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ハーレムの男たち 1000話 外伝 109話 最終話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 純愛を貫く皇帝

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最終話 1000話 外伝109話 ラティルはどのように、後継者問題を解決するのでしょうか?

◇乳母になる理由◇

やはり、

今すぐ騒ぎを避けるために、

こんなに早く

後継者を決めるものではない。

喧嘩を避けるために、

滅茶苦茶な状態を

招くわけにはいかない。

後継者は、遅過ぎず早過ぎず、

決める方が、まだマシだ。

末っ子が10歳になるまでは

見守らなければならないと思いました。

しかし翌日、乳母がやって来て、

ラティルの決断を一日で

揺るがしました。

 

乳母は、

数ヶ月前の言葉を訂正するのは

本当に恥ずかしいと言いました。

ラティルは、

言ったことを訂正するなんて、

もしかして、プレラの乳母を

もう一度引き受けたいのかと

尋ねました。

 

プレラには、

すでに新しい乳母を見つけていたので

ラティルは当惑しました。

まだ、プレラは、

アイギネス伯爵夫人ほど、

新しい乳母と

仲良くなっていませんでしたが

今は、少しずつ子供が

心を開いているところだと

報告を受けていました。

ところが、アイギネス伯爵夫人が

再びプレラの乳母になると言ったら

子供が混乱するのではないかと

思いました。

しかし、アイギネス伯爵夫人は、

そんなわけがないし、

そうしてはいけないと答えました。

 

ラティルは、

まさか乳母が領地に戻って

過ごすのかと思い、

悲しくなりました。

しかし、ラティルの予測は

今回も違いました。

アイギネス伯爵夫人は、

六人目の子供が生まれたら、

その子の乳母になりたいと

申し出ました。

 

ラティルは、当惑して

乳母を見ました。

もしかして、乳母は

退屈しているのかと尋ねました。

 

乳母は、

ラティルと彼女の子供たちの世話で

いつも忙しく過ごしていました。

ラティルが大きくなって、

子供がいなかった時は、

大して乳母の世話は、

必要なかったけれど、

その時は、宮殿内で

色々な事件が発生したため、

休めませんでした。

もしかしたら、乳母は、

そのせいで忙しく過ごすのに

慣れてしまったのかもしれないと

思いました。

 

しかし、乳母は笑いながら手を振り、

そんなはずがない。

実は、数ヶ月前に

ゲスターに頼まれたと

打ち明けました。

ラティルは、ゲスターが

六番目の乳母になってくれと

頼んだのかと尋ねました。

アイギネス伯爵夫人は、

「はい」と答えました。

 

ラティルは、一瞬、

その言葉を疑いました。

ゲスターは見た目より野心が多く、

頭も良く、策略に富んでいました。

 

ふと、ラティルは、

タッシールが皇配になる前、

乳母がゲスターを推していたことを

思い出しました。

侍従長がラナムンを支持するように、

乳母は、依然として

ゲスターを支持しているのかと

思いました。

 

アイギネス伯爵夫人は、皇帝が

何を考えているのか分かる。

ゲスターやロルド宰相が

自分を利用して

野心を膨らませることを

心配しているのではないかと

尋ねました。

 

ラティルは、それを認めました。

そして、

あまりにも唐突だったけれど

数ヵ月前に提案されたのなら、

乳母も、かなり悩んだ末に

下した決定だろうと言いました。

乳母はため息をつくと、

ラティルの片手を両手で包み込んで

手の甲を軽く叩きました。

 

彼女は、

自分も数ヶ月間、ずっと悩んでいた。

ゲスターが、自分を

六番目の赤ちゃんの乳母にしたいのは

彼の家門が子供を利用できないように

防ぎたいからだと言っていたと

話しました。

 

ラティルは、

その言葉をあまり信じられず

膨れっ面をしました。

乳母は、その表情を見て

笑い出しました。

幼い頃からラティルを見てきた彼女は

ラティルが今、どんな気持ちなのかを

よく見抜くことができました。

 

アイギネス伯爵夫人は、

もっともらしい言葉だし、

正しい言葉でもあると言いました。

 

ラティルは、

メロシーの領主は、ロルド宰相より

はるかに野心的でないのに、

送って来た乳母は、

野心満々な人だった。

ロルド家で乳母を選ぶとしたら

おそらく頭が非常によくて、

積極的で、途轍もない人を

推薦するだろうと話しました。

 

