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ハーレムの男たち 783話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ クラインの声が聞こえないラティル

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783話 ゲスターの方へ金属が飛んできました。

◇あの人のようだ◇

薄緑色の髪が足首に届くほど長い男が

片手に持った手錠を

くるくる回しながら近づいて来ました。

目が合うと、男は楽しそうな声で

 

あなたがゲスター?

 

と尋ねました。

ゲスターは眉をひそめました。

男は見たことのない顔でした。

 

どちら様ですか・・・?

 

とゲスターが尋ねると、

男はニヤリと笑いながら、

ある人に、

あなたが黒魔術師だから命を奪えと

言われたと答えました。

ゲスターは、誰に頼まれたのかと

尋ねました。

その男は、レアンだと答えました。

ゲスターは、

これほど具体的な答えを

期待して質問したわけではなかったので

眉を吊り上げ、男のことを

口が軽いと非難しました。

しかし、男は、

ゲスターが黒魔術師なのかと

尋ねました。

 

ゲスターは返事の代わりに

見えないピアノを弾くように

空中に手を上げました。

そして鍵盤を叩くように

もう少し手を動かすと、

空間がナイフで切られたように

割れました。

そして、その中から巨大な鳥が現れ、

凶暴に牙を剥くと、

男は嬉しそうに笑いました。

 

彼は、

自分も言葉より行動が好きだと言って

手錠を回すと、

それは魔術師の杖の形に変わりました。

 

白魔術師かとゲスターが呟くと

男は杖を両手で握り、

目元に当てました。

その状態で白魔術師が

不思議な声を出すと、

ゲスターに向かって、弓より速い速度で

光の塊が放たれました。

ゲスターが呼び出した鳥は、

翼だけで魔法を弾き飛ばしました。

 

光の塊が、砂漠の砂に触れて消えると

白魔術師は、

再び魔法を放とうとしました。

しかし、ゲスターはその隙を逃さず、

鳥の翼の下に突進しました。

 

魔術ではなく、

ゲスターが直接現れると、

白魔術師は魔術を放つのを止め

杖でゲスターを叩きつけました。

ゲスターも腰から剣を抜いて

杖を打ちました。

杖と剣がぶつかる瞬間、

白魔術師が持っている杖の後ろから

稲妻のような魔術が放たれ、

ゲスターの顔を狙いました。

 

「また稲妻」と腹を立てたゲスターは

白魔術師を蹴飛ばし、

その反動で魔術を避けました。

接近していた二人が、

距離を空けて後ろに下がりました。

 

呼吸を整えた白魔術師は、

再びゲスターへ

駆けつけようとしましたが、

お腹に痛みを感じて頭を下げました。

ゲスターが蹴ったところに

不気味な形をしている

小さな骸骨がぶら下がり、

体をかじって食べようとしていました。

 

白魔術師は杖の先で

骸骨を持ち上げました。

杖の一部が光ったと思ったら、

骸骨はそのまま壊れ、

砂に紛れ込みました。

白魔術師は骸骨が変わった粉を

払い落とさずに、

ゲスターに向かって

杖の先を向けました。

すると、網の罠が四方に広がり、

ゲスターに逃げる隙を与えないように

襲ってきました。

前後左右、さらに上にも

逃げ場がない魔術でした。

 

しかし、魔術が届く前に

ゲスターの姿は完全に消え、

白魔術師の後ろに現れました。

ゲスターが拳で彼を打ち下ろすと、

ついに白魔術師はよろめきました。

 

杖を振り回して

ゲスターの相次ぐ攻撃を阻止した

白魔術師は、

口元をパンパンに腫らしたまま、

とてもいい。

ゲスターの戦い方はあの人のようだと

笑いながら呟きました。

 

その笑顔を見て、ゲスターは

このイライラする白魔術師が誰なのか

ぼんやりと推測しました。

◇もしかしたら◇

砂の上を歩いていたラティルは

疲れて廃墟の前の岩に腰をかけ、

ぼんやりと周りを見回しました。

 

