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問題な王子様 40話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 30話 みっともない孫娘

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40話 バーデン男爵夫人はタブロイド紙のエルナの記事を読んで、倒れてしまいました。

 

今日もパーベルは留守でした。

眉を顰めて、玄関のドアを

見つめていたエルナは、

もう一度力いっぱいノックしました。

そのせいで、めまいがして

体がふらつきましたが、

幸いにも転びませんでした。

しかし、トランクが階段の下に

転げ落ちてしまいました。

 

エルナは、軽くため息をついた後

手紙をドアの隙間に挟みました。

そしてゆっくり、

転ばないように気をつけながら

階段を下りてトランクを

持ち上げましたが、

ただでさえガタが来ていた持ち手が

壊れてしまい、エルナは

絶望的なため息をつきました。

ただそれだけなのに、

なぜか悔しくて悲しい気持ちが

込み上げて来ました。

 

興奮が収まるまでの間、

閉じていた目を開けたエルナは

まず持ち手がガタガタする

トランクを引いて

階段の手すりにもたれかかりました。

直せるかもしれないという

期待を抱いて、

隅々まで調べましたが、

片方の持ち手の金具が

完全に壊れていて、

手の施しようがなさそうに見えました。

 

途方に暮れた目で、

ドアと路上を見ていたエルナは

玄関につながる階段の端に

力なく座り込みました。

しっかり心の準備をして

道に出たけれど、

トランクが壊れたという

想定外の出来事に、

対策のようなものがあるはずがなく

だから、考えてみてと

いくら自分に言い聞かせても、

頭の中は、ただ

ぼんやりしているだけでした。

 

通行人の視線を避けて頭を下げると、

彼が帰って来なかったという

昨夜の記憶が、

突然、浮び上がりました。

エルナは、明け方まで、

長い間、彼を待っていました。

 

実は夕闇が迫る頃から、

彼が帰って来ないだろうと

ぼんやりと予感していたようでした。

それでも、寝そびれて、

しきりに窓の前をうろつく自分の姿に

ふと気づいた瞬間、エルナは、

もう本当に、この都市を

去らなければならないと

決心しました。

 

ぼーっとしていた頭が

次第にすっきりすると、

エルナは、ついに

階段から立ち上がりました。

トランクを抱えてでも

駅に行くという決心を固めた時、

街中に響き渡るほどの大きな男の声が

エルナを呼びました。

彼女は驚いて振り返りました。

予想した通りパーベルでした。

 

シュベリンにいたんだと

パーベルに声をかける

エルナの顔いっぱいに、

笑みが広がりました。

約束を破ったという恨みより、

彼が無事だったという安堵感の方が

勝っていました。

 

しかし、パーベルは、

とても怒ったように

強張った顔で駆けつけると、

いきなりエルナの手首を握り、

一体、これはどういうことなのかと

尋ねました。

エルナは、

どうしたのか、何かあったのかと

尋ねると、パーベルは、

必死に感情を抑え、

激しく息をしながら、

まずは、病院に行くと言いました。

言うべきことと聞くべきことが

数えきれないほど多かったけれど

今は何よりも

バーデン男爵夫人が重要でした。

 

顔を上げたエルナに

まともに向き合ったパーベルは

思わず眉間にしわを寄せました。

エルナの血の気のない顔のあちこちに

微かに痣の痕と傷がありました。

この前、彼をひどく怒らせたのと同じ

暴力の痕跡でした。

 

パーベルは、

彼が、またエルナに

手を出したせいで、

こんなことが起きたのかと

尋ねました。

 

しかし、エルナは、

不吉な予感に捕らわれたのかように

沈んだ目つきで、

その話は後でするので、

まずは、なぜ病院に行くのか

教えて欲しいと頼みました。

 

パーベルは、

驚かないで聞いて欲しい、

バーデン男爵夫人は

今、病院にいる。

ショックを受けて倒れたのだけれど

心臓に無理がかかったみたいだと

説明しました。

 

パーベルは、ふらふらしたエルナを

しっかり支えました。 

パーベルは、

まずは、おばあ様の所へ

行かなければならないと言いました。

侍従が差し出した

タブロイド紙を見たビョルンは、

どうやら時代を間違えて

生まれたようだという結論を

下しました。

 

ざっと目を通した後、

ビリヤード台の端に置いた新聞には、

今日も、かなりよく写っている

彼の写真が掲載されていて、

それだけは、依然として

称賛に値しました。

 

ビョルンは、

気に障る野郎の首ぐらい、

意のままに、ふっ飛ばしても

別に問題にならない

適度に野蛮な時代に

生きるべきだったと言うと

キューでボールを突いて、

目標物に正確に当てました。

吐き出している言葉とは裏腹に

ビョルンの唇には爽やかな笑みが

浮かんでいました。

 

