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問題な王子様 31話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 24話 ボートの上で

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31話 ビョルンはエルナとボートに乗ることに成功しました。

 

借金は力が強い。

ボートに乗り込んだ瞬間、

エルナは、

再びそれを痛感しました。

一つの慰めは、

この知らせが決して届かないほど

祖母が遠い所にいることでした。

 

名誉を知っている紳士と淑女は、

目もむやみに合わせてはいけないと

信じる祖母の目には、この川は、

放蕩さが、硫黄の火のように

沸き立つ地獄に他ならない所で

あるはずでした。

 

このようなとんでもない遊びに、

さらに、王子と参加するなんて

ただでさえ、

燃え上がっている醜聞に

油を注ぐのも同然でした。

 

エルナも、もうその程度は

十分推測できたので、当然、

丁重に拒わるべきであることと、

自分には、貞淑な淑女として守るべき

バーデン家の名誉があるということを

知っていました。

 

しかし、エルナは、

指先がヒリヒリし、

関節がズキズキするまで花を作っても

返せないお金を、

船遊び一回で帳消しにできる機会を

断れませんでした。

 

一度だけ目をつぶろう。

そのような甘い誘惑と、

貞淑な女性の名誉との間で

エルナが激しく悩んでいる間、

ビョルンは、すでにエルナの答えを

知っているかのように、

のんびりとしていました。

そして結局、力の強い借金が勝利し、

エルナは震える手を伸ばして

王子が差し出した

大きくて丈夫で柔らかい手を

握りました。

 

エルナは夢を見るように

ぼんやりとした目で、

まだ、その感触が残っている

自分の手を見下ろしました。

 

船が動き出すと、

エルナは驚いて顔を上げ、怯えた目で

上手にボートを漕ぐ

ビョルンを見ました。

目が合うと、

王子は片方の口の端をそっと上げて

笑いました。

 

ビョルンに「怖いですか?」と

尋ねられたエルナは「全然」と

断固として答えましたが

震える声のせいで、

それほど説得力がありませんでした。

ビョルンは、低い声で笑いました。

 

エルナは、色とりどりの灯籠が

川を照らしているのを見て

目を丸くしました。

このような華やかな夜は

生まれて初めてでした。

都市は

人を惑わして魂を抜く所だという

祖母の言葉は正しかったけれど

圧倒的に美しい風景が

すべての想念を消しました。

 

王子と一緒に船着き場に現れた

自分への視線、ひそひそ話。

それによって直面するかもしれない

父親の怒りも、

今はとても遠い世界のことのように

感じられました。

 

祭りの明かりを見物するのに

夢中になっていたエルナは、

横から視線を感じて、思わず、

そちらへ顔を向けました。

王子と目が合ってしまった後に

不注意な行動だったということに

気づきました。

どうすればいいのか分からず

慌ててしまいました。

 

結局、何も言えなかったエルナは

閉じた唇に力を入れながら

頭を下げました。

 

知らず知らずのうちに

かじかんだ指先が痒くなりました。

造花を作るために

手を酷使しすぎたようでした。

 

エルナは膝の上に置いた日傘の下に

そっと手を隠しました。

何か言ってくれればいいのに

王子は、

爽やかで穏やかに笑うばかりでした。

遠ざかっていくビョルンのボートを

ぼんやりと眺めていたペーターは

結局、顔だったと

明瞭な結論を下しました。

 

熱烈な求愛の手紙を書き、

花とプレゼントを送るなど

あらゆる苦労をしている間、

顔、手紙一行、花一輪の

誠意も見せたことがなく

のんきに見守るだけだった

王子の勝利を説明できるのは、

その一つの単語だけでした。

 

誰が、彼をこの賭けに入れたのかと

ペーターが苛立ち混じりの質問をすると

レナードは呆れたように失笑して

「お前じゃないか」と答えました。

ペーターは「俺が?」と

問い返しましたが、

あの忌々しい王子の前に

山積みされていたチップを狙った

とても愚かだった過去の自分を

思い出しました。

 