アイギネス伯爵夫人は、

その言葉に同意しました。

そして、

自分が乳母をしていれば、

ロルド家が何を推進しても、

そばで見張って、

止めやすくなると話しました。

 

しかし、ラティルは、

ゲスターが乳母を

連れて行こうとすること自体が

野心かもしれない。

乳母は、かつて自分の乳母で

自分が乳母を

母親のように思っていることを

誰もが知っている。

自分がアイギネス伯爵夫人を

プレラの乳母から

六番目の乳母に変えれば、

人々は、

それを政治的な意図があると

受け取るかもしれない。

すでにプレラとゲスターを巡って

仲がますます悪くなっている

アトラクシー公爵とロルド宰相は、

乳母まで移動すれば、

もう本当に、あからさまに

宿敵になるかもしれないと

心配しました。

 

アイギネス伯爵夫人は、

それで、自分も悩んだ。

けれども、それでもやはり、

自分は六番目の子供の

乳母になった方が良さそうだと

話しました。

それから、乳母はため息をつき、

こんなことを言っていいのか

分からないというように

躊躇っていました。

 

乳母は、

何を言おうとしているのだろうか。

ラティルは、乳母を急かさず、

彼女の手をいじくり回しながら

彼女が話してくれるのを待ちました。

そして、とうとう乳母は

勇気を得たかのように

再び口を開きました。

 

ラナムンは伝説の対抗者。

サーナットは

皇帝を常に守ってきた

近衛騎士団長出身。

カルレインは傭兵王である上、

何度も黒死神団の傭兵たちを

皇帝のために、全力で送ってくれた。

タッシールが皇帝のためにしたことは

一つや二つではないので、

言及する必要もないし、彼は皇配だ。

しかし、ゲスターは、彼も皇帝のために

色々なことをしてくれて、

宮殿と人々を守った。

しかし、彼は黒魔術師で、

避妊薬事件の濡れ衣まで着せられ

最近さらにイメージが悪くなったと

言うと、乳母は涙ぐみながら

ラティルのお腹を見ました。

 

続けて乳母は、

対抗者のラナムンを実父に持つプレラも

特別な能力を持っているという理由で

色々な攻撃を受けているのに、

黒魔術師のゲスターを

実父に持つ六番目の赤ちゃんは、

どれだけ

攻撃されることになるだろうか。

人々が、どのような偏見の目で、

その赤ちゃんを見るだろうか。

それで自分は、

六番目の赤ちゃんの乳母に

なろうとしている。

それでも、社交界の中で、

自分の声はまだ力があるからと

話しました。

 

ラティルは、

考えてもいなかった乳母の言葉に

殴られたような気がしました。

ラティルは、

ロルド宰相とゲスターの野心だけを

考えていましたが、

六番目の赤ちゃんが、最初から

偏見に満ちた目で見られるという

心配はしませんでした。

 

アイギネス伯爵夫人は、

ラティルの負担になることを

心配しているかのように、

明るく笑いながら、

あくまでも、決めるのは

皇帝なので、皇帝が望まなければ、

自分も意地を張らない。

六番目の子供の乳母になれなくても、

自分はいつも皇帝のそばにいると

付け加えました。

 

ラティルは、

半分、間が抜けたような表情で

頷いてから、

乳母の言うとおりだ。

乳母が六番目の子の乳母になってくれと

すぐに答えました。

乳母は、大丈夫かと尋ねました。

◇関係ないこと◇

率直に言って、ラティルは

全く大丈夫ではありませんでした。

ラティルは、

半分、魂が抜けたような状態で

何日も過ごしました。

 

乳母の決定は理解できました。

しかし、

乳母の頼みを聞き入れたことで、

後継者争いが、

さらに激しくなることは

確実になりました。

後継者の決定を、

先送りした方が良いという

自分の決定への確信が消えました。

 

アイギネス伯爵夫人が

六番目の子供の乳母になれば、

後継者争いは、

激しくなることはあっても

収まることはないだろう。

乳母は、

事前に、ロルド家の野心に気づいて

防げると言っているけれど、

どうだろうか。そんなに簡単に、

事を処理できるだろうか?

