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ハーレムの男たち 998話 外伝 107話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 寒さに耐えられない

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998話 外伝108話 皇女ラティルとサーナットはメロシーの領地に逃げて来ました。

◇素早い対応◇

朝早く、やって来たサーナットは

計画を少し変更しなければならないと

告げました。

皇女ラティルは、

砂糖と牛乳に浸したパンを

食べている途中、目を丸くして、

計画とは何の計画なのか。

自分たちに計画があったのかと

尋ねました。

サーナットは、二時間前まで、

自分の頭の中にはあったと

答えました。

 

皇女ラティルがパンを見下ろすと、

サーナットは、食べ続けてもいいと

手で合図をしました。

メロシーの領主の城のパンは

どれも美味しかったので、

皇女ラティルは幸いだと思いました。

 

サーナットは、

元々、ここで傭兵王カルレインに

会うつもりだったと話しました。

皇女ラティルは、

そんな話は初めて聞いたと言って

驚くと、サーナットは、

確実な計画ではなかったので

話さなかった。

もし変更になったら、

がっかりするだろうから。

ところが、結局、変更が生じたと

説明しました。

 

皇女ラティルは、

傭兵王は、全世界的に

活動している人だと聞いているので

忙しくて、雇うのは

簡単ではないだろうと

返事をしました。

 

皇女ラティルは、

傭兵王を雇うという話が

それほど、

現実的には思えなかったので、

大して失望もしませんでした。

ところが、サーナットが

雇用はしたと告げると、

皇女ラティルは目を見開きました。

 

彼女は、

どうやって雇ったのか。

元々、別の仕事で

雇おうとしていたのか。

それとも、こんなことが起きると

思わなかったので、

条件を良くして、急いで雇ったのか。

どうやって傭兵王を、

この短い間に雇用したのかと

矢継ぎ早に質問しました。

 

皇女ラティルは、

本来、カルレインが、

自分の味方だということを

知らないために

事態が理解できず、

ちんぷんかんぷんでした。

 

サーナットは、

しばらく微妙な表情を浮かべて

返事をするのを躊躇いました。

ラティルは、

素早くこれに気づきましたが、

皇女ラティルは、

傭兵王を雇ったという話に驚き、

サーナットが一瞬見せた変化に

あまり注目しませんでした。

 

サーナットは、すぐに表情を隠すと

雇用はしたけれど、

あちらにも、少し事情があるそうだ。

この隣の領地まで、

自分たちに直接来て欲しいと

言われたけれど、大丈夫かと

尋ねました。

 

ラティルは、

もちろん大丈夫。傭兵王が、

自分たちを助けてくれるなら

大きな力になる。

助けてもらえるなら、

国境の果てまでだって行くと

快く承諾しました。

 

皇女ラティルは、

依然として戸惑っていたものの

機会を逃しませんでした。

サーナットは頷いて外に出ました。

皇女ラティルは彼に

朝食を食べたのかと

聞く暇もありませんでした。

 

皇女ラティルは、

サーナット卿に付いて来て良かった。

彼が有能だから、

最年少の近衛騎士団長になったことは

知っていたけれど、

これほど有能だとは思わなかった。

それにしても、サーナット卿は、

どうしてこんなにすぐに

状況に対処できるのだろうかと

不思議に思いました。

◇自分が守り続ける◇

朝食を終えた皇女ラティルは

楽な黒いズボンと茶色のシャツ姿に

マントを羽織って、外に出ました。

 

昨日、あらかじめ聞いた通り、

城の裏庭へ行ってみると、すでに

平凡な馬車一台が用意されており、

使用人たちが、そこに

荷物を運び入れていました。

皇女ラティルは、その光景を

複雑な思いで見守りました。

 

そうしているうちに、サーナットが

大きな手提げカバンを一つ持って

近づいて来ると、皇女ラティルに

なぜ、そこで、

そうしているのかと尋ね、

馬車に乗るよう促しました。

そして、持ってきた手提げカバンを

荷台ではなく座席の中に入れました。

 

しかし、皇女ラティルは、

馬車に乗らずに、

メロシーの領主と伯爵夫人に

本当に挨拶をしないで

行ってもいいのかと尋ねました。

自分たちが去った後、

領主夫妻が巻き込まれないために

皇女ラティルは、初日以外、

わざと領主夫妻に会いませんでした。

しかし、彼らは一大決心をして

自分たちを助けてくれたのに、

去る直前にも、彼らに挨拶をせずに

このまま行ってしまうのは

気が引けました。

 