何気なく新聞を見た

レオニードの表情は、怒りから驚愕、

そして当惑に変わりました。

ビョルンが、

首をふっ飛ばしたいと思っている

野郎が誰なのか、十分に推測できる

汚くて刺激的なスキャンダルでした。

 

ビョルンは、

最高だ。次回が期待されるほど

筆力が増していると

皮肉を言いました。

レオニードは、

こんな下品なマスコミは

制裁が必要なようだと言うと、

ビョルンは、

自分が買ってしまおうかと返事をし、

テーブルに置かれたグラスを

握りました。

そして、自分のおかげで

ゴシップを手に入れて

販売部数を上げているのだから、

半分は、自分が

食べさせているようなものだ。

社主になって、利益でも分け合えば

少しは悔しくないと思うと言うと、

「お前の番だ」と目配せして、

レオニードを催促しました。

 

狂っていると、

独り言をつぶやいたレオニードは

渋々、キューを持ちました。

普段の実力の半分も発揮されないため

ゲームはビョルンに

有利に流れていました。

 

エルナ・ハルディとの結婚を

許したという母親の言葉に驚いて

駆けつけると、ビョルンは、

訳もなく笑いながら、

ビリヤードでもしようと

戯言を言いました。

レオニードは当惑しましたが、

グレディスとの離婚のニュースが

国中を揺るがした日にも、

自分に同じことを言った彼のことを

思い出したので

その非常識な提案に応じました。

 

その日もレオニードは、今日のように

自分の実力を発揮できず、

結局ビョルンが勝利を収めました。

 

つまらないゲームの勝利が、

すごい成果でもあるかのように笑う

ビョルンを見ていたレオニードは

結局、涙を見せてしまいました。

呆れた現実が与えた怒りと悲しみを

抑えきれなかったためでした。

 

ビリヤードに1回負けたからといって

泣くほどではないという

呑気な冗談とは違い、

彼の肩を叩くビョルンの手は

柔らかいものでした。

 

その日、2人の兄弟は、

日が暮れる頃まで

ビリヤード台に並んで座り、

窓越しの風景を眺めました。

咲き乱れた花が風に散っていた

晩春のことでした。

 

レオニードは、

かなり深刻な目でビョルンを見ながら

結婚するのかと尋ねました。

ビョルンは、

気でも触れたのかと言うと、

意地悪そうに、

クスクス笑いましたが、

レオニードの表情は

少しも変わりませんでした。

 

心が複雑になるほど、

ふざけて、軽くなる人。

レオニードが知っている

双子の兄はそうでした。

あの時も、今も同じでした。

 

あの日のように、ゲームは

ビョルンの勝利で終わりました。

残りの酒を飲み終えたビョルンは

ビリヤード台に腰掛けて

日の暮れる空を眺めました。

 

父親が落とした爆弾のせいで

忘れていた女との約束を

思い出したのは、今朝、

シャワーを浴びていた時でした。

 

きちんと決着をつけ、

自分の人生から、彼女の存在を

きれいに消すという決心をした

ビョルンは、

急いでタウンハウスに向かいました。

しかし、エルナは

すでに姿を消した後でした。

 

彼女は、

これまでのことを、

とても感謝している。

お金は要らないと、

多分に礼儀正しく

形式的に感じられる手紙を

寝室のテーブルの上に

残して行きました。

 

気に障る態度でしたが、

ビョルンは

放っておくことにしました。

お金は人づてに渡せばいいし、

女性を、わざわざ探す理由も

ありませんでした。

これ以上、

頭を悩ませなくて済むよう、

この辺で、自ら去ってくれて

すっきりした気分になりました。

 

結婚などという

とんでもない父親の命令は、

女性が泊まっていた寝室の

窓際に寄りかかりながら吸った

一本の葉巻の煙で舞い散らしました。

 

あの女性の家族が

失踪届まで出して騒ぎを起こすことを

予想できなかったのは

明らかに失敗でした。

しかし、どうせ、あの女性は、

世間とかけ離れた田舎の村に帰ると

言っていた。

この街の喧騒が届くには

あまりにも遠いので

間もなく静かになるだろうし、

彼女の人生は

本来の軌道に乗るだろう。

 

ビョルンは

最後に葉巻の灰を払い落とし、

すっきりとした結論を下しました。

 

ビョルンをじっと見ていた

レオニードは、

グレディスが与えた傷を

すべて消してくれるような良い女性に

ビョルンが出会って欲しいと

老人のような声で言いました。

そして、両親がどう思っているか

分からないけれど、

自分はハルディさんが嫌いだと

言いました。

 

ビョルンは眉を顰めながら、

殿下は酔っているのか。

しかし、レオニードは

退く気配を見せませんでした。

 

折しも、中に入って来た

フィツ夫人の顔が、

とても嬉しく思えました。

 