 

今回は、タッシールに

相談することもできないため、

ラティルは、

さらに途方に暮れました。

 

タッシールが皇配になった後、

ラティルは、

決定しにくいことがあれば

いつも彼と議論しました。

タッシールの並外れた頭と機知は

いつも決定に役立ちました。

 

しかし、タッシールは、

皇配であると同時に

一人の子供の父親でもありました。

ラティルは、

すべての子供の母親である自分と

一人の子供の父親であるタッシールは

少なくとも、後継者の件に関しては

立場が違うだろうと考えました。

それに、これは

子供がいる夫だけの問題では

ありませんでした。

実際、百花は、

ザイシンに子供がいないのに

側室を攻撃しました。

 

ラティルは悩み疲れ、

この件と離れて過ごしている

ギルゴールを訪ねてみました。

彼は温室の中で、

花に水をやりながら

鼻歌を歌っていました。

そして、ラティルを見ると

ニッコリ笑い、

お嬢さんの方が先に来てくれたけれど

自分に怒っているのでは

なかったのかと尋ねました。

 

ラティルは、

急にあなたに会いたくなったからと

答えると、

ギルゴールが育てている

巨大な怪物の花のそばに

しゃがみました。

ギルゴールは、

鼻歌を歌いながら、

頭の形の花に水をやりました。

ラティルは、その様子を見ながら

あなたは一人だけ平和だと呟きました。

 

ギルゴールは、

お嬢さんの頭だけが、

騒いでいるのではないのかと

尋ねました。

ラティルは、それを否定し、

今、後継者問題を巡り、

皆、とても熾烈になっている。

いっそのこと、

自分の頭だけ騒いでいる方が

まだマシだ。

あなただけが平和だと答えました。

 

ギルゴールは、

自分にだけ関係ないことだから

そうなのだろうと、

大したことがないというように

答えると、再び鼻歌を歌いました。

 

ラティルは、

その身勝手な姿に虚しく笑いながらも

それを、

見たくないわけではないと思いました。

自分勝手に振舞ったり、

喧嘩をしたりする時は、

イライラするし、怖いけれど、

それでもラティルは、

ギルゴールが一人で

変わり者のように生きていく姿が

時々、可愛く見えました。

その瞬間、ラティルの頭の中に

ある考えがひらめき、

そうだ。あなたの言うとおりだ。

あなたには関係ないことだと

叫びました。

 

ギルゴールは怪訝そうに

ラティルを振り返り、

自分の言うことが何だって?と

聞き返しました。

ラティルは、

あなたの言うことは全部正しい。

関係ないことなら

気にする必要もないと答えました。

 

ギルゴールは、

珍しい言葉だけれど、

聞いていて気持ちがいいと言いました。

そして、微笑みながら、

怪物の花を折ると、

お嬢さんが、自分に

おべっかを使ってくれたから、

自分もプレゼントをあげると言って

ラティルに花を渡しました。

怪物の花は鋭い歯をむき出しにし、

すぐに、ラティルの手を噛もうとして

頭を振りました。

 

普段なら、

ラティルは絶対に受け取らないけれど

彼女は、すぐに花を受け取り、

ギルゴールの頬にキスまでしました。

そして、今度は、本当に

ギルゴールが役に立った、

ありがとうと、お礼を言いました。

 

「えっ、本気なの?」と

聞き返したギルゴールは、

ラティルの言葉を

理解できませんでした。

しかし、ラティルは、すでに

温室の外へ飛び出していました。

ギルゴールは、

再びジョーロをつかみ、好奇心から

ラティルを追いかけました。

◇普段と違う二人◇

ラティルは、

国務会議室へ走って行きました。

40分後の会議を準備していた

秘書たちは、

皇帝があまりにも早く現れたので、

驚いて彼女を見つめました。

 

秘書の一人がラティルに近づき、

他に指示することがあるのかと

尋ねました。

ラティルは「いいえ!」と

嬉しそうに答えながら

明るく笑いました。

 

皇帝は、あの上から、

彼らを見下ろす恐ろしい人でしたが

彼女が美しいということは

否定できませんでした。

 

秘書は思わず顔を赤らめて

頭を下げました。

しかし、皇帝が握っている花が

狂った獣のように

頭を振るのを見ると、

照れくさくなった気持ちは

一気に消えました。

 

