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泣いてみろ、乞うてもいい 20話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ マンガ 29、30話 自分のものである涙

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20話 母親に連れて行かれたカイルは・・・

 

公爵家の老婦人がエトマン一家に

アルント男爵家を紹介すると

提案したところ、

エトマン夫人の目は

心からの感嘆に満ちました。

そして、これほどまでに

大きな恩恵を与えてくれる老婦人は

本当に親切だと、

顔いっぱいに喜びを表すと

そのそばに立っている

カイルは困惑しました。

マティアスは興味津々の眼差しで

母子を見ました。

 

祖母は

有能で人柄も立派な主治医が好きで、

その息子も、

かなり可愛がっているということは

マティアスもよく知っていました。

おそらく、父に似ているカイルも

異変がない限り、

そのような人生を

生きていくだろうと祖母は確信し

マティアスも同意しました。

 

しかし、彼が、その退屈な事実に

あえて関心を持つ理由は

ありませんでした。

エトマン家の2人の男とは

確実に違うように見える、

かなり野望のある

リンダ・エトマンならまだしも。

 

老婦人が心変わりするのを

心配したのか、エトマン夫人は、

今、彼らに挨拶してもいいかと

体面を気にせず催促しました。

静かに見守っていたエトマン博士が

引き止めましたが、

彼女は、少しも意志を曲げる気が

なさそうでした。

 

格が同じくらいなので

交友して過ごしても良いという

言葉の裏に隠れた意味を知らない人は

誰もいませんでした。

 

アルント男爵には、

そろそろ結婚を考えるべき

カイルと同い年の娘が

一人いました。

爵位はないけれど、

エトマン家はアルント家より

はるかに裕福で、

名声も、決して劣りませんでした。

両家が姻戚関係を結ぶことになれば、

得をする側は、むしろ

アルント男爵かもしれませんでした。

 

それがいいと答えて

寛大な笑みを浮かべた老婦人は

侍従に、

アルント男爵夫妻を連れて来るよう

命じました。

 

庭に続くテラスを

チラッと見たカイルの表情は

大切な何かを

あそこに置き忘れてきたかのように

もはや隠すことができないほど

落ち着かない表情をしていました。

マティアスはクスッと笑いました。

 

息子に無限の愛着と期待を持つ母親と

その母親を失望させる方法を

知らない息子の間に

レイラを立ててみると、

もう一度、笑いました。

 

ちょうどその時、侍従に案内されて

娘と一緒に

アルント男爵夫妻が現れました。 

カイルも、その場の意味に

気づいたように見えました。

すぐにでも走り出したいという

目をしていても、

善良で礼儀正しい息子の役割を

手放せませんでした。

 

マティアスは、

つまらないお見合いの場を離れ

ゆったりとテラスを横切り、

階段を下りました。

 

善良な息子の儚い恋が

どんな結末を迎えるのかは明らか。

レイラは見捨てられ、

彼の森に残される。

 

明快な結論が出る頃、

マティアスは

庭の片隅にあるパーゴラの下で

レイラを見つけました。

少年を待たなければならないので

遠くには行かないだろうという

予想が当たりました。

 

マティアスは、さらにゆっくりと

そこに近づきました。

なぜ、いつものように、

驚いてあたふたしないのかと思ったら

レイラはぐっすり眠っていました。 

 

マティアスは、

ベンチから少し離れた所で立ち止まり

じっくり彼女を眺めました。

 

きちんと脱いでおいた靴。

傷ついた足。

膝を抱えている細い両腕。

眠っていると、

さらにおとなしく見える顔。

細い首筋と肩を包んでいる髪。

 

波打つ金髪の感触が気になった瞬間

マティアスは、

ゆっくりと腰を屈めて

靴を手に取りました。

その時、レイラは、

うつらうつらと目を開けました。

夢だと、

レイラは漠然と考えました。

マティアスは、

ベンチと向かい合うパーゴラの柱に

背を向けて立ちました。

片手には、靴を持ったままでした。

 

いくら夢だとしても、

あまりにも変ではないかと

疑問に思った瞬間、

かすかに残っていた眠気が

覚めました。

 

いくらなんでも信じられず

「公爵様」と囁くように

呼んでみました。

マティアスは答える代わりに

タバコを1本取り出して

口にくわえました。

彼の唇から流れる煙が

夢ではないことを証明しました。

 

