緊張しているのが

露わになっている後ろ姿を

マティアスは、

のんびりと見守りました。

 

演劇は森に住む妖精たちの物語のようで

半透明の翼のようなものを付けた

子供たちが、せっせと舞台を行き来し

時々、観客の微笑ましい笑い声が

溢れ出たりもしました。

しかし、マティアスの目には、

ただ舞台の下を、

焦りながらウロウロしている女性だけが

映っていました。

 

そのため、突然、

子供の泣き声が響き始めた時、

マティアスは、他の観客たちより

少し驚きました。

 

嘆く祖母に従って視線を移したところ、

マティアスは、

泣き出してしまった

幼い女の子を見ました。

 

子どもは、舞台の下にいる

レイラを見つめながら、

大声でわんわん泣きました。

その子が、到底、

台詞が言えない状況になると、

他の子供たちも右往左往し始めました。

 

収拾できるだろうか?

マティアスは目を細めて、

レイラを見ました。

 

急いで走って来た校長が

ひそひそ話すと、

レイラはびっくりして

首を横に振りました。

しかし、最後まで拒否することが

できない命令だったのか、

結局、ぶつぶつ言いながら

舞台に上がりました。

 

今や、観客たちの視線は、

泣いている子供をなだめるために

舞台に上がった若い女性教師に

集中していました。

 

あの先生は、あの子だ。

ビル・レマーの養女だと

レイラを見抜いたカタリナの口元に

笑みが浮かびました。

 

レイラは、

舞台の小道具である

偽の花の茂みの後ろにしゃがんで

子供をあやしながら宥めました。

しかし、泣き止んだとしても、

子供は、到底、再び演劇に

集中できそうにありませんでした。

その上、もう少しこの状況が続けば

混乱に陥った他の子供たちまで

泣き出すかもしれませんでした。

 

結局、校長は、

特段の措置を下すことにしたのか、

舞台の端に呼んだレイラに

紙の束を差し出しました。

今回もレイラは、

激しく首を横に振りましたが、

結局、校長の意向を

覆すことはできませんでした。

 

レイラは、再び花の茂みの後ろに行き

紙を数ページめくり、

数回、咳払いをして声を整えた後、

代わりに花の妖精の台詞を

読み始めました。

 

わあ。み ん な こ れ み て。

き れ い な は な が、

さ い て い る よ。


ブルブル震える声が朗々と響き渡ると、

ざわついていた観客たちも

再び静かになりましたが、

収拾がついたというよりも、

さらに大きな衝撃に、皆、

言葉を失ったというべきでした。

 

ダ メ ダ メ。

む や み に お っ た ら

は な た ち が

い た が る よ。

 

マティアスは、

今、何を聞いているのか、

しばらく見当がつきませんでした。

ぎこちないどころか、

当惑するようなイントネーションで

レイラはたどたどしい台詞を

喋り続けました。

しかし、そのようにしてでも

演劇の流れが続いて行くと、

他の子供たちは、少しずつ

安定を取り戻していくように

見えました。

 

花の妖精の台詞は、それほど

多い方ではありませんでしたが

その台詞が登場する度に

客席がざわつきました。

「笑ってはいけない」と

いくら心に誓っても

その生半可な演技の前で

笑わないというのは大変で、

結局、客席から笑いが溢れ出ました。

品位を保とうと努力していた

カタリナでさえ笑ってしまいました。

 

笑う祖母の横顔を見ていた

マティアスは、

舞台で苦戦しているレイラの方に

再び視線を移しました。

硬直したまましゃがみこんで、

台本を覗き見る先生の傍らには、

もう泣き止んだ子供が

ぽつんと立っていました。

 

眉を顰めたマティアスは

ひじ掛けに斜めに寄りかかりながら

レイラを見守りました。

自分の代わりをしてくれる先生を

褒めてあげたいのか、

子供は自分が使っていた花冠を脱いで

レイラの頭の上に、そっと乗せました。

台詞の流れに追いつくことだけに

集中しているレイラは、

それに気づいていないようでした。

 

本 当 に ス テ キ な

パー ティー だ ね。

ハ ハ ハ。

た の し い ね。

 

妖精たちのパーティーに招待された

花の妖精が笑う場面では、

結局、マティアスも

笑いを爆発させました。

レイラの頬は、

今や子供がかぶせてくれた

バラの花冠の花のように

赤くなっていました。

 

マティアスは、

芝居が続いている間、観客たちは、

わずかな「花の妖精」の台詞を

最も待ち望んでいたことと、

村の学校の

下級クラスの子供たちの芝居が、

今夜、最高の反響を呼んだということを

確信しました。

 

自分の役割を果たしたレイラは、

芝居が終わる頃になると、

小走りして舞台の下に逃げました。

苦労したその若い教師に対して、

観客は温かい拍手を送りました。

依然として笑いが残っている顔で、

マティアスは、

事実上、この芝居の主人公だった、

ひどい演技をする

きれいな妖精のために、

喜んで拍手しました。 

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マティアスは、

子供の頃に公爵となってから

公爵として過ごすことを要求され、

マティアスも、ずっと

それに応えて来たので

周りからも、自分自身も

実際の年齢よりも、

はるかに上に見られていたのかも

しれません。

けれども、こと恋愛感情に関しては

未熟過ぎて、

ようやく同年代の男性のレベルまで

上がって来たのでしょうか。

マティアスの変化を喜ぶカタリナが

とても素敵に思えました。

もしかしたら、カタリナは

夫と息子に先立たれたことで、

孫であるマティアスに

大きな期待をかけてしまったことを

少し後悔したかもしれません。

そして、カタリナでさえ笑ってしまった

レイラのひどい演技を見て

常にポーカーフェイスのマティアスが

笑いを爆発させるのを見て、

カタリナは、どう思ったのでしょうか。

驚くとともに、孫の意外な一面を見て

喜んだのではないかと思います。

***************************************

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

私は、レイラが飴を食べて、

泣いた理由が

全然わからなかったのですが

皆様のおかげで、

母親にもらった飴のことを

思い出すことができました。

本当にありがとうございます。

 

昨日、公開されたマンガの39話。

韓国版ではメランコリックな

BGMが流れるので、

もしかして日本でも・・・と

期待しましたが、

そうはならなくて残念でした。

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