秘書は驚いて後ずさりしました。

そうしているうちに、彼は、

会議室にほとんど来ないギルゴールが

ゆっくりと中に入ってくるのを

発見して、さらに驚きました。

 

さらにギルゴールは、

姿を隠せる柱の横に

椅子を引き寄せて置き、

そこに足を組んで座りました。

 

皇帝もギルゴールも普段とは違う。

秘書は今日の会議で

何かが起こるだろうと直感しました。

◇純愛を貫く皇帝◇

40分後。ロルド宰相とその一派は

プレラ皇女が後継者になる資格を、

今度こそ剥奪するために。

アトラクシー公爵とその一派は

皇女を保護するために。

中立派は、

この混乱を終わらせるために、

そろそろ後継者問題を

真剣に考えなければならないと

皇帝を急かすために

会議室に集まりました。

 

大臣たちは、皇帝が彼らより先に

上座にいるのを見て、

びくびくしながら挨拶しました。

大臣たちは、

皇帝が自分たちの誰よりも先に

来ているのを初めて見ました。

しかも今日、皇帝は

ニコニコ笑っていました。

 

大臣たちは訳が分からず、

背筋がぞっとしました。

大臣たちは、何年も

ラトラシル皇帝を見てきたので、

皇帝があのように笑っている時は、

尋常でないことが

起きるということを知っていました。

彼らは、

 

皇帝にいいことでもあったのか。

 

いいことならまだしも、

自分は、皇帝が

怒るような気がして怖い。

 

ひょっとして、そろそろ後継者を

決めようとしているのではないか。

 

皇帝は後継者を決めるのを、最大限、

延ばしたかったのでないか。

 

と、ひそひそ話しながら、

皇帝を横目で見ました。

しかし、皇帝が、なぜ笑っているのか

誰も分かりませんでした。

 

やがて、侍従長が入って来て、

会議の開始を知らせました。

大臣たちは苛立たしげに

皇帝を見ました。

そうするうちに、大臣たちは、

皇帝がハーレムを宣言する前に、

まさに、

あのような表情をしていたことを、

ふと、思い出しました。

大臣たちは、本能的に不安を覚え、 

会議が始まったのに

口を開くことができませんでした。

彼らは、

かなり気が利くようになっていました。

 

大臣たちが、

死んだようにじっとしていると

結局、ラティルは、

なぜ、今日は皆、

後継者の話やプレラの話をしないのか

分からない。

大臣たちが話を持ち出すのを

待っていたのにと、

先に話を切り出しました。

 

大臣たちは、

怪訝そうに皇帝を見ました。

皇帝が先に、後継者の話を

持ち出したということは、

皇帝が、完全に心を決めたのだろうか。

何ヶ月も、

この問題を引きずって来たので、

そろそろ決めてもいい頃でした。

 

アトラクシー公爵は緊張して

唾を飲み込みました。

ロルド宰相は、この数か月間

ずっとプレラを攻撃して来ました。

そんな中、皇帝が

急に心を決めたようなので、

心配が押し寄せて来ました。

 

アトラクシー公爵の目から見ても、

皇帝が、今すぐ後継者を決めるとは

思えませんでした。

では、皇帝は、プレラだけを

後継者候補から外すことで、

大臣たちを、

落ち着かせようとしているのだろうかと

考えました。

 

アトラクシー公爵は、

拳を握り締めました。

もし、そのようなことになったら

ロルドの孫が生まれるや否や、

自分は全力を尽くして、

その孫が何かをしようとする度に

その前途を妨害してやると

思いました。

 

殺伐とした雰囲気の中で、

ロルド宰相側の大臣の一人は

我慢ができなくなり、

皇帝が、後継者問題に関して

どのような決定を下したのか。

プレラ皇女から、後継者の資格を

剥奪するつもりなのかと尋ねました。

 

ラティルは、

断固として否定しました。

アトラクシー公爵は、

緊張で目一杯膨らんでいた肺が、

ぐっと縮みました。

しかし、続けてラティルが、

六番目の赤ちゃんの養育を、

ゲスターとクライン皇子と

大神官の三人に任せるつもりだと

話すと、アトラクシー公爵は

驚いて腰を抜かしました。

大臣たちも、目を見開きました。

 

