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問題な王子様 38話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ29話 感情の借金

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38話 ビョルンは、エルナが一緒に逃げる相手はパーベルだと指摘しましたが・・・

 

しばらく沈黙していたエルナは、

信じられないという様子で、

王子様はパーベルを知っているのか。

どうして、それを知っているのか。

もしかして、自分が話したのか。

そうでなければ、

まさか、そんな噂が流れているのかと

次から次へと質問を投げかけました。

憚ることがなさそうで、

ただ、この状況への純粋な好奇心が

全てであるかのように

無邪気な顔でした。

 

少し当惑したビョルンは

ハルディさんが言ったと

巧みに嘘をつきました。

エルナは彼から目を逸らすことなく

自分が話したのか、本当かと

何度も何度も質問しました。

気軽に話を切り出すことができず

ぐずぐずしていた時より、

むしろ気兼ねのない態度でした。

 

今になって状況を把握したのか、

エルナは、王子様以外、

まだ誰も知らないですよねと

突然、声を低くして尋ねました。

「おそらく」という

ビョルンの気が進まなそうな返事に

エルナは呆れましたが

安堵のため息をつきました。

エルナは、

良かった。

噂にでもなっていたらどうしようかと

とても心配だったと返事をすると

警戒心を緩めた顔で微笑みました。

 

ひどい体調不良でやつれていて、

父親に殴られたせいで、

傷だらけの顔をしているのに、

一緒に夜逃げをしようとした

恋人のことを話しながら笑う女に

呆れたビョルンが口ごもると

エルナはさらに明るく笑いました。

 

エルナはビョルンに

必ず秘密を守って欲しい。

噂が立つと、

パーベルがとても困るからと

頭まで下げて頼み込みました。

 

脈絡も一貫性もない態度に、

ビョルンは、

一緒に愛の逃避行をすると決心した時に

すでに覚悟していたのではないかと

尋ねました。

その言葉に驚いたエルナは、

まさか、パーベルと自分が、

そんな恥知らずなことをしようとしたと

今、言ったのかと尋ねました。

ビョルンは、

そうではないのかと尋ねると、

エルナは、

パーベルは、バフォードで

幼少期を共に過ごした、

家族のような友人だと、

大変な侮辱でも受けたように

真顔で叫びました。

そして、

愛の逃避行だなんて、とんでもない。

一緒にバーフォードに行こうとしたのは

確かだけれど、

それは借りることにしたお金のため。

大金を持って、一人旅をするのは

危険かもしれないと言って

パーベルが自分を、バーデン家まで

送ってくれることにしただけだと

答えました。

 

お金と聞いたビョルンは

眉を顰めました。

遅ればせながら

ミスに気づいたエルナは、

絶望的な気持ちで唇を噛みました。

どうして、いつもこの男に

恥ずべき部分を

見せてしまうことになるのか。

こんな姿まで見せた間柄で、

プライド云々言うのはおかしいと

分かっているけれど、エルナは

どこかへ消えてしまいたいと

思いました。

 

ビョルンは、

なぜ、パーベル・ロアーから

お金を借りるのかと尋ねると、

斜めに首を傾けてエルナを見ました。

 

ビョルンが眉を顰めると

瞳の色が一層濃くなり、

その目が本当に美しいと思った

真夏の夜の記憶が、

エルナをさらに悲惨にしました。

あの瞬間が最後だったら

良かったのに。

その儚い願いが恥ずかしくなり、

エルナは深く頭を下げました。

 

白いレースのテーブルのクロスの上に

雨と泥水で濡れて

ぐちゃぐちゃになった服と、

痣ができた醜い顔。

来ないパーベルに待ちくたびれて

座り込んでしまったみすぼらしい姿。

自分から垂れた雨粒で、

華やかな馬車を

汚してしまったことなど、

忘れていた恥ずかしい記憶が

浮かんで来ました。 

 

ビョルンは低く沈んだ声で

エルナに答えを催促すると

彼女は、諦めたように

顔を上げました。

 

エルナは、いっそのこと

大胆になろうと思いました。

それが、

心を守る唯一の道だからでした。

 

ビョルンは、

相変わらず、あの夜のように

美しい目でエルナを直視し、

返事を催促しました。

パーベルが、

ちょうど家を出ようとした時、

バーデン男爵夫人と、

涙で顔がびしょ濡れのグレベ夫人が

一緒に訪ねて来ました。

パーベルは彼女に気づくと、驚いて、

「男爵夫人!」と叫びました。

改めて見ても、

間違いなくエルナの祖母でした。

 

パーベルと目が合うと、男爵夫人は、

大変だ。エルナが行方不明になったと

言って、悲しそうに

すすり泣き始めました。

グレベ夫人も一緒に泣き出しました。

 

