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ハーレムの男たち 800話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 裏切者は誰?

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800話 サーナット卿はレアンの護衛を探すために彼の住居へ行きました。

◇急いで伝えたかった話◇

音がしたのは、

アーチ型の出入り口と

短い通路でつながっている

台所でした。

一番最初に目に入ったのは

テーブルにうつぶせになっている

みすぼらしい身なりの人でした。

 

この人が、

一人で帰って来たという

レアンの護衛なのだろうか。

サーナット卿は

相手を軽く叩いて見ました。

何の反応もないので、

どうやら気絶しているようでした。

 

ヒラヒラする音が聞こえて来たので

サーナット卿は、

そちらを向きました。

窓が大きく開かれ、

カーテンが風にはためいていました。

サーナット卿は、

すぐに窓際へ歩いて行きました。

窓越しに、

かすかに小麦粉のような

匂いがしました。

誰かがこの中にいて、

急いで窓を開けて逃げたのは

明らかでした。

 

もしかして、

護衛が誰かに話をして、

それを聞いた人は

窓から逃げたのだろうか?

 

そう判断を下したサーナット卿は

窓を跳び越えると、

かすかな小麦粉の匂いを

追いかけました。

しかし、花園に入るまでは、

匂いを判別することができましたが、

その後は、

花と草の香りに埋もれてしまい

分かりにくくなりました。

 

困ったサーナット卿は

周囲を見回しましたが、

やむを得ず、

再びレアンの住居に戻りました。

 

窓を越えて

台所にまっすぐ行ってみると、

護衛は、まだ気絶するように

眠っていました。

 

すでに彼は、話すべきことを全て

誰かに伝えたのだろうけれど、

一体、何の話をしたのだろうか。

急いで伝えたかった話は

何なのだろうか。

サーナット卿は眉をひそめて、

護衛を見下ろしました。

◇できるだけ早く◇

ギリギリで

サーナット卿の目を逃れた

レアンの腹心は休まず走りました。

あまりにも走りすぎて

息ができなくなり

肺が苦しくなるほどでした。

そのまま走るのを止めて

座り込み、

息を整えたいと思いました。

しかし、腹心は、

ひたすら足を動かし続けました。

この事実をできるだけ早く

伝えなければなりませんでした。

◇衝撃的な話◇

ラティルは

サーナット卿が戻ってくるのを

待ちながら、苛立たしげに

書類にサインしました。

集中できない書類は、

そのまま横に片付けました。

 

警備兵が伝えて来た話のために

執務室の中の秘書たちは

皆、口をつぐんでいました。

紙がカサカサする音だけが

あちこちから聞こえました。

そのとき警備兵が中に入って来て

アニャが戻って来たことを

告げました。

 

ラティルはサーナット卿を

待っていたので、

一瞬戸惑いましたが、

すぐにレアンが

アニャに付いて行ったことを

思い出しました。

 

もしかすると、アニャが、

このことについて、

何か知っているかもしれないと

思ったラティルは、

アニャの入室を許可し、

他の人たちには、

席を外すよう指示しました。

 

部屋の中にいたすべての人が

出て行くと、交代するように

アニャが中に入って来ました。

到着するや否や、

すぐにここへ来たのか、

旅の痕跡が残っている姿でした。

ラティルは立ち上がると、

アニャをつかんで

机の近くまで連れて行きました。

 

ラティルはアニャに

「どうだった?」と尋ねると、

彼女は、

怪物の問題はすべて解決した。

責任者には

会えなかったけれど、

状況がめちゃくちゃだったと

答えました。

 

ラティルは苛立たしげに

アニャを見ながら、

レアンについて尋ねました。

アニャは眉間にしわを寄せながら、

そうでなくても、レアンについて

話したいことがあると答えました。

 

ラティルは、

そうだと思ったと言うと

アニャは胸から

メモを取り出しました。

ラティルは、

「何のメモ?」と尋ねながら、

メモを受け取って開きました。

すると、すぐにラティルの眉が

吊り上がりました。

「これは・・・?」

とラティルが尋ねると、アニャは

レアンが誰かからもらったメモだと

答えました。

 

ラティルは目を大きく見開いて

アニャを見ました。

ラティルが聞こうとしたのは

レアンの行方に関することで、

なぜレアンの護衛が一人で

不審な格好で帰って来たのか、

アニャなら分かると思いました。

ところが、アニャは、

レアンがもらったメモを寄こし、

しかも、その内容は衝撃的でした。

 

ラティルは

目をパチパチさせました。

アニャは心配そうな声で

ラティルを呼びました。

彼女はよろめきながら

椅子に座りました。

 

メモには、

ラティルが色々な証拠を基にして

先に自分の正体を

穏健に人々に知らせるつもりだという

計画が書かれていました。

アニャにも話さなかった計画。

ごく一部の人しか知らず

敵には、

絶対に知られてはいけない計画。

 

「何てことだ」

ラティルは額に手を当てて

目を閉じました。

この計画を知っている人たちの

大多数は、ラティルが

大切にしている人たちでした。

 

