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泣いてみろ、乞うてもいい 39話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 面白さを作れば良い

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39話 レイラはカイルに、自分の決意を告げました。

 

数日前の午後、

レイラに会いに出かけたカイルは、

魂が抜けた人のように

茫然自失して帰って来ました。

口を固く閉ざしたまま、

自分の部屋に閉じこもっている

息子の姿から、エトマン夫人は、

その日の二人の会話を

推察することができました。

やはり、あの子は賢かったと

エトマン夫人は安堵しました。 

 

家政婦は、

今日も坊ちゃんは食事をしていないと

心配そうな顔で告げましたが

エトマン夫人は、

放っておくように。

心が乱れている時は

食べるのも苦痛だろうからと

返事をしました。

 

息子が一食だけ抜いても

戦々恐々としていた彼女の

意外な返事に、

家政婦は目を丸くしましたが

この辺で引き下がりました。

 

エトマン夫人は、

久しぶりに庭に出て

花壇を手入れしました。

エトマン家の庭園には、

アルビスのバラ園から持ってきた

貴重な品種のバラが

たくさんありました。

エリーゼ・フォン・ヘルハルトが

親しい奥様たちにだけ

渡すものでしたが、

エトマン夫人は、かなり多くのバラを

プレゼントされていました。

このカルスバルで、爵位なしに

ヘルハルト家の二人の奥方と

交友する夫人は彼女だけでした。

それが、どれほど大きな誇りだったか

分かりませんでした。

 

老婦人が紹介してくれた

下位貴族の家の娘と

カイルが結婚すれば

エトマン家の地位も、

さらに確固たるものになると、

彼女は信じて疑いませんでした。

そこまで行くのに、

どれだけ苦労したことか。

それなのに、彼女の夫と息子は

たかがレイラを手に入れるために

そのすべての努力を

無駄にしようとしました。

 

あの可哀想な子供に、

大きな過ちを犯した事実を

エトマン夫人は喜んで認めました。

しかし、後悔していませんでした。

カイルのためなら、

それより数倍もっとひどいことでも

いくらでも耐えることができました。

自分のレベルに合った良い夫を

探すことが、

結局レイラにとっても

良いことになるだろうと

彼女は思いました。

 

エトマン夫人が

花瓶にバラを美しく飾っている間に

エトマン博士が帰って来て、

まだカイルは閉じこもっているのかと

尋ねました。

エトマン夫人は

悩みが多そうだと答えました。

 

エトマン博士は、

どうやらレイラと何かあったらしいと

呟くと、エトマン夫人は、

自分がレイラに一度会ってみると

快く言いました。

「あなたが?」と

訝しがるエトマン博士に、

エトマン夫人は微笑みながら、

カイルは自分の息子でもある。

あなたよりも何倍も愛している

息子だと告げました。

エトマン夫人が訪ねてきた時、

レイラは庭の隅に座って

大きな釜を磨いていたところで

エプロンはもちろん、

袖と頭の先まで濡れていました。

 

レイラは、

そんなに慌てた様子もなく

立ち上がると、彼女に挨拶をし

中に案内しようとしましたが、

レイラを上から下まで

ゆっくり見たエトマン夫人は、

その必要はないと言って

首を横に振ると、

持って来た皮の袋を差し出しました。

 

その中に入っているものが何なのか

レイラは見なくても分かりました。

危うく習慣のように

お礼を言いそうになりましたが

レイラは落ち着いて

金の入った袋を受け取りました。

 

口を固く閉じたまま

じっと見つめているレイラの視線が

気に入らないのか、エトマン夫人は、

眉間にしわを寄せました。

彼女は、レイラが

言いたいことがたくさんありそうな

顔をしていると指摘しました。

レイラは「はい」と

躊躇わずに答えました。

エトマン夫人が失笑すると

レイラは、

胸がドキドキし始めましたが、

あのティールームにいた時のように

ただ、頭を下げたままでいたくは

ありませんでした。

 

エトマン夫人は

それも当然だろうから

理解してやると言って

善良そうに笑いましたが、

口元は、依然として

硬くなっていました。

 

エトマン夫人は、

カイルとの話を

うまく終えられたようだと

指摘しました。

レイラは、

それをよく知っているから

お金を返してくれたのだと思うと

返事をしました。

 

エトマン夫人はレイラに、

何を話したのかと尋ねました。

以前とは明確に異なる

レイラの態度が不安になり、

瞳が揺れました。

 

レイラは、

自分が、あの日のことを、

ありのままカイルに

話したのではないかと

心配しているだろうけれど、

そんなことは言っていないと

答えました。

 