アドマルの中に入るや否や

クラインが「ジャーン!」と

現れるとは思わなかったけれど、

実際にアドマルの中に入って

歩き回ってみると、途方に暮れました。

 

この広大な場所で、

どうやってクラインを

見つければいいのか。

それでも幸いなのは、

前に見たところ、クラインは

確実に死ぬような大きな怪我をしても

死ぬことはないという点でした。

 

そうだとしても、

このような人里離れたところに

孤立して長く過ごすのは

とても大変な状況だろうから、

早く救出しなければなりませんでした。

でも、どうやればいいのか

分かりませんでした。

 

大きな音を立てながら

右から左に吹きつける突風に

顔を髪で覆われたラティルは、

岩から降りて、

地面にしゃがみこみました。

風が止むのを待って、

目を開けてみると、

砂の下に埋もれていた古い兜が

表面に現れました。

 

ラティルは髪の毛から砂を払い、

再び荷物をまとめていましたが、

前に冒険家が話してくれた

砂漠の下の、柱がいっぱいある

地下空間の存在を思い出し

目を見開きました。

 

もしかしてクラインは

そこに落ちて

出られないのではないか。

 

ラティルは砂を払うのを止めて、

地面に膝をついて座ると

両手で砂を掘り始めました。

ラティルは、

自分を連れて行ってくれなければ

自分が行けないと思っているのかと

呟きました。

彼女は、掘っているうちに

地下の大神殿も出てくるだろうと

思いました。

◇私はここにいます◇

その頃、クラインは

地下空間の柱を上っていました。

彼から、そう遠くない所にある柱に

刻まれた文字が

かすかに光を放っていましたが、

クラインは文字に構わず、

柱を登り、上に上がることだけに

集中していました。

 

後になると、柱に刻まれた文字が怒り

「こちらを見て!」というように

一度ずつ強烈に光を放ちましたが

クラインは屈することなく

上だけを見て柱を登りました。

 

そのように苦労した末、

ついにクラインは

柱の先端まで登ることができました。

しかし、今回初めて、一番上まで

上がって来たわけでは

ありませんでした。

クラインは数日間、このようにして、

いくつかの柱を登っては降りたりを

繰り返していました。

 

クラインは、

どうか今回は・・・と願いながら

天井に向かって辛うじて手を伸ばし、

ドンドン叩いてみました。

しかし、以前と同様、 叩く度に、

がらんとした空間から

音がするだけでした。

やはり地上と地下の大神殿の間に

別の空間があるに

違いありませんでした。

 

クラインは漠然とした気分で

滑らかな天井をにらみつけました。

一体、こんな所に

何があるのだろうかと考えていた時、

自分を呼ぶ懐かしい声が

聞こえてきました。

皇帝の声でした。

 

クラインは目を大きく見開いて

きょろきょろと見回しました。

しかし、確かに声は聞こえるけれど

皇帝の姿は見えませんでした。

互いに呼び合っているうちに、

クラインは、皇帝の声が地下ではなく、

少し離れた天井の上から

聞こえて来ていることに気づきました。

 

クラインは柱を抱き抱えたまま、

天井を叩きながら、

できるだけ大きな声で、

自分はここにいる。

答えてくださいと叫びましたが、

こちらと違って、皇帝は、彼の声が

全く聞こえないようでした。

 

自分はここにいると、

いくらクラインが叫んでも

皇帝には聞こえないようなので、

クラインは

やっとの思いで登った柱から

降りました。

急いで降りたために、服が破れて

柱に体が擦れて赤くなりましたが、

彼は少しもたじろぐことなく

落ちるように下がりました。

 

地面に着くや否や、

クラインは音がした方へ走りながら、

自分はここにいると

声が張り裂けそうになるくらい

叫びました。

 

