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泣いてみろ、乞うてもいい 41話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 変えられない現実

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41話 エトマン夫人の悪事が明るみに出ました。

 

夕食の席で、老婦人は、

エトマン夫人の話のことを

本当に汚い話だと

冷たく簡潔に評しました。

 

あれほど名望のある

医者の家門の奥さんが

盗みをそそのかして捕まるなんて

とんでもないというと、

眉を顰めました。

 

エリーゼも、

老婦人と同じような表情をして、

もうエトマン夫人との付き合いを

おしまいにしなければと

付け加えました。

 

昨夜警察署に連行された

リンダ ∙ エトマンは、

一晩そこに監禁されて、

今日の正午過ぎに

ようやく帰って来ました。

警察署に行ったビルとレイラが、

お金を取り戻したので、

彼女について

善処して欲しいという意思を

明らかにしたということでした。

 

エトマン博士が、このことで

大恥をかくことになった点は残念だ。

いい人だけれど、

主治医を変えるべきかと

エリーゼは尋ねました。

老婦人は、

エトマン博士の過ちではないので

その必要はなさそうだ。

この類の醜聞は、

ひとしきり騒ぎ立てた後。

すぐに収まるだろうと、

断固とした口調で、

エトマン博士に対する

変わらぬ信頼を示しました。

そして、カイルがこのことで

大きく傷つかなければいいと、

少し同情を示したりもしました。

 

食事が終わる頃、エリーゼ

こうなってみると、

あの子をアルビスに置くのを

許したことを後悔することもある。

レイラがいなかったら、

こんなことは起きなかっただろうと

突然言うと、

同調を求めるかのように

クロディーヌを見ました。

彼女は、喜んで頷くと、

本意ではないとしても

レイラがエトマン家を台無しにしたと

力を込めて話しながら

こっそり、向い側を見ました。

 

本来も、それほど口数が

多い方ではないけれど、

今夜の夕食会で、

マティアスは特に静かでした。

しかし、特に変わった様子もなく

いつものように穏やかでした。

 

食事が終わると、

マティアスは寝室に向かいました。

 

あの日、彼は、ヘッセン

リンダ・エトマンを尾行した男を

郵便配達員が出入りする時間に合わせて

警察署に送るよう指示しました。

配達員は、

アルビスまで管轄しているので、

すぐに噂が広がるはずでした。

そして、

すべてが予想通りに進みました。

口がむずむずする郵便配達人に

会った人が、

よりによっておせっかいな

アルビスの料理人だった点が

特に大きく役立ちました。

型にはまったように、

ありふれていて古臭かったけれど

まあまあ面白かったと

マティアスは思いました。

 

リンダ・エトマンは

泣いたのだろうかと

しばらく考えていたマティアスは、

たぶん、

レイラみたいに泣いただろうと、

簡単に結論が出ると、この遊び場が

もう少し面白くなりました。

 

もうレイラ・ルウェリンと

カイル・エトマンの縁談は

取り返しのつかない線を

越えてしまった。

あの二人の気持ちがどうであれ、

結婚は不可能なことになった。

レイラ・ルウェルリンが

享受できるようになった

すべての幸運が消えたという

意味でもある。

 

酒を嗜まないマティアスでしたが

衝動的に飾り棚から酒瓶を取り出し

グラスに注ぎました。

 

レイラの翼が切れた。

だから、レイラは

アルビス塀の中に留まるだろうと

マティアスはグラスを持ちながら

淡々と考えました。

その事実が与える安堵感は、

自分に対する幻滅よりも

大きいものでした。

 

マティアスは、

鳥かごの中で眠っている

自分のカナリアを長い間見つめた後

窓越しに庭を見て、

再び手にしている酒を眺めました。

 

レイラと医師の息子が

結婚することになるという知らせを

聞いた春の夜、生まれて初めて

人の命を奪いたくなった

あの恐ろしい夜の記憶が浮び上がると

人が死ぬよりは、良い終わり方なので

今が、それほど悪くはないように

感じられました。

 

マティアスは、

一口も飲んでいない酒を

テーブルの上に静かに置きました。

アルコールの力のようなものを

借りなくても、

彼は、すでにこのつまらない心を、

彼の美しい不幸を捨てる方法を

知っていました。

持つことでした。

ビル・レマーは金を取り戻し、

彼の善処で、エトマン夫人が

処罰を免れることで、

学費盗難事件は一段落しました。

 