ロルド宰相の孫であり

黒魔術師の子供を、

カリセン皇子と大神官に

共同で養育させるつもりだなんて、

それでは、あまりにもその子に

力が集中するのではないか。

まさか、皇帝は、

六人目の赤ちゃんが生まれる前に、

あらかじめ、

後継者に決めるのだろうか。

 

大臣たちは驚愕し、

アトラクシー公爵とロルド宰相を

交互にチラチラ見ました。

ロルド宰相は、

アトラクシー公爵ほど

当惑した表情ではありませんでしたが

大喜びしているわけでもなく、

曖昧に、

目をパチパチさせていました。

 

宰相の側近の一人は、

カリセンの皇子と大神官が、

共同で子供を養育すると、

子供が少し

中途半端に育つのではないか。

カリセン皇子はともかくとして、

ゲスターは黒魔術師で、

大神官は・・・と囁きました。

宰相は

静かにしろという顔をすると

首を横に振りました。

 

実は、側近が

こっそり質問した、それこそ

ラティルが意図したことでした。

 

ゲスターと百花は、

互いに仲が悪くなるしかない

黒魔術師と聖騎士でした。

そして、ゲスターと

ロルド宰相と百花は、

ラティルがするなと言っても、

暗闘をしない人たちでは

ありませんでした。

それでラティルは、最初から、

その二人を一人の子供に

くっ付けることにしたのでした。

 

二人の間で育てば、

子供は黒魔術の方にも神殿の方にも

傾かないだろう。

そして、この二人は、

子供が、神殿や黒魔術の方に

行かないようにするため、

他のことに気を使う余裕が

なくなるだろうと思いました。

けれども、これでも不安なので、

ラティルは、彼らの軋轢を

より緊迫した状態で維持するために

クラインまで

付けることにしたのでした。

 

クラインは、黒魔術師でも

神殿の人でもないけれど、

彼らに負けず劣らず意見を出すし、

意外と自分の考えがしっかりしていて

他人に流されないので、

子供は、この三人の間で、

適度にバランスよく

育つのではないかと考えました。

その上、大神官が一緒に育てれば、

人々は六番目が

黒魔術師の子供だという偏見を

持たないはずでした。

 

アトラクシー公爵の一派も、

後になって皇帝の意図を理解し、

少し安心しました。

しかし、依然として彼らの不安は大きく

六番目の子供一人を、

大神官とゲスターとクラインに

一緒に養育させるのは、

他の子供への待遇と、

あまりにも違うのではないかとか

上に、皇配の子供や、

他の皇子や皇女もいるのに、

一番末っ子の六番目の赤ちゃんにだけ

多くの力が集まったら、

人々が陛下の意図を

誤解しそうで心配だとか

三人が同時に養育するのは、

あまりにも偏向的に思えるので

大神官だけを、

共同養育者に決めたらどうかと

ラティルの言葉に反対し始めました。

 

中立派も、今度は、

アトラクシー公爵側の意見に

賛同しました。

彼らは野心満々なロルド宰相の血筋に

最初から、

多くの力を与えるのは

良くないと心配しました。

 

中立派が注目する子供たちは、

レアンほど賢いという噂が流れる

二番目の皇女と皇配の子供である

四番目の皇子でした。

彼らは、黒魔術師の子供である六番目に

多くの力が集中するのを

望みませんでした。

 

ラティルは、

六番目の赤ちゃんに

養育者を三人付けることにしたのは

大臣たちが、

ゲスターが黒魔術師であることに

ずっと言及しているからだと

説明しました。

しかし、ラティルが断固として

大臣たちの反発を抑えようとしても、

大臣たちはラティルに、

異論を述べ続けました。

 

その姿を見守りながら、

ギルゴールは首を傾げました。

彼は、ラティルが、

たかが、こんな話をするために

嬉しそうに、温室から

ここへ走って来たとは

思えませんでした。

 

大臣たちも、皇帝の言葉に

しきりに反発しながらも、

皇帝が不吉な笑みを浮かべて

始めた会議にしては、

以前ほど驚くことはないと

思いました。

 