気絶しそうなくらい驚いて

立ち上がろうとしたレイラは、

彼が手にしている靴が

自分の物であることを

遅ればせながら悟りました。

 

レイラはどうすることもできなくて

とりあえずベンチの端に座りました。

マティアスは、

彼女を見下ろしながら

ゆっくりと靴を振りました。

 

「返そうか?」と

低い声が聞こえて来ました。

レイラが「はい」と答えると

マティアスは、

それでは一度泣いてみてと

ひどい言葉を吐きました。

レイラはしばらく呆然としました。

早くカイルが来てくれたらいいのにと

思いました。

 

しかし、マティアスは、

レイラの本音を読んだかのように

彼女が待っている

カイル・エトマンは来ないと

淡々と話しました。

そして、マティアスは、

半分も吸っていないタバコを置き

その煙が収まった頃、レイラは、

むっとして顔を上げました。

 

傷ついた足を

見せたくないという気持ちを

押し殺したレイラは、

断固たる動作で立ち上がり

力を入れた両足で地面を踏み、

マティアスと向き合いました。

まだ彼が怖かったけれど、

これ以上、

からかわれたくありませんでした。

 

カイルは約束を守る人だと

レイラは確信を持って答えました。

マティアスは、

かなり自信がありそうだと言うと

カイルがどんな人なのかは

自分の方が

はるかによく知っていると思うと

勇気を振り絞り、

しっかり力を込めて話しました。

 

公爵は嘲笑し、

確信は、

むやみにするものではないと

言うと、

ぐっとレイラに近づきました。

本能的な恐怖に肩をすくめながらも

レイラは退きませんでした。

そして、彼女は

なぜ、公爵が

こんなに自分を嫌っているのか

本当によく分からないと

震える声で尋ねました。

 

マティアスは、

片方の口の端を上げながら、

君のことが嫌いだと、

自分の気分がいいから。

君が泣くと面白いし、

君が泣くのを見ると楽しいと

答えました。

 

レイラは驚愕し、

どうしてそんなことが言えるのかと

抗議すると、

マティアスは何ともない顔で、

自分は質問に答えているだけだと

返事をしました。

 

レイラは、

自分以外の誰にも

こんなことをしないのにと

抗議しました。

侮辱感で涙が出そうになりましたが

かろうじて我慢しました。

 

マティアスは、

他の誰でもない、

何でもない君だからと

淡々と答えました。

レイラは、

さらに惨めになりました。

 

レイラは彼を睨みつけ

泣かないようにしました。

様々な理由でレイラを追い出した

多くの親戚が、

むしろ懐かしくなりました。

酔っぱらいの叔父でさえ、

このように

残酷ではありませんでした。

 

レイラは、

何でもない自分が

公爵の領地に留まっていて

本当に申し訳ないと謝りました。

声だけでなく、

拳を握った両手まで震え始めました。

 

レイラは、

こんなことなら、いっそのこと、

あの時、自分を

許さなかったら良かったのにと

非難しました。

マティアスは、

それはあまりにも非情ではないかと

反論しました。

 

レイラは堪えきれず、涙声で

今も、十分非情だ。

まさか、もう自分を

追い出すつもりなのかと

尋ねました。

マティアスは、

そんな心配はしないように。

君は十分に

役目を果たしているからと

答えました。

 

レイラは、

自分が何でもないと

言っていたのにと反論すると、

マティアスは

それが君の使い方だと

返事をしました。

そして、ゆっくりと目を開き、

口元の嘲笑も消しました。

表情のない彼の顔は

息が詰まるほど静かで

冷ややかに見えました。

 

マティアスは、

謝罪はこれくらいでいい。

君が待っている

カイル・エトマンは来ないと言うと

レイラの肩の上に垂れた髪の毛に

手を触れました。

レイラは怖がって

後ずさりしましたが、

ベンチに阻まれて

一歩も下がれませんでした。

 

じっと握りしめていた

金色の髪の毛を離したマティアスは、

先程より一層深まった目つきで

レイラを見ると、

「泣いてみろ」と、

落ち着いて厳しい命令を出しました。

そして、「乞うてもいい」

と気前よく付け加えた提案には

かすかな笑いが

混ざっているような気もしました。 

 

前からそう思っていたけれど、

この男は確かに狂っていると

レイラは

確信することができました。

マティアスが邸宅に戻るまで、

カイルは、

母親につかまっていました。

アルント男爵夫妻は、

エトマン家の姻戚になることに

興味をそそられたのか、

かなり好感を示しており、

エトマン夫人の反応も

大きく変わりませんでした。

 