エトマン夫人は、レイラが、

こんなに、とんでもない子だとは

知らなかったと非難すると、

レイラは、

失礼な言い方をしたのなら申し訳ない。

ただ、自分は、カイルが

あの日のことを知らないと

伝えたかっただけだと言うと

頭を下げました。

しかし、再びエトマン夫人を見る目は

一層まっすぐで、

清らかになっていました。

 

レイラは、

カイルには話さなかったし、

これからも絶対話さない。

他の誰でもない、

カイルのためにそうするつもりだと

告げました。

 

レイラは、

カイルの名前を言っただけで

胸がドキドキしました。

あの日、あの小川に置き去りにした

カイルの姿は、

おそらく一生消えない痛みとして

残るかもしれないと思いました。

 

エトマン夫人は、

カイルのため?と

可笑しいというように

問い返しましたが、

レイラは動揺しませんでした。

彼女は、カイルが母親を、

とても愛していることを知っている。

自分にとって、どんな人であれ、

カイルにとっては大切な母親なので、

カイルが知っている、その母親を

守ってあげたいと言いました。

 

エトマン夫人は、

こんなに、こましゃくれて大胆な子が

今まで、どうして、

いい子でおとなしい顔をして

生きてきたのかと非難すると

レイラは、もう一度丁寧に頭を下げて

謝りました。

エトマン夫人は、その態度が

嘲弄のように感じられて、

頬を赤らめました。

 

レイラは、

自分の心に偽りはないので、

心配する必要はないということを

話したかったと言いました。

エトマン夫人は、

そんなに自信を持って

約束するのだから、

一度信じてみることにすると言うと

眉を顰めることで安堵感を隠しました。

 

エトマン夫人は、

レイラが、そんなに

カイルのためだと言うので

破談になった理由も、

最大限カイルに被害が及ばない方向で

説明してくれるだろうと信じると

言いました。

 

レイラは、そうすると答えると、

ゆっくり視線を上げましたが、

一つの言葉に対しては謝って欲しいと

要求しました。

エトマン夫人は、

何を謝るのかと尋ねると、

レイラは、

エトマン夫人が自分に言ったことは

それが真実でなくても

すべて受け入れることができる。

しかし、

ビルおじさんが自分を引き取って

育ててくれたのが悲劇で、

そんなビルおじさんが恨めしいと

言ったことは、

必ず謝って欲しいと、

そっと力を込めた声で要求しました。

袋を持つ手が真っ白になりましたが、

レイラは退きませんでした。 

水泳をして帰る途中、

まっすぐ邸宅に向かっていた足を

衝動的に小屋に向けたのは、

泣いているレイラを

見物するためでしたが、

意外なことに、面白い話を

盗み聞きすることができたので、

マティアスは、クスクス笑いながら

壁に背中をもたせかけました。 

涙より、もっと面白い見世物に

出くわしたので、

良い選択をしました。

 

エトマン夫人の表情を見たかったけれど

マティアスは忍耐しました。

彼が登場すれば、この楽しい演劇が

幕を閉じてしまうからでした。

 

裏庭に面しているレイラの部屋の窓に

寄りかかったマティアスは、

窓枠に座って

餌をつつく白い鳩を凝視しながら

リンダ・エトマンの返事を待ちました。

 

これだから生まれは騙せないという

彼女の声は、隠し切れないほど

大きくなった怒りで震えていました。

 

エトマン夫人は、

謝るのではなく、

レイラのような子供を引き取って

育てたレマーさんを

むしろ、同情してあげたいと

言いました。

マティアスは、

今回も的中した予想に満足し、

おとなしい鳩を撫でました。

嘆かわしいことだと思いました。

 

マティアスは、

あの日、窓越しに見た、

冷や汗びっしょりの姿で、

とても悲しそうにすすり泣いて、

息もろくにできずに身震いする

かなり情けない格好のレイラのことが

ふと思い浮かびました。

 

大声を出して

言ってやればいいのに、

そう思わないかと

鳩に向かって低い声で囁いた

マティアスは、興ざめして

小屋を後にしました。

レイラが面白さを与えられなければ、

彼が面白さを作れば良いことでした。

公爵邸の使用人たちと会う度に

お喋りなモナ夫人は、

レイラとカイルの縁談が壊れた

理由を知っているか。

今ちょうど、郵便配達人が

話してくれたけれど、

エトマン夫人が、他の人に頼んで

レイラの学費を盗ませた。

彼女は、レイラに大学を諦めさせ、

カイルとの結婚も諦めさせるつもりだと

怒りに満ちた声で、

爆竹を爆発させるように話しました。

 