エトマン博士は、

ノックをしても返事がない

息子の部屋の扉を

ゆっくりと開けました。

カイルは机の前にぽつんと座っていて

彼が近づいても

ただ窓の外を見つめていました。

 

エトマン博士は、

再び息子に声をかけ、

肩にそっと手を置くと、

カイルは、びっくりして

後ろを振り返りました。

彼の顔は、

目立ってやつれていました。

 

エトマン博士は机の端にもたれかかると

母親が、もう大丈夫であることを

伝えました。

カイルは「はい」と生返事をしました。

 

警察署に連れて行かれた衝撃で

寝込んでいたエトマン夫人は、

ほとんど、飲食をしませんでした。

数日間、高熱に悩まされて

心配しましたが、

幸いにも危険なレベルまでには

至りませんでした。

 

エトマン博士は

ぼーっとしているカイルに、

彼がラッツで暮らす家を

探して来たと淡々と語りました。

「家?」と聞き返すカイルに

エトマン博士は、

一人で暮らすのに適当な家で

家具も揃っていると答えると、

カイルは、

自分一人で大学に行くのかと

失笑するように問い返しました。

 

カイルは、

レイラなしで、

彼女をあのように傷つけて、

自分だけ、平気で大学へ行けと

言うのかと言い返すと、

エトマン博士は、

カイルの気持ちは理解できるけれど

ここで、さらに意地を張っても

レイラを苦しめるだけ。

レイラとカイルの縁はここまでだと

受け止めよう。

それが、カイルとレイラ、

みんなのための唯一の道だ。

そして、

カイルはカイルの分の人生を

生きなければならないと

動揺することなく話しました。

 

ひどい状況だからこそ、

彼は、余計に

冷静にならなければならず

最も重要なのは

カイルを守ることでした。

カルスバルを離れれば、

レイラと離れれば、

大学という新しい世界に向き合えば

カイルの傷も

次第に薄れていくかもしれない。

それが今のエトマン博士の

唯一の希望でした。

 

そして、エトマン博士は、

確かに母親の過ちだけれど、

レイラを到底受け入れられない

母親の気持ちを、もう少し細やかに

見ることができなかった自分たちに

責任がないとは言えない。

あの人を窮地に追い込んだのは、

カイルと自分かもしれないと

言いました。

 

しかし、カイルは、

レイラが孤児で、

華やかな後ろ盾がなく

母親の虚栄心を

満足させることができなくて

受け入れられなかったことを

言っているのかと言い返しました。

 

エトマン博士は、

いくらなんでも母親のことを

そう言うのは許せないと

非難しましたが、カイルは、

母親が、自分の知っている、

愛する母親なのか、

自分が、どうして

大学に行かなければならないのかも

分からなくなったと言いました。

エトマン博士は

失恋した初恋のせいで

人生を諦めるつもりなのかと

非難しました。

 

その言葉に、カイルは、

自分にとってレイラが、

たかがそんな意味だったと

思うのかと尋ねました。

 

エトマン博士は、

そうでなければ、

もっと冷静にならなければならない。

カイルが、

こんなに馬鹿なことをすればするほど

レイラが苦しむだけだと

諭しましたが、カイルは、

レイラなしで、

一人で行くことはできないと

主張しました。

 

エトマン博士は、

カイルとレイラは、

もう取り返しのつかない仲になったと

言いましたが、カイルは、

泣き叫ぶように否定しました。

そして、

何か方法があるはずだ。

謝罪して、許しを乞うて、

レイラの心を変えれば・・・と

言いました。

 

しかし、エトマン博士はカイルに

しっかりするように。

それが不可能だということを

すでにカイルも

知っているのではないかと

声を昂らせ、

息子の肩をつかんで揺さぶりました。

 

現実を否定するかのように

首を横に振っていたカイルは、

父親の手を振り払った後、

部屋を飛び出しました。

息子が向かう所を知りながらも、

エトマン博士は、

カイルを捕まえることが

できませんでした。

苦しくても、

むしろ変えられない現実を

直視した方が良いかもしれないと

考えたからでした。

とりわけ蒸し暑い日でしたが、

レイラは、ブラウスの襟のボタンを

一番上まで留めて、

ストッキングまで履きました。

暑さのせいで頬が赤くなって

息苦しくなっても、

姿勢を正しながら歩きました。

人の目が届かない道に着いた後も

同じでした。

 

