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泣いてみろ、乞うてもいい 25話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ マンガ 36話 婚約式の日の出来事

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25話 ビルおじさんが帰って来ましたが、そこへマティアスも通りかかりました。

 

思わず目を向けた車の窓の向こうに、

マティアスは、

今まで一度も見たことがない、

溢れんばかりの笑みを浮かべたレイラが

長い髪を風になびかせて

走って来るのを見ました。

マティアスの指先に、

無意識に力が入りました。

レイラの目的地は、おそらく、

先を歩いている

ビル・レマーのようでした。

 

マティアスは、速度を落とせと

命じようとしましたが、

唇を固く閉じました。

その間、目的地に到達したレイラは

鳥のように軽く飛び上がって

庭師の胸に抱き着きました。

庭師は、その子を

ひょいと抱き上げました。

彼の巨大な胸の中にいるレイラは

まだ幼い少女のように見え、

この世で最も煌びやかな光が

込められたような笑みを

浮かべていました。

庭師は大笑いしました。

 

その瞬間、彼を乗せた車は

彼らの横を通り過ぎました。

マティアスは視線を戻すと

危うく宙に出しそうになった手を、

まだ、あの日の感触と体臭が

残っているような手を

見下ろしました。

 

婚約はもう目の前でした。

その事実にむしろ安堵した頃、

車はアルビスの出入り口を

通り過ぎました。

ビルおじさんが帰ってくると、

レイラは、もう一人ではないので

大人にならなければならない悲しみも

むごたらしい初キスの記憶も、

このすべての混乱と漠然とした気持ちも

すべて良いことになりました。

 

そうしているうちに昼が短くなり、

アルビスには、いつにも増して

華やかな祭りの気配が漂い始めました。

 

ようやく時間を作って

森に遊びに来たモナ夫人は、

この世のすべての食べ物を

作り出す勢いだ。

婚約式を、こんなに盛大に行ったら、

一体結婚式はどうなるのか、

今から怖くてたまらないと

真顔で不平を言いました。

 

明るい顔で彼女に挨拶をしたレイラに

モナ夫人は、

明日が過ぎたら、美味しい物を

飽きるほど食べさせてあげるので

少し待っててほしい。

いくら、たくさんのお客さんを

招待しても、

準備した食べ物の半分も

食べられないと思うと言って

にこやかに微笑みました。

 

レイラは、無意識のうちに

ブラウスの前立てをつかみました。

公爵が首筋に残した赤い跡は、

数日経っても消えず、

鏡を見て、その痕跡を発見する度に、

レイラは羞恥心と侮蔑感に

震えなければなりませんでした。

 

レイラは、

もう明日が婚約式なのかと

尋ねました。

モナ夫人は、

「もう」なんて言わないで欲しい。

自分は、その婚約式が

早く過ぎ去ることを祈っていると

答えました。

 

レイラは「明日・・・」と囁いた後

再び微笑み、

楽しみにしていると返事をしました。

 

悪夢のような記憶を消すように

レイラはもっと明るく笑おうと

努力しました。

幸いなことに、あの日以来、公爵は

一度も森を訪れていませんでした。

 

レイラは、

チョコレートクッキーと

ラズベリーケーキが好きだと言うと

モナ夫人は、

いっぱい持って来てあげると

言いました。

レイラは、

何で恩返しをしたらいいかと尋ねると

モナ夫人は、

たくさん食べてすくすく育てばいいと

答えました。

レイラは、

ビルおじさんくらいになればいいかと

尋ねると、モナ夫人は、

それでは、

結婚への道が塞がってしまうと

答えて、ケラケラ笑い、

立ち上がりました。

眉を顰めていたビルも

結局笑ってしまいました。

 

夕方、おじさんと一緒に夕飯を取り

家の中を片付けたレイラは

これまで疎かにしてきた教科書を

再び開きました。

少しだけ見て寝ようとしましたが、

気がついたら夜が明けていました。

今日は、公爵の婚約式の日でした。

 

