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問題な王子様 43話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 31話 妙な態度

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43話 ビョルンはエルナにプロポーズしました。

 

しばらく、茶碗の縁を

鳴らしていたブレンダ・ハルディは

茶碗から立ち上っていた

白い湯気が消える頃、ようやく

お父さんを許して欲しいと

本論を切り出しました。

ぎこちなく上げた唇の先は

痙攣するように

細かく震えていました。

 

ブレンダは、

あの時は、あまりにも

窮地に追い込まれていて、

状況も悪かったことを

知っていたではないかと言い訳をすると

エルナの顔色を窺いました。

じっと見つめるエルナの目つきと表情が

以前と変わらず穏やかなせいで、

妙な緊張感を覚えました。

 

ブレンダは、

エルナの立場からすれば、

悲しいことだっただろうし、

なぜ、その気持ちが

分からなかったのかと弁解しました。

 

しかし、目を伏せて、

ティーテーブルを見回したエルナは

茶が冷めたと、そっと囁きました。

 

ブレンダがびくっとしている間に、

静かに近づいて来たメイドが

冷たい車を片付けて

新しい茶を注ぎました。

陶器のカタカタいう音が、

息詰まるような静寂を

さらに際立たせました。

 

メイドが退くと、

エルナは自分の無礼を謝り、

ブレンダに、

話を続けるよう促しました。

この上なく丁寧な態度でしたが、

その裏に隠された

これ以上、話を聞きたくないという

意味を理解するのは、それほど

難しいことではありませんでした。

 

ブレンダは、

思わず歯を食いしばりましたが

中断させられた話を

あえて続けることは

考えられませんでした。

腹立たしいからといって

来週には、シュベリン大公妃という

この都市最高の貴婦人の座に就く

エルナを、これ以上、以前のように

粗末に扱うことはできませんでした。

 

殴られて家出した田舎者が、

次期王子妃になって帰ってきたという

噂が広まった当初、

ブレンダは、

他の全てのレチェン人と同じように

鼻で笑いました。

あの毒キノコ王子が

とんでもないことをしたとしても、

王室が、その結婚を

受け入れるはずがないからでした。

 

身の程知らずの欲を出して

結婚商売を台無しにした挙句、

とうとう自分の人生まで、

燃え盛る火の中に投げ入れた。

 

世の中の怖さを知らないエルナを

思う存分あざ笑うことで、

目前に迫った破産が与える悲しみを

なだめてみたりもしました。

 

ところが、

国王は快くその結婚を許し、

この秋のうちに、

式を挙げろという命令まで

付け加えました。

 

たかが二か月で、

王子の結婚式を準備するのは

格式と伝統を破ることでしたが

誰も反論することはできませんでした。

この結婚自体が、

とんでもなく破格なので、

今さら、そのようなことを求めるのも

滑稽なことでした。

 

ハルディ一家が衝撃に陥って

茫然自失している間にも、

結婚式の準備は

体系的に進められました。

 

まずビョルンは、

バーデン男爵夫人とエルナを

自分のタウンハウスに住まわせました。

結婚式に関することは、すべて

バーデン男爵夫人に委ねられました。

 

名目上はエルナの両親である

ハルディ夫妻を、

徹底的に排除した仕打ちでしたが

相手は王室なので、

恥辱と悔しさを、じっと我慢して

受け入れる以外に方法が

ありませんでした。

いずれにせよ、エルナが

大公妃に選ばれたおかげで

破産を免れることができました。

 

結婚式は、

一週間後に迫っていました。

あと一週間で、ハルディ家が、

王室の姻戚になることを思えば

今までなかった忍耐心が

強くなりそうでした。

 

ブレンダは、

あれこれ雑談することで

雰囲気を盛り上げ、

エルナの顔色を窺いながら

結婚式の前には、お父さんと

仲直りしなければならない。

バージンロードを

一緒に歩くのだから、

他人行儀なのは困るではないかと

さっと本論を切り出しました。

そして、華やかな笑みの中に、

「あなたは、

ウォルター・ハルディの娘」

という暗示を盛り込むことも

忘れませんでした。

 

それから、ブレンダは

一緒に夕食を食べるのはどうか。

バーデン男爵夫人も

一緒に招待すると誘いましたが、

エルナは、

固くなった両手を握りながら、

今、返事をするのは難しいと思う。

スケジュールを確認してから

もう一度、返事をすると

ゆっくり答えました。

指先が、細く震え始めましたが、

幸いにも、表情と声は

落ち着いたままでいられました。

不満そうな様子が、顔にありありと

浮かんでいましたが、

ハルディ子爵夫人は

素直に受け入れました。

 

ブレンダは、必ず連絡をくれと、

執拗に何度も念を押しました。

エルナはタウンハウスの前まで

ブレンダを見送りました。

 