ラティルは、

誰がこれを送って来たのかと

尋ねました。

アニャは差出人が書かれていないので

分からないと答えました。

 

そのとき扉を叩く音がして、

サーナット卿の声が

聞こえて来ました。

ラティルは目を開けると、

アニャが来るまで、

サーナット卿を待っていたことを

思い出しました。

 

ラティルはサーナット卿に

探して来たかと尋ねました。

サーナット卿は答える前に

ちらっとアニャを見ました。

しかし、ラティルは

どちらか1人は出て行けと

言わなかったので、彼はすぐに、

レアンの護衛は倒れていて、

誰かが抜け出した跡があった。

追いかけようとしたけれど、

すでに離れた後で、見つからなかった。

周囲を探すより

護衛を追及する方が早そうなので、

再び戻って護衛を

追及してみたところ・・・

とサーナット卿が言葉を濁すと、

アニャは当惑して

サーナット卿を見ながら、

「レアンの護衛が倒れたって?」

と聞き返しました。

 

サーナット卿は、

アニャをチラチラ見ながら、

皇帝の命令を受けたアニャ卿が、

レアンに重傷を負わせたため、

彼は危篤状態だと

残りの話を続けました。

 

ラティルは、その言葉に当惑し、

そんな命令を下した覚えはないと

言った後、アニャを見つめました。

彼女はラティルより

目を大きく見開いてました。

 

ラティルはアニャに、

これがどういう意味か分かるかと

尋ねました。

アニャは、ラティルのように

訝しがることもなく、

気が抜けたように

何も言えませんでした。

何か心当たりのある顔でした。

 

そのぼんやりした表情を

見ていたラティルは、

再び彼女を呼びました。

その時になって、ようやくアニャは

行ってきた領地でのことを

詳細に話しました。

アニャは、

そうでなくても青白い顔色を、

さらに青ざめさせながら、

レアンが倒れるのを

ちらっと見たけれど、

あまりにもよく倒れる人間なので

今回もそうだと思って

そのままその場を去った。

彼の部下たちが、

すぐに彼の元へ駆けつけたので

自分まで騒ぐ必要はないと思ったと

話した後、口をつぐみました。

すべて事実でしたが、

まるで自分が大きな事故を起こして

言い訳をしているように

思われました。

 

口をポカンと開けたまま

アニャの話を聞いていたラティルは

事が少し拗れたと呟きました。

サーナット卿も

眉間にしわを寄せながら

皇帝がロードであることを

明らかにしようとする状況で、

あまり役に立たない事件だと

呟きました。

 

レアンが一人で怪我をしても、

人々はラティルを疑うのに、

よりによって、

アニャがレアンを振り切って

彼が倒れる現場まで、

レアンの護衛たちが、

目撃していました。

 

ラティルは、

どうしようと呟きながら

アニャを見ました。

彼女は、

まだ顔色が悪いままでした。

 

アニャが、

自分を責めることを心配した

ラティルは、

事がひどく拗れただけで、

アニャが悪いわけではないので

大丈夫。

それほど心配しなくてもいいと

慰めました。

 

アニャはびっくりして

ラティルを見ると、

無理やり口元を一度動かしましたが

再び力が抜けました。

彼女は本当に何も知りませんでした。

レアンが付いて来ないのが

おかしいと思い、

兵士を送って確認した時も

レアンは先に出発したと聞きました。

 

もしも、自分のせいで

レアンが重傷を負ったのなら・・・

今、彼の体調は、正確にどうなのか。

そんなに良くないのだろうか。

 

アニャは、片手で額をこすりました。

ラティルは、彼女の顔から

だんだん生気が消えていくのを

発見すると、

本当にそんなに気を落とす必要はない。

自分は大丈夫だと慰めましたが、

ラティルが何度も

アニャのせいではないと言っても、

彼女の下がった口元は

簡単に動きませんでした。

 

雰囲気が、どんよりしてくると

サーナット卿は、

どうするつもりなのかと

注意深く尋ねました。

ラティルはため息をつくと、

レアンが怪我をしたという話を

聞いたことを明らかにし、

ザイシンを送って

治療しなければならない。

それでも疑う人は疑うだろうけれど

疑いと解く人は解くだろうと

答えました。

◇裏切ったのは誰?◇

翌日の国務会議で、ラティルは

怪物を掃討したことと、

その過程で、レアンが負傷したことを

大臣たちに知らせました。

彼らは慌てて囁き合いました。

どれほど驚いたのか、

何人かの心の声が

ラティルに聞こえたりもしました。

 

大臣の一人はラティルに、

レアンの容態はどうなのかと

尋ねました。

ラティルは、

急に報告を受けただけなので、

自分も分からない。

しかし、昨日、大神官が

急いで出発したので、

無事に治療を受けて

戻って来るだろうと話しました。

 

