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泣いてみろ、乞うてもいい 29話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ レイラの願い事

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29話 マティアスはレイラのことが本当に嫌いだと言いました。

 

一瞬にして笑みが消えた

マティアスの顔が、ひどく冷酷に見え

レイラは無意識に息を殺しました。

彼と向き合う自信がなくなったレイラは

コーヒーカップを見ながら

これ以上、公爵の領地を乱さないように

自分が去ると言いました。

マティアスは、

「どこへ?」と尋ねると、レイラは

「どこへでも」と答えました。

 

レイラは

ダメだと分かっていながらも

怖がらないでと自らを慰めて

震え始めた手に力を入れました。

そして、

この世で自分がいる場所は

アルビスだけではないと、

刺々しい口調で言いました。

あまりにも、くだらなくて

可笑しかったのか、公爵は

何の返事もしませんでした。

 

レイラは、

すぐに立ち去りたかったけれど、

彼がくれたものを

食べようとしなかったせいで

帽子を奪われ、

冷たい川に落ちた日のことを

思い出しました。

 

二度とそんな目に

遭うわけにはいかない。

レイラは、咽びそうになるのを、

ぐっと我慢しながら

まだ少し熱いコーヒーを

急いで飲みました。

カップの底が見えると、

ようやく息がしっかりと吸えました。

「レイラ」と呼ぶ彼の声は

低くて威嚇的に聞こえました。

 

コチコチに硬くなってしまった

レイラは、

カバンから急いで取り出した

お茶代をテーブルの端に置きました。

マティアスは失笑しながら

「何?」と尋ねました。

レイラは、

自分の指先だけを見下ろしながら

自分のお茶代だと答えました。

 

マティアスは、

自分が、君なんかに

お茶代をもらうべき人だと思うのかと

尋ねました。

レイラは、

それはよく分からないけれど、

自分は公爵様に

お茶を貰いたくないと答えました。

レイラの手は、

ますます冷たくなりました。

それでも、ここは、

レイラが住み込みをしている

彼の世界のアルビスではないので

はっきりさせておきたいと

思いました。

 

マティアスはレイラに

顔を上げろと言いました。

レイラは拒否し、

命令しないでと言うと、

怒りを隠さない目で

マティアスを見ました。

突然、湧き上がって来た無謀な勇気が

恐怖を消してくれました。

 

レイラは、

自分は公爵のメイドではないと

主張しました。

マティアスが、メイドだと答えると

レイラは、

確かに自分はビルおじさんの家族で

アルビスで世話になっているけれど

公爵のメイドではないと

言い返しました。

 

マティアスは、

それでは、一体何なのかと尋ねると

レイラは、

水気を含んだ緑色の目で

彼を見つめながら、

何でもない。

今までもそうだったし、

これからも永遠にと答えました。

 

夏の終わりの午後、

たかがつまらない女一人に狂って

土の上を転がり、

めちゃくちゃになった格好ほど

気持ちが汚くなり、

むしろ、レイラの首を

絞めてしまいたかった日の記憶が

マティアスに蘇りました。

 

そうしていたら、どうだっただろうか?

少なくとも、

理解できない衝動に駆られて、

何でもないあの女なんかに

恋々としている今よりは

悪くなかったような気もしました。

 

マティアスは、

レイラが置いたお金を持って

席から立ち上がりました。

そして「持って行け」と言って、

椅子に座ったレイラの膝の上に

お金をゆっくり落としました。

 

そして、彼を見上げる

赤くなったレイラの目を

じっと見つめながら、

マティアスは、数枚の金貨も

レイラのスカートの上に投げました。

 

戸惑っているレイラに、

マティアスは、にっこり笑いながら

クロディーヌが

お金をくれる時のように、

感謝の気持ちを込めて、

丁寧にお礼を言って受け取れと

要求しました。

レイラは何か反論したかったけれど

声を出すことができませんでした。

 

マティアスは、

自分のメイドでもない君の

時間を奪ったから、

それに見合う手数料を

支払わなければならないと

言いました。

レイラは歯を食いしばっても、

涙を堪えることができませんでした。

 

マティアスは、

それが嫌なら、可哀想な孤児に施す

同情だと思えばいい言うと、レイラは、

宝石の欠片のような涙を落としました。

 

続けてマティアスは、

可哀想だから結婚してやるという男を

好きな君が、これしきの小銭数枚に

つまらないプライドを守るのも

変ではないかと言いました。

レイラは負けじと

彼を睨んでいましたが

涙が絶えず頬を伝って流れていました。

マティアスは、ほっとして

カフェを出ました。

 