ラティルは何度も、クラインを呼び、

彼も、

自分はここにいる、

どうか返事をしてと全力で叫びました。

しかし、皇帝の声は

どこかへ移動していしまいました。

クラインの目から、

涙がぽつりぽつりと落ちました。

◇またあとで◇

ラティルは大声を上げていると

砂が口の中に入って来たので

急いで口を閉じました。

砂は喉の奥まで入って来たので

しばらく咳込んだ後、

水で口をすすぐと、辛うじて

息をすることができました。

 

あまりにもバカみたいに

探し続けてしまった。

 

ラティルは叫び続ける力もなくなり

岩に背を向けて頭を抱えました。

ここで叫んだとしても

クラインは聞くことができないと

思いました。

 

冷たかった砂漠の上に

徐々に暖かい空気が上って来ました。

ラティルは、

ぼんやりと頭を上げました。

真夜中に来たのに、

もう日が昇ろうとしていました。

 

ラティルは、

懐から懐中時計を取り出して

時間を確認すると、

まもなく業務の始まる時間でした。

ラティルは時計をしまうと、

後でまた来ると呟き、

力なく境界石の方へ歩いて行きました。

◇恐怖◇

自分はここにいると

必死でクラインは叫びましたが

ラティルの声が

だんだん聞こえなくなると、

走りながら涙を流しました。

 

ついにラティルの声が完全に消えると

クラインは突然怖くなり、

目の前の柱をつかんで

上に登り始めました。

今度、ラティルを逃したら

二度と会えないのではないかと

恐怖を感じました。

 

しかし、急いで登っていたために

腕を捻り、体が

すっと滑ってしまいました。

クラインはそのまま地面に墜落し、

頭をぶつけました。

徐々に意識が遠ざかる中、

彼は天井に向かって

かろうじて腕を伸ばし、

 

陛下・・・

 

と呟きました。

◇それは何?◇

ラティルはゆっくりと

境界石に向かって歩きました。

太陽が昇るにつれて

砂を含んだ風は強くなり、

ラティルが境界石付近に着く頃には

ほとんど霧のように

視界を遮っていました。

 

見つからなかった!

呼んでも返事がなかった!

 

ラティルは境界石を越えながら

絶望的に叫びました。

境界石を越えた途端、

2つの空間の空気が違うかのように

砂嵐が横に追いやられました。

 

ラティルは顔を上げると

ゲスターの向かいに、

誰だかわからない魔術師が、

杖を持って立っていたので

驚きました。

 

あの人は誰なのかとラティルが尋ねると

ゲスターは敵から視線を離すことなく

レアン皇子が送った白魔術師のようだ。

自分が一人になるや否や、

いきなり笑いながら攻撃して来たと

答えました。

 

白魔術師と聞いて、ラティルは

白魔術師協会の上品な魔術師の群れを

思い出しました。

ラティルは、

彼も彼らの中の一人なのかと

考えていると、白魔術師も

ラティルを上から下まで見ながら

仲間みたいだけれど、

ラティルも黒魔術師なのかと

尋ねました。

 

彼女はアドマルの中に

3、4時間、滞在している間に

あの白魔術師とゲスターが

一対一で戦ったと聞き

心から驚きました。

 

それでは、この2人は、

3、4時間、戦っているのだろうか。

それにあの白魔術師は

ラティルのことを

全く知らない様子でした。

 

彼も強いのだろうか?

 

ラティルが驚いている間、

白魔術師はラティルの方へ

杖を伸ばすと、そこから何かが

さっと飛んで来ました。

ゲスターは同じ方向に

一緒に手を伸ばすと、

ラティルは自分の顔の辺りで

巨大な2つの力が衝突するのを

感じました。

髪の毛が強風に当たったように

後ろになびいたかと思ったら、

遠くない横の方から

ポンという音がして

砂がラティルの身長の3倍は高く

舞い上がりました。

そちらを見ると、

そのぼやけた砂煙の間から

白魔術師が姿を現しました。

彼が握った杖はラティルに

向けられていました。  

 

白魔術師が振り回した杖を

再びゲスターは

自分の剣で防ぎました。

 

2度の衝突の後、

白魔術師とゲスターは

再び距離を空けて

立つようになりました。

 