会議が終わった後、

大臣たちは互いに目配せしながら、

どっと出て行きました。

ラティルは広い壇上に

腕をもたせかけて、

がらんとした会議室を

ぼんやりと見つめたまま

移動しませんでした。

 

「うまくいくでしょう」と言う

サーナット卿の声も

夢の中で聞いているように

遠くから聞こえて来ました。

 

ラティルは辛うじて、

そちらへ顔を向けました。

サーナット卿が

ラティルの肩を掴みました。

大きな手が肩を握って

そっと力を入れると

「私はあなたの味方です」という

合図のように思えました。

ラティルは、

彼の手の甲をトントンと叩き

また考えに耽りました。

 

しばらく、そうしているうちに

ため息をつくと、

「大丈夫ですか?」と、横から

またサーナット卿の声が

聞こえてきました。

ラティルは壇上から手を離して

時計を見ました。

ほぼ30分ほど経っていました。

 

ラティルは、自分のせいで

サーナット卿が

交代できずにいたのかと尋ねると

彼は、

大丈夫。 交代の近衛騎士には

帰るように伝えたと答えると、

もう少し考えてもいいと勧めました。

 

しかし、ラティルは

「いいえ、行きましょう」と

返事をすると、横の扉から

とぼとぼ歩いて行きました。

サーナット卿は

まだ、交代しないつもりなのか、

今度もラティルに付いて来て、

他に気になることがあるのか。

レアンの腹心が

誰に話を伝えたのか

気になっているのかと尋ねました。

 

ラティルは、

それもそうだけれど、

それは答えが出ている。

彼の側の人へ

その話を伝えただろうから。

けれども、

自分がもやもやしているのは

それではなく・・・

と言いかけたところで、

途中で言葉を止めました。

 

ラティルが

ずっと気になっていたのは、

こちらの計画を

レアンに伝えた人でした。

その計画を知っているほど

自分と近くて、

しかもレアン側と内通している人。

この裏切り者候補は

当然計画を知っている全員でした。

それでも、

誰かを除外できるとしたら

拉致されたクラインだけでした。

 

ラティルは、

サーナット卿をちらっと見ました。

裏切り者候補の中には

彼も含まれていました。

サーナット卿はラティルに、

本当に気になっていることなのか。

話している途中で止めると、

後の内容が気になると言いましたが、

ラティルは、

何でもないと答えると、

もう一度時計を確認して

横の扉から出ました。

 

それから、廊下をずっと歩いていると

サーナット卿は、

先程、皇帝が気が気でない間に

タッシールがやって来て、

皆で会議をしようと言っていたと

思い出したように言いました。

 

ラティルは、

「ええーっと・・・後で」と

拒絶したので、

サーナット卿は目を丸くして

「本当に?」と尋ねました。

 

ラティルは、

少し一人でいたいと呟くと

個人の執務室に行きました。

そして、自分は一人で

ずっとここにいるので、

交代して帰るようにと指示しました。

サーナット卿は

何か言おうとしましたが、

ラティルは首を横に振り、

執務室の扉を閉めました。

母親の裏切りを知った時の衝撃が

再び、心臓を苦しめました。

 

ラティルは、

ラナムンをからかって奪ってきた、

側室ランキングが載った雑誌を持って

壁際のソファーに腰を下ろしました。

 

誰がレアンの側の者に

自分の情報を送ったのだろうか。

側室?毛むくじゃら?百花か母親?

アニャは、本当に誤って

レアンを攻撃したのだろうか。

レアンが帰ってくる前に

正体を明かそうとしたけれど

レアンが大怪我をした今、

自分が正体を明かしたら、

いくら刺激しないように

婉曲的に話しても何の意味もない。

自分がレアンを襲撃して足止めして

時間を作ったようなものだ。

共に危機を乗り越えてきた

ロードの仲間たちが裏切ったとしても、

誰よりも理性的な

百花が裏切ったとしても、

一度裏切った母親が

また裏切ったとしても苦しい。

 

ラティルは両手で頭を抱え込みました。

再び、裏切られることに

耐えられませんでした。

 

そのようにして、

また30分ほど過ごした後、

ラティルは決定を下しました。

彼女は机についた鐘を鳴らし

側室を一人呼んで来て欲しいと

指示しました。

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いやいやいや、

なぜ、ラティルは

そこで、側室たちやサーナット卿や

百花を疑う?

ラティルから見れば

確かに百花は胡散臭いところが

あるかもしれないけれど、

彼は神殿再興という

気高い目標があるので、

ラティルを裏切って

大神官を裏切ることはしないと

思います。

それに、側室たちだって、

サーナット卿だって

毛むくじゃたちだって、

これまでラティルに

どれだけ尽くして来たかを

考えれば、彼らが彼女のことを

裏切るはずがないと分かるはず。

 

一番怪しいのは先皇后なのに、

もう母親は裏切らないと思っている

ラティルは甘い!

実の娘でさえ、

一度裏切った母親なのだから

二度目がないはずがない。

今回のお話は、

本当に、腹が立って

仕方がありませんでした。

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