最近、レイラ・ルウェリンは

どこへ行っても同情されました。

人々は派手にレイラを慰め、

エトマン夫人を中傷したり、

舌打ちをしたり、

涙ぐんだりもしました。

 

遅れて教職を探しに来たレイラに会った

女学校の教師も、真っ先に

残念そうなため息をつくと、レイラに

元気を出して、現実的な解決策を

探さなければならない。

こうなってしまった以上、

残念だけれど仕方がないと、

レイラの手を握りました。

市内で会った顔なじみも同じでした。

 

彼らに感じる感謝の気持ちは、

ある程度の羞恥心を伴いました。

それでレイラは丁寧に挨拶し、

笑みを浮かべました。

その度に、人々の口元に浮かぶ

曖昧な微笑に関しては

考えないように努めました。

 

きちんとした姿と笑いを

維持することも大変で、

それ以上のことに注ぐ

余力がないという事実が

幸いでもありました。

 

教師は、

レイラの事情を考えてあげたいけれど

今は、これが最善だと言って

ため息混じりに、

汽車で1時間ほど離れた

小都市の学校を紹介しました。

すでにカルスバル内の学校の

新任教師の席は、

すべて埋まってしまったからでした。

 

悩んだ末、レイラは

その学校を受け入れました。

通勤は無理なので、学校の近くに

下宿を探す必要があるけれど、

週末にはアルビス

帰ることができました。

1年ぐらい、そうやって過ごせば、

カルスバルの学校に移る機会が

あるかもしれませんでした。

 

領地の雄大な出入り口の前に

到着したレイラは、

しばらく帽子を脱いで息を整えました。

他の誰よりも、

ビルおじさんに接することが

難しいと思いました。

レイラが笑うと、

ビルおじさんの目つきは

悲しそうになるけれど

だからといって彼の前で

涙を流すことはできませんでした。

それでも、今日は良いニュースを

伝えるので、大丈夫ではないかと

レイラは期待を抱いて歩きました。

 

遠い学校に

行かなければならないというのは

少し悲しいことだけれど、

永遠におじさんのそばを

離れることではない。

 

レイラは、

もう少し明るい笑みを浮かべて見ようと

努力しながら、小走りしました。

この知らせを、

早くビルおじさんに知らせたい気持ちで

庭に足を向けると、

バラ園に入るアーチの下を通る時

カイルと出くわしました。

レイラの目が丸くなりました。

 

何かに追われているかのように

彼女の手首をつかんだカイルは、

別人のようで、

見慣れない人に見えました。

彼は、レイラに逃げようと言うと、

つかんだ手に

さらに大きな力を入れました。

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リンダ・エトマンの悪事を

露見させるために

マティアスがやったのは

郵便配達員が警察に行く時間に

リンダを尾行させた男を

警察に行かせただけ。

おそらく、マティアスは

郵便配達員が

おしゃべりなことを知っていたので、

たったそれだけのことで

リンダの悪事を明るみにできると

計算したのでしょう。

賢い人だと思います。

けれども、

レイラをカナリアのように考えるのは

不気味です。

 

妻が不祥事を起こしても、

エトマン博士への信頼は揺るがず、

カイルのことも心配し、

レイラをアルビスに置いたことを

後悔するエリーゼに同調しなかった

老婦人は、

その人の背景を気にすることなく、

きちんと人を見て判断する人なのだと

感じました。

 

母親が虚栄心が強いことを

気づいていたカイル。

けれども、

カイルの熱意が通じて、

ようやく母親が

レイラとのことを認めてくれたと思い

彼女を食事に

招待までしてくれたことを

喜んでいたのに、この仕打ち。

父親にさえ、

もうレイラを諦めろと言われた

今のカイルの拠り所はレイラだけ。

あんなに明るかったカイルが

傷ついて、

打ちひしがれている姿を見るのは

忍びないです。

レイラが、

新たな一歩を踏み出したように、

カイルも、レイラのいない世界に

踏み出せるといいなと思います。

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