ペーターは、

まさかこんな賭けにまで

掃討されるなんて、

誰が思ったのかと

悔しさを訴えました。

 

お金に関しては

いつも本気な王子だけれど

こんな賭けに真剣に応じてくれたのは

全くビョルンらしくありませんでした。

いつもの彼なら、

面倒くさそうにチップを投げた後

無関心になったはずでした。

 

ビョルンは、

華麗な女性遍歴を持つ浮気者という

悪評が高いけれど、

彼は女性に、あまり興味と熱意が

ありませんでした。

自分に首ったけの女性を

適当に相手してやることはあっても

先に女性を探すケースは

皆無でした。

いい女だけを相手にする

いい男の余裕かもしれませんが、

少なくとも、十数年間、

彼を見守ってきた友人たちが

知っているビョルンはそうでした。

 

彼が浮気をして、

グレディス王女と離婚したことを

すぐに信じられなかった理由も

そこにありました。

 

まさか、本気なのかと、

じっくり考え込んでいたペーターは

眉を顰めて尋ねました。

呆れた目で彼を見ていた者たちは

一斉に「狂った奴」と揶揄しながら

くすくす笑い始めました。

ペーターも一緒に笑いました。

話術の基本中の基本は褒めること。

エルナは悩んだ末、

王子はボートを漕ぐのが上手だと、

褒めました。

そして、

あの躍動的なレースと

悠々とした舟遊びを比較するのは

多少無理があったけれど

王太子のように、

選手になってもいいと思うと

褒め称えました。

これ以上、この息詰まる静寂が

耐え難いのに、ビョルンは、

なかなか話をする気がなさそうなので

エルナは自ら努力してみたのでした。

 

幸い、ビョルンは

口に軽く笑みを浮かべたまま

「そうですか?」と

応じてくれました。 

エルナは、ようやく安堵の表情で

頷きました。これくらいなら、

成功的な会話の第一歩を

無事に踏み出したと言っても

差し支えなさそうでした。

 

称賛の次の段階は

相手の関心事を把握すること。

エルナは熱心に勉強したけれど

バフォードでは

あまり役に立たなかった

話術書の教えと、

若い紳士たちは、

概してスポーツと関連した話を

楽しむということを思い出しながら

王子もボートが好きなようだと

聞いてみました。

 

しかし、ビョルンは

悩むことなく否定したので、

着実に段階を踏んでいるという考えに

満足していたエルナは

ギョッとしました。

 

エルナは、その理由を尋ねると

ビョルンは、

動物のような奴らに苛まれるのは

汗のにおいがして気持ち悪いと

エルナの常識を破壊する答えを

出しました。

その極めて軽くて淡泊な口調から

冗談ではないことは確かなようでした。

 

エルナは、

でも、本当は動物が好きではないのか。

乗馬を楽しんでいて、

色々な大会で優勝している、

立派な騎手であると聞いていると

混乱した頭の中で、

ようやく新しい話題を見つけました。

 

ビョルンは、

馬は可愛いから。

気持ち悪い男たちと比べたら

馬が残念がると答えると、

エルナを見つめました。

 

そうですかと、

独り言を呟きながら頷く女の顔は

一様に真剣でした。

 

しばらく、自分の指先を

見下ろしていたエルナは、

再び目を輝かせながら

レチェンで一番速い競走馬を

所有している馬主なのに

競馬は、あまり観覧しないと

聞いたけれど、

なぜ、競馬は嫌いなのかと

尋ねました。

ビョルンは、

人が乗る馬を見物するのは

興味がないと答えました。

 

エルナは、

直接、参加するのが好きなのですねと

尋ねると、ビョルンは、

そういうことかなと答えました。

そして、エルナが自分の裏調査を

かなり真面目にしたようだと

指摘しました。

 

彼の声に、

これといった叱責の気配は

ありませんでした。

王子としてのビョルンは

一種の公共財であること、

そして、その気になれば

半日で自分の人生のすべての履歴を

分かるだろうということを

知っていたからでした。

ただ、この女性が

そのような熱意を抱いたことが

少し興味深かったのでした。

 