その瞬間、

大臣たちの言う通りだという

皇帝の発言に、

彼らは同時に静かになりました。

ラティルの口元に明るい笑みが浮かぶと

大臣たちは、

先程、皇帝が言った言葉は

やはり本論ではなく前置きだったのだと

心の中で思いました。

ラティルは、急に警戒し始めた

大臣たちの表情を見回し、

さらに明るく笑いました。

 

ラティルは、

誤解するといけないので、

前もって、はっきり言っておくけれど

自分は

六人目を後継者にする気はないと

言いました。

その言葉に、

ロルド宰相と彼の一派の表情が

歪みました。

先程は、共同養育を喜ぶべきかどうか

悩んでいましたが、今は、

確実に嫌になるはずでした。

逆に、アトラクシー公爵一派と

中立派は、期待に満ちた目で

皇帝を見ました。

 

それでは、皇帝の考えは?と

聞かれたラティルは、

後継者問題は、長く放っておくと、

子供たちや大臣たちを不安にさせるし

ここ数ヵ月間、

あまりにも騒がしかったので、

自分がこの場ではっきり言っておくと

答えました。

 

大臣たちは固唾を吞んで

待っていると、

自分は後継者を必要としないと

ラティルが告げたので、大臣たちは

唾に咽て、咳き込みました。

大臣たちは驚愕の目で皇帝を見ました。

逆にギルゴールは、

口に手を当てて笑いました。

なぜ、急にありがとうと言って

喜んでいたのかと思ったら、

自分の言葉を、

あのように応用するのだと思いました。

 

侍従長は、

横で静かに話を聞いていましたが

やはり戸惑ったので、

後継者が必要ないというのは

どういう意味なのかと尋ねました。

 

ラティルは、

皆、後継者を置いているので

自分も後継者を置くべきだと思った。

でも考えてみたら、

自分の寿命は、とても長い。

たぶん、大臣たちの孫よりも、

自分の方が長生きするだろう。

それならば、

あえて後継者を決める必要は

ないではないかと答えました。

 

大臣たちは目だけでなく

口も大きく開けました。

彼らは、自分たちの耳で聞きながらも

今、皇帝が何を言っているのか

理解できませんでした。

 

ラティルは、

自分の寿命を知ったら、

皆、驚くのではないかと思って

秘密にしようとしたけれど、

大臣たちが、

必要のない後継者問題に

あまりにも頑張っているので、

その必要はないと、

あらかじめ知らせるのが

効率的だと思って話していると

親切に説明を付け加えると

ニッコリ笑いました。

 

実は、半分は嘘でした。

ラティル自身も、

自分の寿命が非常に長いということを

知っているだけで、

正確に、どの程度なのかは

知りませんでした。

だからこそ、万が一のために、

これまで、後継者を決めることに

ずっと頭を悩ませていました。

しかし、

このような具体的なことまで、

彼らは知らなくてもいい。

彼らは、

ラティル自身の心が決まるまで

ギルゴールの言葉通り、

後継者問題は

彼らとは関係がないという態度を

取れば良いだけでした。

 

大臣たちが生きている間、

皇帝はいつも自分で、

自分は、いつもこの場にいるだろう。

いつか自分が飽きてしまって

皇帝を辞めたとしても、

その時、少なくとも大臣たちは

皆、引退して

いないのではないかと言いました。

 

ラティルが手にしている怪物の花は、

皇帝が人ではないことを

確実に示そうとしているかのように

歯をむき出しにして、

じたばたしていました。

ラティルが意図した

演出ではなかったけれど、

今の状況には、非常に効果的でした。

 

大臣たちは言葉に詰まり、

誰も口を開くことが

できませんでした。

その後、ラティルは、

何気なく国務と関連した会議を

進めていきました。

しかし、大臣たちは、

半分、魂が抜けていて、

会議がどんな内容なのかも

覚えていませんでした。

そして、会議が終わるや否や、

どっと外に出ました。

 

特に、情熱的に

後継者争いに参加していた

アトラクシー公爵とロルド宰相は、

頭が空っぽになっていました。

 

ラティルは後ろを振り返って

椅子に座っている

ギルゴールを見ました。

彼はラティルと目が合うと

ニッコリ笑い、

大臣たちの後に付いて

会議室を出ました。

 

ラティルも肩をすくめて、

振り返りました。

すると、ラティルは

書記官と目が合いました。

ラティルは、振り返っただけで、

何も考えていませんでしたが、

書記官は驚いて立ち上がりました。

 