サーナットは、前もって

話をしておいたから大丈夫。

両親も殿下がどんな気持ちか

分かっていると、平然と話し、

皇女ラティルに、

早く馬車に乗るよう目配せしました。

皇女ラティルは、

何度か躊躇いましたが、

やむを得ず馬車に乗り込みました。

 

馬車は、城の裏口から

他の馬車に混じって走り去りました。

そして、わざと数か所の食料品店に

立ち寄った後、

馬車が集まっている広場に

向かいました。

 

そこで30分近く待った後、

サーナットと、

皇女ラティルが乗った馬車は、

ある商団の馬車のふりをし、

その馬車の行列の後に付いて

城の外に出て行きました。

それでも、皇女ラティルは

簡単に緊張を解くことが

できませんでした。

商団の馬車と別れると、

ようやく皇女ラティルは安心して

額を馬車の窓枠にもたれました。

 

サーナットは、

平然と新聞を見ていましたが、

皇女ラティルがため息をつくと

大胆な殿下が、今日はどうして

こんなに心配しているのかと

笑いながら、からかいました。

 

皇女ラティルは、

一番信じていた人たちに

裏切られれば、サーナットも

自分のようになるだろう。

すぐにでも、

父親が送った兵士たちが現れそうだと

呟きました。

 

その言葉に、サーナットは

見ていた新聞をたたむと、

全員ではないと

自信満々に話しました。

 

ラティルが「えっ?」と聞き返すと

サーナットは、

殿下が信じていた人。

そして、ずっと信じてもいい人が

ここに一人いると答えました。

 

それは事実に近い言葉であり、

それほど大きな意味を持つ言葉では

ありませんでした。

しかし、皇女ラティルは、

その言葉を聞くと、

訳もなくぎこちなくなり、

頭を上げました。

そして、視線をあちこち逸らして

サーナットを、最大限見ないようにし

ぎこちなく笑うと、

自分も見るので、ちょうだいと言って

サーナットが下ろした新聞を

引き寄せました

しかし、照れくさかった気持ちは

新聞を読むや否や歪みました。

皇女ラティルの逃亡のニュースが

新聞に大きく載っていて、

似顔絵まで描かれているためでした。

 

皇女ラティルが

憂鬱そうな表情をすると、

サーナットは、

慰めてあげようかと

心配そうに尋ねました。

皇女ラティルが頷くと、

サーナットは、しばらく考えた後、

絵が、とてもよく描かれている。

殿下の健康で賢い雰囲気まで

よく現れている。

この絵を見た人たちは、

殿下が本当に

特別な皇女様だと思うだろうと

全く頼もしくない慰めの言葉を

口にしました。

 

皇女ラティルが、

それが慰めなのかという表情で

見つめると、サーナットは、

他に慰める言葉が

思いつかなかったと素直に認め

謝りました。

しかし、サーナットは、

自分が殿下を守り続けるので

殿下の敵は、誰も実物の殿下を

見ることができないのは確かだと

断言しました。

◇数日前の記憶◇

馬車は、よく整備された道沿いを走り

空が薄暗くなると停まりました。

サーナットは窓から頭を突き出して

辺りを見回した後、

先に馬車を降りました。

 

皇女ラティルは、

彼が置き忘れた新聞を

拳で叩きつけました。

10回ほど殴った頃、サーナットは、

馬車の扉を開けながら、

馬が疲れているので、この付近で

泊まっていかなければならないと

告げました。

 

皇女ラティルは、

素早く手を背中の後ろに隠し、

急に顔を赤くしました。

ここで泊まっていくという話を聞いて

数日前、

サーナットとくっ付いて寝たことが

思い浮かんだためでした。

 

今回も、そのように

寝るべきなのだろうか。

皇女ラティルは、

すぐに馬車から降りて、

周囲を見回すと、

茂みが腰の高さまである所を指差し

数日前のように、

あそこに入って寝るのかと

尋ねました。

 

しかし、質問をするや否や、

すぐに後悔が押し寄せて来ました。

自分は、本当に、

どのように野営をするのかが

気になって

聞いてみただけでしたが、

このように聞いてみると、あの日

サーナットと一緒に寝たことを

気にしているように

思われるのではないかと思いました。

 

そうしているうちに、

サーナットの口元が揺れるのを

発見した皇女ラティルは、

「答えるな。 一言でも言えば

サーナット卿は馬鹿だ。」と

 急いで警告しました。

 

サーナットは、

質問しておいて、

答えるなと言われたら

どうするのかと尋ねました。

 