その距離を把握するや否や

ラティルはポケットから

固い物を取り出し、

白魔術師に投げつけました。

杖を振り回そうとした白魔術師は

それをちらっと見ると、

杖の先で、そちらの方を

さっと叩きました。

すると、小さな網が飛んで来ましたが

ラティルが投げた物は

全く網の影響を受けず、

網が煙でもあるかのように

そのまま突き抜けて進み、

速度も落ちませんでした。

それは、

目を見開いた白魔術師の額に

当たり、そのまま落ちました。

大きな音がした後、白魔術師は

ラティルを大きな目で見つめると

倒れました。

 

ようやくラティルは息を整えると、

あれは誰なのか。

レアンは、あんな白魔術師を

どこで手に入れたのか。

白魔術師協会に

あのような魔法使いがいるのか。

白魔術師たちは

うまく戦えないのではないかと

ずっと気になっていたことを

尋ねました。

 

ゲスターはラティルに

何を投げたのかと尋ねると、

ラティルは皇帝の印章だと

答えました。

 

ラティルは、

倒れた白魔術師の近くまで

歩いて行きました。

白魔術師は気絶したまま

砂に顔を埋め、

微動だにしませんでした。

皇帝の印章を拾ったラティルは、

そこについた砂をフーフー吹き払い

ポケットに入れました。

 

ゲスターは

どこから持って来たのか、

ロープで白魔術師を

しっかり縛りながら

クラインのことを尋ねました。

ラティルは、

見つからなかったと答えると

ゲスターは、

あの白魔術師と何時間も戦うなんて

彼はとても強いのかと尋ねました。

ゲスターは、あまり強くないと、

普段より、少し短く答えると、

眉をしかめました。

 

そうしているうちに

ラティルと目が合うと、

倒れた白魔術師を

足で一度蹴りながら、

相克だから厄介なだけだ。

相手は全然強くないし、

自分が弱いわけでもない。

自分は強いけれど、

よりによって、ここにいるからと

ランスター伯爵は

目でアドマルを指し、

脇腹に白魔術師を抱えて立つと

片腕を広げました。

 

ラティルは、

いつランスター伯爵と交替したのかと

尋ねた後、

何度もアドマルを振り返りながら

ランスター伯爵の腕を握りました。

 

ラティルは

息詰まるような思いがしました。

クラインは一体どこにいるのか。

レアンは、こんな白魔術師を

どこで手に入れたのか。

ゲスターが黒魔術師というのは

どうやって知ったのか。

 

息詰まるような気持ちは

宮殿に戻って来て

白魔術師が消えたことを発見すると、

さらに大きくなりました。

 

白魔術師は跡形もなく消え、

ランスター伯爵が

わき腹に抱えていたのは

白い子犬でした。

キャンキャン吠える犬を見る

ランスター伯爵の表情が一瞬にして

殺伐としました。

◇あの女は誰?◇

一匹の白いイタチが、

つかつか部屋の中に入って来て、

コーヒーテーブルに腰掛けると、

あっという間に大きな人に

姿を変えながら、

自分に話してくれなかったことが

もっとあると思うと

レアンを避難しました。

彼はコーヒーを

半分くらい吐きました。

 

レアンはハンカチを急いで取り出し、

口元を拭きながら

 

何を?

 

と尋ねると、白魔術師は、

ゲスターという

黒魔術師ではなく、

彼と一緒にいる女は誰かと

尋ねました。

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ラティルがいない時は、

怖いもの知らずで

果敢に怪物と戦うクラインが、

ラティルが、

近くにいると分かった途端、

ヘタレになってしまう。

やはり、クラインは、

ラティルのそばにいない方が

思う存分、本来の実力を

発揮できるのではないかと

思ってしまいました。

 

白魔術師を倒せなかった

ランスター伯爵は

ラティルが皇帝の印章で

白魔術師を気絶させたことに

プライドが傷ついたのではないかと

思います。

必死で言い訳している姿が、

いつものように皮肉っぽくないと

思いました。

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