パーベルは、

まず彼らを応接室に案内しました。

なかなか泣き止まない二人の老婦人は

ここまで来ることになった事情と

ハルディ家を訪ねたこと、

そこで耳にした

青天の霹靂のような知らせについて

たどたどしく説明していきました。

 

警察に通報してから

一日が過ぎたのに、

エルナの髪の毛一本も

見つけられなかったと言うと

バーデン男爵夫人は、

湿ったハンカチで

赤くなった目元を拭いました。

 

そして、バーデン男爵夫人は、

再び、警察署に行ってみた。

パーベルの住所は

警官に教えてもらった。

この都市に、

エルナの知っている人がいるかと

聞かれたので、

パーベルの名前を伝えた。

今夜、警官がパーベルを

訪問すると言っていたけれど

もしかしてパーベルを

困らせたのではないだろうかと

心配しました。

 

パーベルは、

かろうじて声を絞り出して

否定しました。

頭の中が真っ白になり、

喉が絞めつけられるような

気がしました。

 

落石事故が、

なかなか収拾されそうになかったので

パーベルは汽車から降りて

近隣の村へ向かいました。

幸い、駅馬車の会社を見つけましたが

シュベリンへ行く長距離路線は

大雨のため、

すでに運休していました。

 

悩んだパーベルは、まず、

シュベリンに最も近い都市まで行く

駅馬車に乗りました。

そこで馬車を一度乗り換えて

シュべリンに行くつもりでした。

しかし、そこの駅馬車

早くから運休していたため、

再び、計画が拗れてしまいました。

 

気が狂いそうだったけれど、

幸いにもパーベルは、

馬を借りられる駅を見つけました。

天気が悪いという理由で

普段の4倍の値段を要求した

主人の暴利のようなものは

どうでもいいことでした。

怖がって、1人で駅で待っている

エルナを思えば、

どんなことでも、することができたし

しなければなりませんでした。

しかし、結局、この有様で、

パーベルは怒りを堪えながら

拳を握りしめました。

 

シュべリン駅のどこにも

エルナの姿を見つけられず、

喉が裂けるほど名前を呼びながら

隅々まで近隣を探しても同じでした。

 

もしかして、家から

抜け出せなかったのではないか。

もしくは、自分が来なかったので

家に帰ったのではないかと思い

夜が明ける頃になると、パーベルは

むしろ、そうであって欲しいと

祈りたくなりました。

あまりにも静かなハルディ家の雰囲気が

その推測に、

次第に確信を与えてくれました。

もし、エルナが消えたことを

知っていたら、

これほど平穏ではないだろうと

思いました。

 

そして、裏口の前で待っていた

ハルディ家のメイドが、

彼をひどく警戒する目つきで、

お嬢さんは体調が良くなくて

家の中で療養している。

当分は、外出が難しいので、

こんな風に来ないで欲しいと、

彼の推測を確認する言葉を

聞かせてくれました。 

 

その後、メイドは逃げるように

屋敷の中に姿を消しました。

パーベルは、

ようやくまともに息ができ、

エルナが家に帰って良かったと、

信じない神に感謝したくなりました。

 

父親の監視を

受けているかもしれないエルナを

苦境に陥れないために、

パーベルは、まず引き返し、

エルナが頃合いを見計らって

連絡をくれるのを待ちました

しかし、一日、また一日が過ぎても、

エルナから何の音沙汰もなく、

使い走りの少年を通じて手紙を送っても

何の返事も来ませんでした。

 

少し前、3回目の手紙を持って行った

使いの少年が、手ぶらで帰ってくると

パーベルは何かおかしいと、

結論を下すしかありませんでした。

 

ハルディ家の雰囲気は

依然として穏やかでしたが、

エルナには、

何かが起こったに違いない。

それを確認するために家を出る途中

パーベルは、バーデン男爵夫人に

出くわしたのでした。

 

パーベルは、

こんなことも知らなかった自分を

情けない奴だと罵り、

荒くなった息を必死で抑えました。

目の前に、

2人の老婦人がいなかったら、

自分の頭を

かきむしりたい気分でした。

バーデン男爵夫人はパーベルに、

大丈夫かと、

心配そうに尋ねました。

 

パーベルは顔を真っ赤にして

彼女に向き合いました。

話さなければいけないことは

分かっているけれど、

いったいどこからどこまで、

何をどのように話せば良いのか

見当がつきませんでした。

 

エルナは、何があっても

父親にやられたことを、

祖母に話しませんでした。

でも、エルナが行方不明になった今

それが、一体、

何の役に立つのだろうか。

いや、エルナが、本当に

行方不明になったのでなければ?