エルナは、身を縮めました。

すべての感情を

顔に出してしまうのを見ると、

決して良いカード屋には

なれなさそうでした。

 

ビョルンは、

震える目つきと赤くなった頬、

少しも、じっとしていられずに

もぞもぞする小さな手を

じっくりと見ていきました。

この状況を、もう少し

楽しむつもりでしたが

ドレスの裾の下からのぞく

靴の甲についたリボンが

ひらひら揺れているのを見て

プッと、無意識に、

笑いを漏らしてしまいました。

ゴシップを少し楽しんだのが

何の罪だというのか。

地団駄を踏む程度なのにと

思いました。

 

ようやく美しくたおやかな

淑女の姿を取り戻したエルナは、

震える声で、

自分の無礼を謝りました。

 

もう少しからかうと、

川に身投げするような勢いなので、

ビョルンは、この辺で

頷いてやりました。

 

ビョルンは、

無礼と言えるほどのことではないと

言いました。

しかし、エルナは、

自分が不快感を・・・を

再び、謝ろうとしました。

ビョルンは過度な謝罪が

そろそろ退屈になってきたので

エルナの言葉を遮り、

ハルディさんの話をするように。

その方が公平だと

断固とした口調で要求しました。

そして、バフォードでも

このような祭りが開かれるのかと

ある程度、真剣な好奇心を込めて

尋ねました。

バフォードは、 ある日突然、

エルナ・ハルディが現れるまでは、

この王国に存在することも

知らなかった

聞き慣れない地名でした。

 

エルナは、

直接見たことはないので

はっきりとは言えないけれど

こんなに大きくて

派手な祭りではないと答えると

多少緊張をほぐした顔で

微笑みました。

 

ビョルンは、

見たことのない理由を尋ねました。

エルナは、

祖父と祖母が、

煩雑な所が好きではないし、

祭りが、あまりにも遠い所で

開かれるからと答えました。

そして、

その代わりに、夏祭りの日になると、

家の庭の大きなトネリコの木の下で

晩餐を楽しんだ。

毎年、祖母はバラ酒を作っていて

その晩餐会には、

必ず、それを出してくれた。

16歳になると、

自分にもその日だけ、

特別に一杯飲ませてくれたと

説明しました。

 

きれいな色に魅了され、

ぜひ一度飲みたかったけれど

味にがっかりしたこと。

しかし、その香りのように

甘かった時間など、

エルナは柔らかい声で

田舎の邸宅の晩餐会の風景を

描きました。

ビョルンは、

ハルディの名前を持つ淑女が

自分をバーデンだと定める理由が

ぼんやりと

分かるような気がしました。

エルナはとても幸せそうで、

ある日突然、この都市に現れた後、

一度も目にしたことのない

生き生きとした表情でした。

 

ビョルンは、

美しい祭りのようだと、

適当な称賛の言葉で

女性の情熱を称えてくれました。

ただそれだけなのに、

エルナは、この世のすべてを

持っている人のように

胸がいっぱいになり、

嬉しそうな笑みを浮かべました。

 

その時、遠くで

花火の音が響き始めました。

女の笑いに似た花火でした。

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借金を返すために

手が痛くなるまで

ひたすら造花を作り続けるエルナ。

ビョルンとの気まずい雰囲気を

解消するために、

必死で話術書の内容を思い出して

ビョルンに話しかけるエルナ。

そんな、エルナが

本当にいじらしいと思いました。

 

ビョルンは、

今まで聞いたこともなかった

バフォードの地名を、

エルナが口にしただけで

覚えていたのですね。

そして、真剣な好奇心を込めて

バフォードの祭りのことを聞くなんて

今までのビョルンからは

考えられないことだと思いました。

そして、今まで見せたことのない

エルナの笑顔に、

絶対に胸キュンとなったと思います。

***************************************

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

早いもので、もう1月も後半。

時間の流れるのが速いです。

夜寝る時に、

あれをすれば良かったとか、

あれをしなければ良かったとか、

後悔しないような1日を

毎日、送りたいです。

 

それでは、皆様にとって

今日も1日が

良い日でありますように。

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