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泣いてみろ、乞うてもいい 31話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 同じ笑顔と同じ言葉

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31話 レイラが投げたコインに託した願い事は?

 

もう1年間、

近衛隊に服務すると言っていた

ヘルハルト公爵が

帰って来るという知らせを聞いた

レイラは、

コインが外れたせいなのかと

思いました。

 

孫が領地の世話をしながら

そばにいてくれることを

願った年老いた老婦人の気持ちを

これ以上、

見過ごすことができなかったようで

彼は、

首都を行き来していた生活を整理し

これからはずっと、

領地に留まるとのことでした。

 

レイラは、

もう、関係ない世界の、

どうでもいいこと。

ただ外れたコインと、

叶わなかった願いが残念なだけだと

思うことにしました。

 

レイラは最後の金貨を投げながら

二度とヘルハルト公爵に

会わないで済むようにと

懇願しました。

 

昨夏、領地を離れた彼は、

一年が過ぎても、

一度も領地を訪れたことがなく

近衛隊の服務が終わる頃までは、

そんな日々が続くと思っていました。

その前にレイラが

アルビスを離れさえすれば、

その願いは叶うはずでした。

 

しばらく

物思いに耽っていたレイラは、

首を横に振りながら

裏庭に出ました。

公爵は戻ってくるけれど、

自分は、ここを

去ることになるだろうから

結局、願いは叶うのかもしれないと

思い直しました。

 

レイラは、

いっそう軽くなった気持ちで

朝の日課を行い、

それが終わる頃、エトマン家から

山鳩のフィービーが戻って来ました。

 

カイルからの手紙には、

彼の母親が、今日の夕食に

レイラを招待したいと言っている。

ほら、レイラ。

自分の言った通りではないかと

書かれていました。

 

心配するレイラに、カイルは、

母親もきっと

レイラを好きになるだろうから、

すべてがうまくいく。

秋が来れば、

自分たちは夫婦になって、

とても幸せに、

大学の校庭を歩いているだろうと

言いました。

 

レイラは、

エトマン夫人に招待されたので、

今日の夕飯はエトマン家で食べて来ると

ビルおじさんに告げました。

 

彼は、カイルのように、

ほら、レイラ。

すべて、うまくいくと

言ったではないかと返事をして

愉快に笑うと、

レイラも、そっと微笑みました。

胸がドキドキするのは

期待感だと信じることにしました。

午後遅く、マティアスを乗せた車が

邸宅の前に止まると、

いつものように、彼は

使用人たちから丁寧な挨拶を受け、

祖母と母は、喜びいっぱいで

微笑んでいました。

 

庭師の前を通り過ぎながら、

マティアスは習慣的に目を伏せると

庭師の足の横に、

小さな足が見えました。

レイラは、いつもビルの隣に

立っていました。

この夏が過ぎれば、これ以上、

そうはならないだろうけれど。

 

マティアスは

庭師の前を通り過ぎると、

再び、ロビーのホールに続く

階段を見ました。

 

昨夏、マティアスが

アルビスを離れる時に持って行った

カナリアの鳥かごを、

使用人が持っているの見たエリーゼ

軽く微笑みながら、

あの鳥も、一緒に帰って来たのか。

子犬一匹、そばに置かなかった

マティアスが、鳥を大事にするなんてと

不思議がりました。

 

祖母も微笑みながら、

鳥の趣味があるのなら、

温室をもっと拡張して

多様な鳥を入れたらどうかと

提案しましたが、

マティアスは、一羽で十分だと

笑顔で答えると、家の中に入りました。

 

彼は、階段を上る前に

巨大なシャンデリアと

その向こうの、高い天井を飾っている

ヘルハルト家の紋章を見上げました。

その紋章の下で、

生まれて、暮らして、目を閉じる。

それは、依然として

息をするように当然のことであり

また息をするように

簡単なことでもありました。

 

視線を落としたマティアスは、

階段を上りました。

今年、除隊するなら、一体、なぜ、

もう一年服務すると言ったのかと

ブラント伯爵夫人は、

あえて苛立ちを隠すことなく、

不平を漏らしました。

 

婚約期間を、もう1年延ばそうと

先に提案したのは、

ヘルハルト公爵の選択を

尊重したからなのに、

事がこうなると分かっていたら、

何があっても、今年の夏が終わる前に

結婚式を挙げていたはずでした。

 