皇女ラティルは、

自分が望んだのは答えだけれど

サーナットは、

自分をからかおうとした。

自分たちは、

何年も一緒に過ごしたのだから、

サーナットの顔を見ただけで

自分が、

それを分からないと思うのかと

言い返しました。

 

黒死神団の傭兵団から

連れてきた御者は

馬を落ち着かせながら、

サーナットと皇女ラティルを

チラチラ見ました。

 

皇女ラティルは、鼻で笑いながら

茂みに歩いて行きました。

しかし、誰も

付いて来ませんでした。

皇女ラティルは、

まさか、ここでは寝ないのかと

後から思いました。

しかし、威厳をもって、

ここまで歩いて来ておきながら

サーナットに質問するのは

プライドが傷つきました。

 

皇女ラティルは、

どうすることもできず、

もしかしたら、サーナットが

付いて来ているのではないかと思い

そっと、後ろへ顔を向けました。

すると、サーナットは、

すぐ後ろに立っていました。

 

皇女ラティルが、

悲鳴を上げて退くと、

サーナットは笑いながら手を差し出し

小屋は反対側にあると告げました。

◇寝返り◇

タリウムには、

野営をする人のために、

町や都市を結ぶ道の途中、

無料で使える小屋が

用意されていました。

中に入ってみると、小屋の中には

布団のないベッドが

六つもありました。

 

皇女ラティルとサーナット、

黒死神団の傭兵は、

それぞれ違うベッドに

各自の毛布を敷きました。

 

傭兵が、

近くに井戸があると言って

水を汲みに行っている間、

皇女ラティルは毛布をいじりながら

サーナットをチラッと見ました。

 

皇女ラティルは、

先程、言ったことは、

本当に意味のない言葉だから

気にしないでと、

知らせた方がいいのかどうか、

悩みました。

 

ラティルは、皇女ラティルが、

先程の失言を、

まだ一人で気にしているのを見て

腹を立てました。

 

先程、サーナットが、

皇女ラティルを

からかおうとしたけれど、

結局、からかわなかった。

それなのに、どうして、

未だに、皇女ラティルは、

その状況を忘れられずに、

こうしているのだろうか。

 

ラティルは、ふと過去の自分が

少し怪しくなりました。

客観的に見た自分は、

少し過剰にサーナットを意識し、

気にしているように見えました。

 

環境が変わったせいだろうか。

家族が次々と裏切る中、

サーナットだけが、

そばにいてくれたからだろうか。

そうみたいな気がする。

自分は過去に、サーナットを

これほど気にしていなかったと

思うけれど、違うだろうか?

 

しかし、自分に対する疑問は

夜になると、寒さのために

やむを得ず消えて行きました。

空っぽの小屋は、

野営するよりはマシだけれど、

旅行者が気楽に泊まれる

ホテルではありませんでした。

暖房が全く効かないため、

扉を閉めたにもかかわらず、

鳥肌が立ち、咳が出ました。

 

なぜ、自分だけ

寒がっているのだろうか。

この中で、

サーナットと傭兵は元気でした。

 

皇女ラティルは、

黒死神団の傭兵が

吸血鬼だということを知らないため

傭兵とサーナットが、

体をまっすぐ伸ばして

ベッドに横になったのを見て、

なんとなく

悔しい気持ちになりました。

 

もしかして、自分が横になった場所が

特に寒いのではないか。

ここにだけ、

風が入るのではないかと

疑いました。

しかし、いくら寒くても、

傭兵が向かい側のベッドに

横たわっているので、

サーナットに来てもらって、

くっ付いて寝たり、

手を握って欲しいと

頼むことはできませんでした。

 

皇帝を裏切って、

皇女と逃走することを選択した

近衛騎士団長のサーナットが

皇女と同じベッドで一緒に寝たら、

あの傭兵は、

二人の仲を疑うはずでした。

 

しかし、真夜中になり、

手と足が震えるほど寒くなると

このような、

あらゆる理性的な考えは、

すべて消えました。

どうせ、

追われている状況なので、

あの傭兵が、どう思おうが

何の関係があるのか。

 

皇女ラティルは毛布にくるまって

そっと起き上がりました。

そして、首を突き出して

傭兵が眠っているかどうか

確認しました。

 

傭兵は、

背を向けて横になっているので

顔が見えませんでした。

しかし、

動きはありませんでした。

 

皇女ラティルは、

これを確認するや否や、

サーナットのベッドに近づき、

彼を突きました。

サーナットはすぐに目を覚まし

驚いた表情で、

どうしたのかと尋ねました。

皇女ラティルは、

寒いので、隣で寝てはダメかと

囁きました。

今は、本当に

恥ずかしい気持ちよりも

寒さの方が勝っていて、

どうにかして、

サーナットと一緒にいたいという

気持ち以外、ありませんでした。

 