皆は約束したかのように

空笑いをしましたが、

モナ夫人は、

信じられないのは分かる。

自分も最初はそうだったから。

しかし、エトマン夫人の指図を受けて

お金を盗んだ男が

警察に捕まったそうだ。

それを郵便配達員が直接見て

警官たちから、どんな事情かも聞いた。

その男が誰なのか知ったら

皆びっくりする。

なんと、その泥棒は、

エトマン夫人の従弟である

あの実業家のダニエル・レイナーだ。

エトマン夫人は、

そんなことをしておきながら、

レイラを別に呼び出し、

自分がその金を盗んだとしても、

あえて自分の息子と結婚するのかと

レイラを

追い詰めさえしたそうだ。

その話を偶然聞いていたある紳士が、

どうも怪しいと警官に知らせ、

ダニエルは捕まったそうだと、

熱っぽく、劇的に語りました。

 

そして、

そんな悪心を抱いて、

あの可哀想な子に、

そんなことをするなんてと、

怒りを抑えることができなかった

モナ夫人の声は、ますます高まり

聴衆は唖然とした顔をしました。

 

そうだと思った。

何もないのに、レイラが

大学も結婚も諦めるはずがない。

 

いくらなんでも、

あの高尚なエトマン夫人が、

そんな残酷なことを

することができるのだろうか。

 

興奮した人々は、

我先にと言葉を付け加えました。

彼らは、間もなく

モナ夫人と同じくらい熱心に

事件の真相を知らせ始めたので

半日も経たないうちに、その話は

アルビス中に広まりました。

 

このくらいで怒りが解けた

モナ夫人は、午後遅く、

黙々と仕事をするビル・レマーを

発見しました。

おそらく、あの鈍感な男は、

まだ、このことを知らないだろうと

思いました。

 

いくらモナ夫人でも、

相手の胸に釘を打つ話をするのは

あまり嬉しくありませんでしたが

ビルは、レイラの父親同然の男で

誰よりも

このことを知るべき人でした。

 

仕方がないけれど、

自分が伝えなければならないと

決意を固めたモナ夫人は

庭に向かって小走りし始めました。

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モナ夫人、Good jobです(^^)

 

レイラは思いやりがあって

本当に優しい女性なのに、

孤児だからという理由で

彼女を嫌うエトマン夫人。

カイルのためとか言いながら、

自分が貴族の姻戚になるために

邪魔なレイラを排除したいだけ。

このまま、マティアスが黙っていたら

どうしようと思っていましたが

やはり彼は期待を裏切りませんでした。

 

「大声を出して言ってやればいい」って

もしかして、マティアスは

レイラが彼に対して怒った時のように

エトマン夫人に抗議をすることを

願っていたのでしょうか?

マティアスが面白がる基準が、

よく分かりませんが、

子供の頃から、彼に面と向かって

怒ったり、歯向かったりする人が

いなかった中、マティアスにとって

レイラは新鮮な存在なのかも

しれません。

 

何はともあれ、

これでエトマン夫人は、

公爵家の老婦人と奥様に

見向きもされなくなるでしょうし

他の人たちからも、軽蔑の目で

見られることになるでしょう。

そうなっても、彼女自身が、

その結果を招いたのだから

仕方がないと思います。

************************************

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

ぺこちゃん様

私自身、すっかり忘れていた

20話のマティアスの感情の表現について

思い出させていただき

ありがとうございます。

マンガの表現の方が良さそうなので

修正しました。

 

DUNE様

私もリンダはレイラに

嫉妬していると思いました。

DUNE様のご意見に同感です。

 

メロンパン様

私は、手と足の冷えがひどくて

冬は暖房をつけても手と足は

温まらないので、

手足を温めるのに効くという場所に

カイロを貼っています。

というのは、表向きの理由。

裏の理由は、

手足が冷たかったら

カイロを貼るようにと言われ

保管していたカイロを

引っ張り出したら、

消費期限が5年前だったので(^^;)

この冬中に使い切らなければと

焦っております。

 

air0113様

自爆テロ

まさにそれですよね。

良い家の奥様がやることとは

思えません。

 

midy様

私も、こんな姑とは

絶対に一緒に暮らせません。

作者様は、

こちらで酷い姑になりそうな人を

登場させたので、

問題な王子様では、理想的な姑を

書きたくなったのかな?

と勝手に推測しました。

 

fukuten71416様

本当にリンダは残酷ですよね。

彼女のしたことが明らかになって

良かったです。

 

それでは、次回は月曜日に

更新いたします。

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