ブラント伯爵夫人は、

マティアスが、

このような気まぐれな男だとは

知らなかったとぼやきました。

しかし、クロディーヌは、少しも

気に病んでいないような表情で

結婚は延期されたけれど、

ヘルハルト公爵が、

早く領地に戻って来たのは

良いことだと言いました。

 

ブラント伯爵夫人は、

クロディーヌは本当に優しい。

自分は、

今年結婚式を挙げられなくて

気を揉んでいると呟きました。

 

クロディーヌは、

気を揉む必要などない。

急いで中途半端な結婚式をするよりは

時間をかけて、

きちんと準備した方いいと

返事をしました。

 

ブラント伯爵夫人は、

1年は長いので、その間に

どんな変化要因があるか、

分からないと心配すると、

クロディーヌは、

とても短くて平穏だった

この1年のように、1年が、

もう一度繰り返されるだけだし

ヘルハルト公爵が領地に留まっていれば

結婚準備も容易だと言いました。

 

ブラント伯爵夫人は、

男は信頼できる存在ではないし、

婚約は結婚のように

確固たる約束ではないと反論すると

クロディーヌは、

彼は生涯、自分自身以外、誰も愛さない

マティアス・フォン・ヘルハルトだと

言って、平然と笑いました。

 

もしレイラと主治医の息子が

結婚するという知らせを

聞いていなかったらクロディーヌも

気になったかもしれないけれど

レイラという変化要因が消えた今、

母親の心配は、

ただの老婆心に過ぎませんでした。

 

彼にとっては、この婚約も

ヘルハルトのプライドなので

それを壊すほどの変化要因が

あるはずがないだろうと

クロディーヌは

きっぱりと言いながら、

刺繍枠を片付けました。

 

子供の頃からマティアスは

いつも優しい冷血漢でした。

他の従兄たちは、

クロディーヌをからかったり

意地悪ないたずらをしたけれど

彼はいつも丁寧で親切でした。

そのため、クロディーヌは

彼のことが、

より遠く、難しく感じられ、

彼には、感情というものが

あるのだろうかと

時々、気になりました。

 

激怒したり、悲しんだり、

喜んだりなど

激情に駆られるマティアスを

想像することができず、

あの男は人生の最後の瞬間まで

ただ傲慢で優雅な笑みを浮かべたまま

世の中を、見下ろしているような

気がしました。

そしてクロディーヌは、

まさに、そのマティアスを

望みました。

 

一層、気持ちが軽くなった

クロディーヌは、

来週中にアルビスを訪問し、

ヘルハルト公爵に会い、

ついでに、

もうすぐ結婚する友達のお祝いをすると

言いました。

 

ブラント伯爵夫人は、

まさか、

あの庭師の所にいる孤児のことを

友達だと言っているのかと

ブラント伯爵夫人は

真顔で驚きましたが、

クロディーヌは、誇らしげに

余裕の笑みを浮かべながら、

レイラは長年の友達なので、

結婚祝いの一つでも、

あげなければならないと言いました。

レイラは悩んだ末に、

ラッツに試験を受けに行く時に買った

白いワンピースを着て、

髪はきれいに三つ編みをして

その先にリボンを結びました。

 

レイラは、まるでエトマン家を、

初めて訪問した時のように

緊張していました。

カイルとの結婚を念頭に置いて、

カイルの母親の招待を

受けた席だと思うと

なおさらでした。

 

部屋を出たレイラは、

真剣な表情でビルの前に立つと

自分の姿をどう思うかと

尋ねました。

 

レイラを見つめたビルは、笑いながら

結婚を前にすると、

今までしたことのない装いを

全部すると、からかいました。

レイラは、

そういうことではなく、

エトマン夫人に会うかと思うと

緊張すると言い返ししました。

 

ビルは、レイラが一度や二度は、

エトマン夫人に会ったことがあると

指摘しました。

レイラは、

それでも今日は特別な席だからと

返事をしました。

 

ビルは、

ケチを付けるところが一つもないので

心配しないように。

ただ、

レイラらしくしていれば十分だと

言うと、

慈愛に満ちた笑みを浮かべ、

笑顔のように温かい手を、

レイラの肩に乗せました。

 

かなり主観的で、

信憑性に欠ける評価だということを

知っていましたが、

レイラは笑いながら頷きました。

少し安心すると、

一日中、不安で焦っていたことを

改めて感じました。

 

その時、カイルが

小屋にやって来ました。

レイラはカイルにも

質問しようとしましたが、

全て言い終える前に、カイルは、

ビルおじさんのように温かい笑顔で

完璧。

ありのままのあなたで十分だ。

自分はそれでいいと言いました。

 