書記官たちは、

いつも交代で会議に入るけれど、

今日入って来たのは、

よりによってラティルが

ハーレムを宣言した時にいた

書記官でした。

ふと、書記官は、

皇帝が爆弾発言をする度に

自分がそれを記録したので、

記録者として、自分の名前も

一緒に歴史に刻まれるのではないかと

考えました。

 

そして書記官は、

皇帝が自分の方へ近づくと、

先日の皇帝の助言を思い出しながら、

「ラトラシル皇帝は

側室を八人置いており、

皇配とも仲が良く純愛を貫いている。

多くの夫と子供がいるけれど、

後継者争いを未然に防ぎ、

家庭内に完璧な平和を築いた」と

記録すると告げました。

 

書記官は、少し良心が咎めましたが、

この程度なら大丈夫だと

自らを慰めました。

少し美化しただけで、

全く間違った言葉ではないだろうし

皇帝の寿命が、それほど長いなら、

自分が生きている間、

一生、彼女が皇帝なので、

必ず、皇帝によく見えるように

しなければなりませんでした。

 

ラティルは、

笑いが爆発しそうになったのを

かろうじて堪え、

威厳のあるふりをして

書記官の肩を叩くと、

会議室の外に出ました。

 

そうしているうちに、

タッシールが付いて来ないので

振り向くと、彼は、書記官に

純愛を除けば完璧なので、

純愛を貫くというのを

外したらどうだろうか。

よく知っていると思うけれど、

書記官というものは、権力に負けずに

客観的に記録することが重要だと

こっそり忠告していました。

 

タッシールは、

さらに何か言おうとしましたが、

ラティルと目が合うと、目で笑い。

すぐに彼女に近づいて腕を組むと、

このタッシールを

待ってくれていたなんて、

とても嬉しいと言いました。

 

こうなると、困ったのは

書記官だけでした。

書記官は、皇帝と皇配が

手をつないで外に出ると、

気まずそうに

自分の記録を見下ろしました。

純愛を貫く皇帝という評価を

外せということなのかと悩みました。

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とうとう終わってしまいました。

 

劇的な終わり方では

ありませんでしたが、

そもそも、ラティルが

ハーレムを作ったのは、

大臣たちの目を、

後継者問題から逸らすためだったので

お話の最後は、後継者問題を

きちんと解決するという終わり方で

良かったのだと思います。

また、初代ロードの夫である

ギルゴールと、

現在の夫であるタッシールが

トリを飾ったのも、

私的には感慨深いものがありました。

 

今後、ラティルが、

どのくらい生きるのか分かりませんが

彼女は、これからもずっと

タリウムの人々が平和に暮らせるように

全力を尽くし、

他国から助けを求められた時も

応じることで、

タリウム内外から指示され、

大賢者が予言したように、

ラティルは覇王として、

全世界に君臨することに

なるのではないかと思いました。

 

そして、

自分たちだけ死にたくないと

タッシールやラナムンや

ラティルの子供たちや大臣たちが

吸血鬼になったりしたら、

タリウムは壮大な吸血鬼国家に

なるのではないかと

思ったりもしました。

 

お話は終わってしまいましたが

いくつか、謎に思うことが

まだ、残っています。

 

最初に大神官を狙っていたのは

誰だったのか。

ゲスターに利用されたネイトンは

どうなったのか。

アイニとヘウンたち。

そして、アニャとレアンの

その後はどうなったのか。

なぜ、議長とギルゴールが

仲良さそうにしていたのか。

ゲスターが、

アイギネス伯爵夫人を

乳母にしたがっている

本当の理由は何なのか等々。

 

セルの魂の転生はどうなったのかも

謎のままでしたが、何となく、

ラティルの子供に転生するという

フラグが立っていたように感じたので

気にしないことにします。

 

ほぼ三年、ハーレムの男たちの記事を

書いていたので、しばらく、

ハーレムロスに陥りそうですが、

以前の話の内容を、

かなり忘れてしまっていますので

読み返しながら、

マンガと固有名詞が違うものを

修正していくつもりです。

 

ここまで、お読みいただいた皆様。

そしてコメントをくださった皆様に

感謝の気持ちでいっぱいです。

本当に、ありがとうございました。

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