フィツ夫人は、

レオニードの存在が気になるのか、

ハルディさんが・・・と

困ったように言葉を濁しました。

しかし、ビョルンは、

話すようにと、あっさり命じました。

すでに解決済みの女性に関する

ニュースなら、あえて、

秘密にしなければならないことは

もう残っていませんでした。

 

フィツ夫人は、

ハルディさんが、今、

王立シュベリン病院にいると

話しました。

「病院?」と聞き返すビョルンの声に

刃が立ちました。

レオニードも当惑した表情でした。

 

冷ややかな2人の王子の目の前で

しばらく立ち止まったフィツ夫人は

乾いた唾を飲み込んだ後、

バーデン男爵夫人が、今朝、

警察で倒れて病院に運ばれた。

ハルディさんは、今そこで、

祖母の面倒を見ているそうだと

説明しました。

孫娘の、到底信じられない

みっともない姿を見た

バーデン男爵夫人は、

「堕落した」としか

言えませんでした。

額をピクピクさせると、

彼女のやせ細った手が

力なく震えました。

 

その姿に驚いたエルナは、

すっくと立ち上がると、

バーデン男爵夫人の呼吸と体温を

確認しました。

その思いやりのある優しい態度は、

間違いなく本来のエルナでした。

 

エルナは祖母に、

興奮してはダメだ。

お医者さんに言われたではないかと

注意しましたが、

それをよく知っている子が

そんな顔をしているのかと

バーデン男爵夫人は目を細めて

孫娘を見ました。

下品な白粉とルージュで化粧した

どう見ても、

エルナとは思えない顔でした。

男爵夫人が意識を取り戻した時から

エルナは、そんな姿で

付き添っていました。

 

エルナは、

これは都会の最新の流行だと

説明しましたが、祖母は、

この下品な都市が、

エルナを堕落させてしまったと

嘆きました。

一生、口にすることのないような

言葉を、平気で話すエルナが

彼女の悲嘆を深めました。

 

大公とのことはデマだ。

ここで知り合った友達と、

数日、一緒に遊んだだけなのに、

些細な誤解があったと

エルナは釈明しました。

 

子供でも騙せないような嘘は、

むしろ、その噂の信ぴょう性を

高めるだけでした。

流行というものに心酔して

不健全な連中と交わり、

それでも足りずに

男の家に泊まるなんて。

 

男爵夫人は、

そのダメな王子に溺れて、

もがいている孫娘を見ると、

この子を絶対に、

ここに来させてはならなかったと

遅ればせながら後悔し、

痛嘆しました。

 

バーデン男爵夫人は

もう休みたいと、

疲れた声で囁きました。

行方不明になったとばかり

思っていたエルナが、

こうして現れたのは

奇跡のように嬉しいことだけれど

放蕩王子とのスキャンダルと、

みっともない姿のことを考えると

胸が張り裂けそうになりました。

 

彼女をじっと見ていたエルナは

素直に頷き、

ゆっくり休むように。

食事の時間になったら

起こしてあげると言いました。

 

グレベ夫人に席を譲ったエルナは

静かに病室を離れました。

足早に廊下の端まで歩いて

病院の庭が見下ろせる窓の前に立つと

我慢していた、ため息をつきました。

ガラス窓には、

傷を隠すために雑に化粧をしている

エルナの目にも、酷く見える

見慣れない顔が映っていました。

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国中の称賛を浴びて、愛されて、

完璧な王妃になるだろうと期待され

皆が跡継ぎだと思っている子供を産んだ

グレディスと離婚するのは、

何も知らない人々にとっては

到底、許し難いことだったと思います。

それでも、ビョルンは

デナイスタの血が流れていない子供を

跡継ぎにするわけにはいかなかったので

グレディスと離婚した。

けれども、何も知らない人々は

たかが、浮気したくらいで離婚し

子供まで捨てるビョルンに

疑問を抱いたはず。

それが、怒りに変わり、

グレディスとの離婚を発表した後、

人々は、烈火の如く、ビョルンを

執拗に攻撃し続けたではないかと

思います。

今のビョルンは、

何を言われても平気になったけれど

離婚した当初は、

自分は何も悪くないのに、

なぜ、ここまで責められなければ

ならないのかという葛藤が

少しはあったのかもしれません。

それで、心を落ち着かせるために

レオニードを

ビリヤードに誘ったのではないかと

思いました。

 

一方、今回は、

国王にエルナとの結婚を認められて

かなり動揺していて、

レオニードをビリヤードに誘った。

ビョルンは、

彼女が自ら出て行って良かったと、

自分に言い聞かせているけれど

ビョルンがレオニードを

ビリヤードに誘う時の理由を

知っている彼は、王妃同様、

ビョルンの気持ちを、ある程度、

分かっているのではないかと

思います。

*************************************

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

寒さを忘れさせてくれるような

皆様の熱いコメントに

感謝の気持ちでいっぱいです。

 

次回は金曜日に更新しますので

しばらく、お待ちください。

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