似たような笑顔を浮かべている二人が

似たような言葉を言ったので、

レイラは、

ある男が言ってくれた言葉と

全く同じだと言うと、

つい笑ってしまいました。

 

カイルは驚いて、

誰が言ったのかと尋ねましたが、

ビルは、

無駄口を叩かずに早く行けと

急かして、力いっぱい、

カイルの背中を叩きました。

カイルは、しかめっ面をし

フラフラしながら振り返りました。

そして、

今、どんな馬鹿がレイラを・・・

と尋ねると、ビルは、

その馬鹿は自分だと答えました。

その言葉にカイルが驚くと、

ビルは、

この行儀の悪い食いしん坊に

レイラをあげてもいいのか、

真剣に考え直さなければと、

ぶっきらぼうな口調で話しましたが

カイルの肩を叩くビルの手は

とても優しいものでした。

 

レイラは二人の男が、

抱き合っているのを見ました。

この世で一番愛していて、大切で

守りたい二人でした。

口元に、ゆっくりと笑みが広がると

心が温かくなりました。

 

レイラは二人のいない人生を

想像できませんでした。

長い間、

迷っていた結婚を決心したのは

そのためでした。

 

カイルがプロポーズして、

レイラが断る日々が続くと、

二人の仲は、ますます、

ぎこちなくなっていきました。

カイルの気持ちを

受け入れることができなければ

距離を置くのが

正しいことだったからでした。

 

その距離を縮めようと、

カイルは必死に努力しましたが、

すでにプロポーズした以上、

二人の前には、

結婚するか、他人になるかの

選択肢しかありませんでした。

適当な距離を維持し、

大人になってからも、ずっと

大切な友人でいたかった

レイラの願いは無意味になりました。

 

昨年の秋から今年の春まで、

その事実に心を痛めました。

レイラにとって、

結婚と、カイルの言う未来は

漠然としていました。

適正ラインを越えた欲を出すことに

恐怖を感じました。

しかし、カイルを失わない方法が

それだけなら、

勇気を出してみたいと思いました。

 

ヘルハルト公爵に侮辱され、

号泣した晩春。

彼が残して行った物は

何も欲しくなくて、

金貨を噴水台に投げ入れていた夕方。

彼女を探しに来てくれた

カイルの顔と向き合った瞬間、

悲しくて苦しかった気持ちを

忘れることができました。

暗い森の道を通り抜けると見える

ビルおじさんが待っている家の

暖かい光のようでした。

その光は、

あの森の向こうの世界が与えた

すべての悲しみと傷を

慰めてくれました。

 

いつものように、

カイルとビルの無意味な争いは

愉快な笑いで終わりました。

その笑いの余韻が残った顔で

カイルは、

当たり前のように手を差し出して

レイラに「行こう」と

声をかけました。

 

レイラは躊躇いながら、

その手の先を、そっとつかみました。

静かにレイラを見ていたカイルは

笑いながら、

レイラの手を包み込むように

握りました。

 

今までとは変わった関係が、

まだ、かなりぎこちなくて

恥ずかしかったけれど、

カイルは、失いたくない人なので

レイラは、その手を

振り払いませんでした。

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レイラにとって、カイルは

ビルおじさんのように、

とても大切な人。

彼に対して、恋愛感情はなく、

できれば、ずっと友達でいたかった。

けれども、カイルが

プロポーズしたことで、その関係が

崩れそうになってしまった。

レイラは、子供の頃、母親に捨てられ

父親も死んでしまった。

これ以上、

大切な人を失いたくないと思った

レイラは、

カイルとの結婚を決意した。

 

カイルは優しいし、

心からレイラを愛しているので

カイルと結婚すれば、

レイラは幸せになれると思います。

ビルおじさんも賛成してくれたので、

レイラにとっては、

申し分のない結婚だと思いますが、

なぜか、読んでいて

悲しくなってしまいました。

**************************************

いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

本日、記事をUPできるかどうか

微妙なところでしたので、

前の記事で、

次の更新は月曜日と予告したのですが

記事を書き終えることができたので

UPしました。

次回は、本当に

月曜日に更新いたします。

 

WEBTOON KRに

マンガの39話(博物館のシーン)が

UPされたので、見て来ましたが、

なんと、お話を読み始めるとBGMが

流れるのです。

何となく物悲しくて、

心を揺さぶる音楽が

レイラとマティアスの心情を

表しているようで、

ウルウルしてしまいました。

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