 

めちゃくちゃに絡み合った

数多くの疑問の中で、

パーベルは、大丈夫だとしか

答えられませんでした。

手に冷や汗が流れました。

 

卑怯にも、今はごまかしたけれど

遅くとも警官に会う前までには

決定を下さなければならないことを

パーベルは知っていました。

長く続いた重苦しい沈黙の後、

ビョルンは、

パーベル・ロアーに借りることにした

お金を、自分があげると、

穏やかな声で言いました。

 

ずっと目を伏せていたエルナは、

ようやく彼を見ました。

わけがわからないと

言っているような顔で、

ぼんやりと彼を見ました。

 

バーデン家の邸宅をめぐって

娘とそのような取引をした

ハルディ子爵は、汚い父親で、

そんな父親に騙され、

この都市にやって来て、

酷い目に遭ったエルナ・ハルディは

可哀想な女でした。

しかし、汚い父親と可哀想な娘の悲劇は

他人が関与できる種類の問題では

ありませんでした。

しかし、どんな形であれ、

ビョルンは彼女を、

さらに哀れにさせるのに

一役買っているので、

それに相応する責任を

負わなければならない義務を

負っていました。

そのすべてを総合して

ビョルンが下した結論はお金でした。

 

今あの女に一番必要なもの。

彼があげられるもの。

そして、自分の気分を汚す債務を

清算できる手段。

どう考えても、それはお金でした。

あの女の賭けで得た賭け金を

あの女に返すことよりも

清々しい後始末は

存在しないだろうと思いました。

 

そして、ビョルンは、

造花を売って借金を返すと

無邪気に話していた女性を思い出し

また借金を負わせるのではない。

貸すのではなく、あげると言って

短く笑いました。

予想通り、エルナは

怪訝そうな表情をしました。

警戒する目つきと、赤くなった頬も、

予想通りでした。

 

エルナが、その理由を尋ねると

ビョルンはため息をつきながら、

しばらく窓の外に視線を向けました。

 

彼はこの女性に、

何も借りたくありませんでした。

特に、感情の借金は、

なおさら嫌でした。

しかし、エルナは

適当な理由でもなければ、

決して、その金を受け取らない

頑固者なので、あの賭けについて

明らかにするしかありませんでした。

 

ビョルンは混乱した頭を整理すると

淡々とした顔で

再びエルナに向き合いました。

ところが、

ビョルンが話し始める瞬間、

フィツ夫人が扉を叩いて、

ビョルンに声をかけました。

彼女らしからぬ、

非常に焦った声でした。

目配せでエルナの了解を求めた

ビョルンは、入室を許可しました。

 

足早に近づいて来た

フィツ夫人の顔からは

隠すことのできない当惑の色が

滲み出ていました。

フィツ夫人は、

シュべリン宮殿から急な連絡が来た。

今すぐ、宮殿に行くように。

国王の命令だと告げました。

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エルナが駅で、

1人で怖がっていると思って

馬を借りるために、

4倍のお金をふっかけられても

全く気にせず、雷雨の中、

パーベルは、必死でシュベリンまで

戻って来たのに、

トンビに油揚げをさらわれたように

エルナを奪われてしまった。

一方、

エルナが夜逃げをしたのを

確認するつもりだけだったビョルンは

大雨のせいで、

パーベルに待ちぼうけを食らった

エルナを助けるという、

棚ぼたのような幸運に恵まれた。

雨さえ降らなければ、

無事にエルナは、

パーベルとバフォードに

戻っていたと思いますが、

仮にそうなったとしても

ビョルンは、何やかや理由を付けて

エルナと関わろうとしたのではないかと

思います。

それに皆様がご指摘されていたように、

パーベルでは、完全にエルナを

ろくでもない父親から

引き離すのは無理だと思います。

 

ここまで頑張ったパーベルに

素敵な恋人が見つかり、

幸せな家庭を築けるよう

願わずにはいられません。

 

ところで、ビョルンは、

エルナと10回も会っていないと

思うのに、

エルナが夜逃げをする相手を

パーベルだと推測したり、

エルナの性格を見抜いていたりと、

これで、エルナのことを

好きではないと言っても

誰も信じないと思います。

**********************************

いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

midy様、kumari様

メロンパン様、DUNE様

サファイア様、キヨキヨ様、

パル様、アイアイ様。

皆様の鋭い考察と感性の素晴らしさに

いつも感服しております。

個別にお返事ができなくて

心苦しいのですが、

いつも、このブログを

盛り上げていただき、

感謝の気持ちでいっぱいです。

まだまだ寒い日が続いていますが

どうぞ、お体ご自愛ください。

 

次回は、明日、更新いたします。

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