レイラは決して、

彼の前では笑わないけれど、

泣くのを我慢することはできない。

笑わせることができなければ

泣かせれば良いことでした。

あげられるものが涙ならば涙を与え

傷なら傷を与える。

そうすることで、少なくとも君は

自分を何でもないと思うことは

できないだろうからと思いました。

 

カフェを出る前、

マティアスはレイラを見ました。

レイラは、

眼鏡をテーブルの端に置いたまま

泣いていました。

自然史博物館を出たマティアスは、

レイラが一日も早く

医者の息子と結婚をして

彼の世界から消えることと、

彼がレイラに残した涙と傷が

永遠に残ることを願いました。

一緒に夕食を食べるために

レイラが泊まるホテルを訪れたカイルは

もう日が暮れようとしているのに

レイラが戻って来ていないので

心配しました。

 

レイラにとって、

この都市は見慣れない所で、

ここには、

悪い奴らがたくさんいました。

 

チビッ子は怖れ知らずだからと

カイルはイライラしながら

通りを走りました。

当然、レイラは

博物館にいると思いましたが、

すでに閉館していて、

辺りをくまなく探しても、

レイラは見つかりませんでした。

カイルは、

ますます速く走りました。

 

もしかして道に迷ったのか。

さもなくば、

悪い奴にでも会ったのかと、

考えたくもない恐ろしいことが

脳裏をかすめると

カイルはべったりと

座りこみたくなりました。

 

その時、 博物館通りの端にある

公園広場の噴水台の前に

レイラが立っているのを

発見しました。

驚いたことに、彼女は、

噴水の中央にある像に向かって

コインを投げていました。

 

カイルは、大声でレイラを呼ぶと、

彼女は振り向きました。

人の心を沈めさせておきながら

むしろ、彼女が

戸惑っている表情でした。

 

カイルはレイラに近づくと

ここで何をしているのかと

尋ねました。

しかし、レイラはカイルに

なぜ、ここに来たのか。

試験の準備は?と

逆に質問しました。

 

カイルは、

今、それが問題なのかと抗議すると

レイラの肩をつかんだまま

荒い息を吐き出しました。

 

ようやく息が落ち着くと、

レイラは心配そうな目で、

カイルを気遣い、

少し座ったらどうかと提案しました。

 

今、誰が誰の心配しているのかと

思いながら、カイルは熱い両手で

レイラの顔を包み込みました。

虚ろな笑いが、

ため息のように漏れました。

その時、レイラの目が

少し腫れていることに気づきました。

 

カイルはレイラに

泣いたのかと尋ねると、

彼女は、すぐに否定しました。

しかし、カイルは

レイラが泣いたことを

確信しました。

 

カイルは、

レイラが泣いた理由や、

誰が泣かせたのかと尋ねましたが

レイラは、

ニッコリ笑いながら否定し

そっと彼の手を離しました。

そして、自分は、

ただ博物館を見物して、

公園を散歩して、

願い事をしていたと答えました。

 

レイラが噴水台を指差すと、

人々が噴水台にコインを投げて

願い事をしていました。

 

レイラは、

カイルの医学部合格も願ったと

言うと、彼は、

銅像が持っている水がめを

指しながら、

あそこに入れれば成功のようだと

返事をして笑いました。

 

レイラは、

もちろん入れた。

自分は、こういうのが得意だからと

満足そうな表情で自慢しました。

そして、カイルに

もう夕食の時間なので

お腹が空いているのではないかと

尋ねた後、

もう一つ願い事をして行くと告げると

きらめく金貨を手にして

噴水台の前に近づきました。

 

カイルは驚いて、レイラを追いかけ、

まさか倹約家のレイラが、

あの噴水台に金貨を投げたのかと

尋ねました。

しかし、レイラは、返事の代わりに

力いっぱい金貨を投げました。

しかし、金貨は

水がめの縁にぶつかって

跳ね返ってしまい、

レイラは呆然とした顔で

ため息をつきました。

 

カイルは、

こういうのが得意だと

自慢していたのにと指摘すると、

レイラは、

どうかしてしまったのか。

前のコインは全部入れられたのにと

嘆くと、カイルは、

一体、何枚の金貨を投げたのかと

尋ね、いつもと全く違うレイラの姿に

笑ってしまいました。

そして、自分もやってみると言って

コインを取り出すと、

レイラは真顔でその手をつかみ、

もったいないと言って、

カイルを止めました。

 

彼は、

あそこに金貨を何枚も投げた人の

言うことではないと抗議しましたが

レイラは、

あれは、そうしても良いお金だったと

返事をしました。

カイルは、

そうして良いお金と

そうでないお金があるのかと

尋ねると、レイラは

「ある!」と断固として

答えました。

 

レイラは、

もったいないので投げないで。

むしろ、それで

アイスクリームを買って食べようと

提案しました。

 