レイラは疲れた目をこすりながら

窓際に近づきました。

空の透き通った青い色が、

まるで最後の一粒の飴のようだと

思った瞬間、レイラは、

公爵の瞳も、

あの飴のように青いということに

気づきました。

淡いピンク色のドレス姿の自分は

今夜の主役らしく優雅で華やかだと

クロディーヌは思いました。

本当に美しいと、

娘を見守っていたブラント伯爵夫人が

感激して叫びました。

彼女の後ろに立っている

ブラント家のメイドたちの表情も

変わりませんでした。

 

クロディーヌは

もの静かに微笑むことで

適度な謙遜を示しましたが、

鏡に映る自分の姿を見る瞳に込められた

自負心と満足感は消えませんでした。

 

クロディーヌは、

ヘルハルト家に対する

配慮と敬意を表して婚約式を、

このアルビスで行うことに

決めましたが、それよりは

アルビスの次期女主人になる

自分の存在感を

確実にしておきたいとう気持ちが

少し勝っていました。

 

クロディーヌはメイドのマリーに

あの子はまだかと尋ねました。

そろそろ来る頃なのにと

答えたマリーは、窓の外を見て

ちょうど庭から来るところだと

急いで告げました。

 

マリーの視線が向いているところを

チラッと見たブラント伯爵夫人は

花の入った籠を持ったレイラが

バラ園と邸宅をつなぐ

大理石の階段を上って来るのを見て

眉間にしわを寄せました、

 

クロディーヌが

またレイラを呼んだことを

ブラント伯爵夫人は非難しましたが

クロディーヌは、落ち着いた目で

大丈夫。

頭を飾る花が必要なだけだと

言いました。

 

ブラント伯爵夫人は、

なぜ、あえて、その仕事を

レイラにさせるのかと尋ねました。

クロディーヌは、

「まあ、ついでに」と答えると

軽く肩をすくめ

再び鏡の前に立ちました。

鏡に映った顔は、

もう笑っていませんでした。

 

彼女は、花をもらうついでに、

旧友からのお祝いも

一緒にもらえたら嬉しいと

呟きました。

 

レイラは、邸宅の裏手にある

使用人用の通路に入りました。

クロディーヌが

小屋へ送って寄こしたメイドから

髪を飾るバラを

摘んで来て欲しいという

伝言を受けた瞬間、レイラは

クロディーヌが望んでいるのは

花ではないということが

分かりました。

 

クロディーヌが泊まっている

客用寝室がある、

4階の東側にたどり着くと、

レイラの足は、

次第に遅くなって行きました。

心臓が不規則に鼓動し、

唇がしきりに渇きましたが

レイラは、

自分自身を説得するように

「大丈夫」という言葉を

繰り返しました。

 

木から落ちた、あの午後の出来事は

不幸な事故に過ぎない。

もしかしたら、公爵も、

そのようにみなしたかもしれない。

だから大丈夫だと

必死で気を引き締めた頃、

レイラはクロディーヌの寝室の前に

到着しました。

 

扉を叩くと扉が開きました。

レイラは、いつものように

礼儀正しく挨拶をし、

頼まれたバラを持って来たと

告げました。

バラの色は、

クロディーヌのドレスと同じ

淡いピンク色でした。

 

クロディーヌは、

満面の笑みでレイラに近づくと

自分の姿は大丈夫かと

感想を求めました。

今日のクロディーヌは、

満開のバラのように美しかったので

レイラは、本心から

美しいと褒めました。

 

クロディーヌは、

すごく緊張しているけれど

レイラがそう言ってくれると

安心できる。

ヘルハルト公爵の目にも

そう見えるだろうかと尋ねました。

その男の名前に、

レイラの瞳が揺れました。

「はい、きっとそうでしょう」と

微かに震えた声で、

急いで返事をしました。

 

レイラは、まるで悪いことをした

子供になったような気分でした。

レイラにとっても、

あれは恐ろしいことでしたが、

それでも、

破廉恥な泥棒にでもなったような気分を

振り払うことができませんでした。

長い歳月、クロディーヌの前で

頑張って守ってきた

最後の自尊心を蝕むその気持ちが

レイラをみじめにさせました。

 

クロディーヌが目を向けると、

メイドはバラの入った籠を受け取り、

そして当然のように、

レイラにお金を渡しました。

いつもより多いので、

レイラの心を、

さらに深く傷つけました。

 

躊躇っているレイラに

メイドは眉を顰めながら、

有難く受け取らないで、

何をしているのかと叱責しました。

 