カイルの態度は、目に見えて

硬直していましたが、彼の母親は

息子の気持ちには

あまり関心がないようでした。

 

マティアスは

自分への怒りに耐え切れず

ブルブル震えて

大粒の涙を流したレイラを思い出し

満足しました

濡れて、さらに澄んだ瞳が

彼女の首にかけている

宝石のように輝いていたのが、

良かったと思いました。

レイラがきれいに泣いたので

喜んで靴を返しました。

 

庭を出る途中、後ろを振り向くと、

レイラは依然として

その場に立ったまま

泣いていました。

完全に自分のものである

涙だと思うと、

マティアスの歩みが

一層軽くなりました。

カイルのエスコートを受けて

邸宅に入って来たレイラを

見守っていた時に感じた

惨めな気持ちと、

あの女を見つめながら

クロディーヌにキスした瞬間の、

その言いようのない感情も

その涙が洗い流してくれました。

 

マティアスが、

彼の物の中でレイラは美しく

彼によってレイラは泣いたので

今夜は完璧な夏の夜だと

満足できる結論を下した頃、

意外にもレイラが

ホールとテラスを結ぶ通路の端に

現れ、注意深く

誰かを探していました。

「カイル・エトマン」と

マティアスは低い声で囁きました。

 

レイラは

すぐに彼を見つけたようでした。

しかし、

カイルを取り囲んでいる人々、

特にアルント男爵の末娘が

何を意味するか理解したようで

気軽に近づくことは

できませんでした。

 

柱の後ろに隠れて

しばらく立っていたレイラは

通りすがりの侍従に近づき、

何かを伝えました。

頷いた侍従が、

もう限界に達したかのように

冷たい表情をしている

カイルに向かい始めました。

その間に、レイラは

テラスを離れました。

 

マティアスは、

衝動的にその侍従に近づき

クライン伯爵を呼んで来てと

命令しました。

侍従は、しばらく悩むように

カイルの方を見ましたが、

マティアスの予想通り、

「はい、ご主人様」と答え

急いで人波の間に向かいました。

 

マティアスはテラスに出て

先程までレイラがいた柱に

もたれかかりました。

レイラは庭の中央にある小道沿いに

遠ざかっていました。

足が痛いのか

足を引きずっていましたが、

道の真ん中辺りからは靴を脱いで

裸足で歩きました。

 

マティアスは、

彼女をじっと見つめながら

侍従を待ちました。

しかし、クライン伯爵は

すでに帰ったので、

来ないことが分かっていました。

 

レイラが森に続く道の奥深くに

姿を消した頃、

クライン伯爵がすでに帰ったことを

侍従が伝えに来ました。

マティアスは頷いて笑うと

侍従を労い、

悠々とテラスを後にしました。

 

ようやく侍従がカイルに近づき

何かを伝えると、

カイルの顔に狼狽の色が

浮かびました。

 

やっと了解を得て、

カイルはテラスに飛び出しましたが

マティアスは、これ以上

そのことを気にしませんでした。

レイラは、その小さな体に似合わず

歩くのが、かなり速いので、

かなり遅れたカイルが追いつくには

力不足でした。

 

マティアスは、

リエットが勧めたシャンパンを

喜んで受け取りました。

美しい真夏の夜、

パーティーは完璧でした。

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レイラは、

ビルおじさんの居候なので、

マティアスにとって

彼女が何でもないというのは

合っていると思います。

レイラが使用人であれば、

アルビスの主人として

適切に接するけれど、

マティアスにとっては何でもないので

彼女に

好きなように接することができる。

けれども、レイラが

本当に何でもない存在なら

無視すればいいのだけれど、

レイラのことが

気になって仕方がないので、

意地悪という形で

ちょっかいを出してしまう。

けれども、

地位も名誉もお金も持っている

大人のマティアスの意地悪は陰湿。

しかも、自由なレイラを

カナリアのように

自分に服従させようとしているので

質が悪いと思いました。

*********************************

いつもコメントを

ありがとうございます。

一昨日、会った人が

コロナを発症したと聞き、

戦々恐々としています。

何事もなく済むよう願うばかりです。

皆様も、お体ご自愛くださいね。

次回は月曜日に更新予定です。

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