幸い、サーナットは、

拒否したり、からかう代わりに、

片方の腕を伸ばして、体を後ろに下げ

皇女が入る場所を作ってくれました。

皇女ラティルはお礼を言うと、

背中をサーナットの方に向けて

彼の腕の中に入り込みました。

 

驚いたことに、そうした途端、

寝ていると思っていた傭兵が

そっと体を起こし、

壁の端にあるベッドに

移動する音がしました。

 

皇女ラティルは

恥ずかしくなりました。

しかし、今さら、

元の位置に戻ったところで、

すでに体面は傷ついていました。

そして、何よりも、

サーナットに、くっ付くや否や、

寒さが、かなり消えたので、

皇女ラティルは厚かましくも、

そのまま、

こうしていることにしました。

 

どれだけ、そうしていたのか。

ついに眠気が襲って来ました。

一歩遅れて、

疲労が波のように押し寄せ、

皇女ラティルは、それに流されて

意識がぼんやりとしました。

 

ラティルの意識も、

皇女ラティルと一緒に遠のき、

彼女の意識が戻って来ると、

ラティルの意識も戻ることを

繰り返しました。

 

しかし皇女ラティルが、

深く眠れなかったために、

「目を閉じたら、すぐ朝」

という状況は訪れませんでした。

 

ところが、

そのように皇女ラティルが

眠りに落ちたり目覚めたりを

繰り返していた時、同じ姿勢で

ずっと横になっていたのが

不便だったのか、

彼女は朦朧とした状態で

寝返りを打ってしまいました。

 

ラティルは正気だったので、

ここで寝返りを打ってはいけないと

思いました。

しかし、すでに皇女ラティルは

無意識のうちに寝返りを打ち、

その直後、

唇に柔らかい感触がありました。

ラティルは、内心悲鳴を上げました。

遅ればせながら、皇女ラティルも驚き

悲鳴を上げようとするかのように

口を開きました。

 

しかし、この状況で口を開くのは

さらに良くない選択でした。

そっと触れ合った唇が、今は完全に

くっ付いてしまったのでした。

 

皇女ラティルは目を見開いて

サーナットを見ました。

数日前、サーナットが、

寝返りを打つと唇が触れると

警告したけれど、 よりによって

その言葉が、

ここで実現してしまいました。

 

皇女ラティルは、

すっかり眠気が覚めました。 

そして、また寝返りを

打たなければと思いましたが、

姿勢を変える前に、

サーナットの閉じている瞼が蠢くと

愚かなことに、彼女は唇を離して

寝返りを打つのではなく

目をギュッと閉じてしまいました。

この状況で目が合うと

恥ずかしくなりそうなので、

そのままずっと、寝ているふりを

しようとしているようでした。

 

いや、そちらの方がもっとおかしい。

眠っている間に起きた

事故にすぎないのに、

これでは、わざと唇を

近付けたみたいで、

サーナットがもっと誤解すると

ラティルは口を挟みましたが

皇女ラティルは、

ラティルを認知できないので、

その状態で、

ひたすら堪えていました。

ラティルは皇女ラティルに

息詰まる思いがして、

小言を浴びせました。

 

そうするうちに、

ラティルと皇女ラティルの両方が

おかしな点に気づきました。

 

確かにサーナットの瞼が動いて

目を覚ましそうだったのに、

なぜか、その後は、

彼も、これといった動きが

ありませんでした。

 

何だろう?ただ唇が触れて

反射的に瞼が動いたのだろうか。

 

寝たふりをするつもりなら

その後も、ずっと目を閉じていて

適当な時に、

寝返りを打てば良かったのに、

今回も、皇女ラティルは、

薄目を開けてしまうという

良くない選択をしてしまいました。

 

黒い世界に少しひびが入り、

その前にサーナットの赤い瞳が

太陽のように浮かんだ瞬間。

皇女ラティルは、呪われた石のように

固まってしまいました。

顔にだけ、暖房をつけたように

熱い熱気が、

一瞬にして頬を覆いました。

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恋のライバルがいると、

嫉妬や憎しみや怒りなど、

負の感情が芽生えてくるので、

愚かなことを考えたり、

愚かな行動に走ったりもしたけれど

ライバルがいなければ、

サーナットは、本当に献身的に

ラティルに仕える騎士なのだと

思いました。

ラティルが皇帝になる前の

サーナットの姿を

垣間見たような気がしました。

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