レイラは、

その金を握った手に力を入れて

頭を下げました。

幼い頃から、数え切れないほど

繰り返してきたことなので、

今さら難しいことでは

ありませんでした。

 

幸いレイラは、

落ち着いた声でお礼を言えました。

無表情で、

彼女を見下ろしていたクロディーヌも

すぐに明るく笑い、

レイラのおかげで

婚約式が完璧になりそうだと

お礼を言いました。

そして、クロディーヌが

レイラに背向けると、

彼女はホッとして部屋を出ました。

早く、この居心地が悪く

不慣れな場所から

抜け出したかったけれど、

許された範囲内の最高速度で

小走りしました。

 

しかし、使用人用の通路の出入り口を

間近に控えたところで、

レイラは階段を上がってきた公爵と

ぶつかってしまいました。

 

公爵の後ろに立っていた

執事のヘッセンは、

慈愛に満ちた笑みを浮かべながら

ブラント令嬢のお使いに来たのかと

声をかけました。

 

レイラは丁寧にお辞儀をした後、

廊下の端に慌てて退きました。

早く行って欲しいのに、

公爵はその場にじっと立ち止まり、

レイラを見下ろしました。

 

チラッと目を上げたレイラは、

公爵と目が合ってしまい、

頬を赤くして、

さらに頭を深く下げました。 

公爵は平気な顔をしていて、

皆、忘れているようなのに

レイラは馬鹿みたいに。

心臓が不安定になりました。

 

無礼を承知で逃げてしまおうかと

思った頃、

公爵はレイラの前を通り過ぎました。

彼の足音が、

これ以上聞こえなくなった後、

レイラは逃げるように

公爵邸を離れました。

 

夕方が近づくと、

婚約パーティーに招待された客たちが

アルビスに集まり始めましたが

狩場の奥深くに位置した小屋は

静かでした。

 

レイラは家庭菜園の草むしりをし

ヤギの檻を掃除しました。

そして、夕飯の支度をし、

洗濯物を取り込みました。

 

その全てを終えた後は、森を散歩し

川辺にある、お気に入りの木に登って

美しい夕方の風景を

じっと眺めました。

 

やがて日が暮れると、

レイラは一粒の飴のような

青みがかった空を

じっと見つめました。

 

あなたは、

私の悲しみの色のような

目をしていた。

 

レイラは、

何となく虚しい気分になり

少し笑いました。

その時、突然、近づいて来る

人の気配を感じました。

 

木の下に立っている

見慣れた顔を発見したレイラは

喜びながら、カイルの名前を

叫びました。

 

レイラは、

どうして、ここにいることが

分かったのかと尋ねると、カイルは、

レイラは夏の夕方の散歩が好きで、

散歩をする時は、

いつもこの川辺を訪れるからと

答えました。

 

茶目っ気が消えたカイルの瞳は

普段より穏やかで、その姿が

少し見慣れないレイラは、

じっとカイルを見ました。

 

しばらくしてカイルは

「結婚しよう」とプロポーズしました。

あまりにも現実感のない言葉に

レイラは夢を見るように

ぼんやりしていると、

カイルはもう一度、もう少し力を込めて

プロポーズしました。

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クロディーヌは、

自分とレイラの立ち位置が

圧倒的に違うことと、

もし、レイラが

少しでもマティアスに気があるなら

彼は、自分のものであることを

レイラに知らしめたかくて、

わざわざ彼女に

バラを持って来させ、

婚約式のドレス姿を

見せびらかしたったのだと

思いました。

しかし、クロディーヌは、

母親の前では、

自信満々に振舞っているけれど

心のどこかでレイラに対して

危機感を抱いているので

ついつい、レイラを

辱めるようなことを

してしまうのだと思います。

時期、アルビスの女主人らしく

心の底から堂々とすればいいのにと

思います。

 

とうとうカイルがレイラに

プロポーズしました。

そのおかげで、

クロディーヌへの胸糞悪さが

払拭されました。

********************************

いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

韓国では、有料版も含めて

マンガは、

39話まで公開されているので

そろそろLINEマンガでも

公開されるのではないかと

期待しています。

 

次回は、明日、更新します。

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