ようやく、本物の

レイラ・ルウェリンになったと

言うと、

カイルは肩をすくめながら

コインをポケットに戻しました。 

そして、

断られることを知りながらも

そっと手を差し出しました。

その手を軽く叩いたレイラは、

先に行きました。

カイルは早足でレイラに追いつくと

どんな願い事をしたのかと

尋ねました。

 

レイラは、

ビルおじさんが元気で幸せで、

カイルが大学に合格して、

良い医者になることと、

自分が良い大人になること。

これは全て成功させたと

答えました。

 

カイルは、

失敗した最後の願いについて

尋ねると、

ニコニコしていたレイラの顔が

突然、深刻になり、

それは秘密だと答えて、

身震いするように首を振りました。

 

カイルは問い詰めようとしましたが

陽気に笑うと、

美味しい物を食べよう。

レイラを探すために走り回ったので

お腹がすいて死にそうだと

言いました。



エトマン博士は、

ため息をつきながら

寝室の扉を開けました。

カイルとレイラが試験を受けに

ラッツへ行って以来、

妻はベッドに横になったままでした。

夕食の準備ができたので

出て来るように言っても、妻は

気にしないでと返事をしました。

力のない姿とは異なり、

彼女の声には刃が立っていました。

 

エトマン博士は、

妻の気持ちも理解できると

言いました。

飛び起きて座った妻は、

怒りに満ちた目で、

寛大で慈愛に満ちたエトマン博士は

絶対に理解できないと

反論しました。

 

エトマン博士は、妻もレイラが

好きだったのではないかと

指摘すると、妻は、

自分もレイラがいい子であることは

知っている。

あなたとカイルがいなければ、

自分は永遠に

レイラを好きでいたと答えました。

 

エトマン博士は、

カイルと結婚したからといって

レイラが変わるわけではない。

カイルが心から愛する、その良い子と

結婚することになるだけだと

言いましたが、妻は、

エトマン博士が、

自分を救いようのない俗物だと

思うだろうけれど、彼は、

自分たちの息子の身分を

格下げする結婚を許可したと

抗議しました。

 

エトマン博士は、

世の中は変わっていて、

その身分というものも、

古い時代の価値感になるだろうと

言い返しましたが、妻は、

絶対にそうならないと否定しました。

 

エトマン夫人は、

ベッドから抜け出すと、

数日間、飢えていた人らしからぬ力を

顔に宿しながら、

身分は永遠に消えない。

爵位が消えれば、

他の何かが身分を区別する。

その基準が何であれ、

レイラが、カイルと格が合わない

相手だという事実も

永遠に変わらないと、

冷たい言葉を浴びせると、

エトマン夫人は

夫の横を通り過ぎました。

 

妻の後ろ姿を眺めていた

エトマン博士は、

困った顔で立っている

家政婦に向かって

微かな笑みを浮かべながら。

夕食を片付けるよう指示すると、

静かなため息をつき、

妻の後を追いかけました。

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レイラやマティアスやカイルへの

考察は、皆様が書いてくださると

期待して、私はカイルの母へを

考察を書きたいと思います。

 

カイルの両親のそれぞれの家は

身分的には同程度なのでしょうけれど、

エトマン家が医師の家系で、

それを誇りに思って生きていたのとは

違い、カイル母の実家は、

お金があっても、

身分がないことを卑屈に思っていて

何とかして爵位を得たいと考えていた。

それを目の当たりにしたカイル母も、

エトマン博士が

ヘルハルト公爵家の主治医であることを

足がかりにして、

カイルまたは、カイルの子供に

爵位を得させようと、

必死に貴族とのコネを作って来た。

それが、ようやく実現しようとした時に

カイルはレイラと結婚したがり、

夫も、それを認めてしまった。

そのせいで、貴族の奥方からは

そっぽを向かれ、彼女の努力は

全て無駄になってしまった。

 

どんなに、お金があって、

頭が優秀な家計でも、

平民は平民。

マティアス祖母が

カイルを可愛がっていたから

貴族の娘を紹介してもらえたけれど

それだって、お金に困っている

没落しそうな男爵家の娘程度。

社交界26話の

マティアス母の言葉を見ると

カイル母を、

馬鹿にしているようにも

感じられたので、カイル母は

貴族社界に溶け込めていたようで

実際は、

溶け込めていなかったのだと

思います。

*************************************

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

先週の天気予報で、

今週、また寒波が訪れると聞いて

恐れ慄いています。

どうぞ、皆様、

温かくしてお過ごしくださいね。

私は、お腹と背中にカイロを貼って

防寒対策をしたいと思います。

 

それでは、次回は、

明日、更新いたします。

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