あの日の夜、

満身創痍になって倒れている自分を

見下ろしていた、

あの軽蔑を含んだ眼差しのことを

考えると、

胸がひんやりする気分でしたが、

つまらない噂を広めたくは

ありませんでした。

 

遠ざかっていくハルディ家の馬車を

眺めていたリサは、

こんなことを言うのは

差し出がましいし、

無礼だということは

分かっているけれど、

子爵夫人は全く恥じ知らずだと

ぶっきらぼうに言いました。

 

エルナは、

困惑した表情を見せましたが

それでもリサの見解を

訂正しないことにしました。

 

リサは、

お嬢様に、あんなことをしておいて

平気で許しを云々するなんて

自分は理解できない。

まさか、簡単に

許すわけではないですよね?

そんなことをしたら、自分は

お嬢様も理解できない。

もちろん理解できなくても

愛しているけれどと、

最後の言葉に、特に力を入れて

言いました。

 

当惑したように

リサを見つめていたエルナは、

しばらくして笑みを浮かべました。

このように

恥ずかしそうに笑う瞬間のお嬢様は

まったく、

この世の人とは思えないほどきれいで

リサの心をくすぐりました。

 

もう大公妃になる人なので、

つまらないメイドのことなど、

すっかり忘れていると思っていたのに

エルナはハルディ家に、

直接リサを迎えに来ました。

 

厄介者扱いされて、

追い出される日だけを

待っていたリサにとって、

その日のお嬢様は、

一筋の救いの光のようでした。

 

エルナは、リサが自分のせいで

たくさん苦労したのではないかと

心配しました。

何を言えばいいのか分からなくて

もたもたしていたリサの頬を

撫でていたエルナの手は、

とても温かいものでした。

そして「ごめんなさい、リサ」という

淡々とした謝罪の言葉が

リサを泣かせました。

 

その日、リサは、

自分より小さい娘の胸に抱かれて

わんわん泣いてしまいました。

醜態を晒していると

分かっていたけれど、

思い通りに涙は止まりませんでした。

エルナは、黙って

リサの震える背中を軽く叩きながら

抱き締めました。

 

一生、お嬢様に従い、愛し

守ってあげなければ。

リサは、再び悲壮な覚悟で

エルナの後を追いました。

無視されていた田舎者から

お嬢様のメイドを経て、

今や大公妃に仕える席まで

上がることになったので、

責任が非常に重いと思いました。

 

その後、リサは、

王子がエルナに会いに来ないことを

指摘しました。

ハルディ家に劣らない強敵、

ビョルン王子を思い出すと

リサの目が決然と輝きました。

 

お嬢様を救ってくれた

白馬に乗った王子様。

その事実だけでも

毒キノコのようだった過去を

全て忘れることにしましたが、

見れば見るほど、

エルナに対する王子の態度が妙でした。

国中を大きく騒がせながら

結婚を敢行するのを見ると、

すっかり、

お嬢様に溺れていそうだけれど

二人の仲はよそよそしいし、

ちょっとやそっとでは

お嬢様に会いに来ないし、

花一輪、手紙一通も、

送って来ることがなく、

絶対に、正常な恋人の姿では

ありませんでした。

 

リサは、熟考の末、

何かが間違っている。

間違っていたとしても、

非常にしっかり間違っていることは

確かだと結論を下しました。

 

エルナは、

明日、会いに行く。

宮殿で昼食を共にすることにしたと

何でもないように微笑んで答えました。

半月ぶりに、

ようやく婚約者に会うのが

異常だという考えなど

全くできないような明るい顔でした。

 

リサは真剣な表情でエルナに向き合い

これではいけないと

警告をするつもりでしたが

実際にエルナを見ると、

その意欲が失せました。

 

すでに十分綺麗だけれど、

自分が美しく飾ってあげると言うと

リサは、

最善を尽くしてみることにしました。

毒キノコ王子が

しっかり惚れてしまうように、

とても美しく飾るという誓いは

秘密にしておくことにしました。

さりげなくリサを見ていたエルナは、

再び無邪気な笑みを浮かべました。

人の気も知らない、

とてもきれいに笑うお嬢様でした。

この酷い奴という一言を残して

レナードはテーブルの上に倒れました。

そのせいでグラスが倒れてしまい

飲み切れなかったブランデーが

こぼれました。

ビョルンは、

空になったグラスを置いて

にっこり笑いました。 

 

床を転がっている空の酒瓶。

その間に散らばっている

意識を完全に失った間抜けども。

笑う者、泣く者、服を脱ぐ者。

 

ビョルンは、この大騒ぎの中で、

鹿の角のトロフィーを

ひったくるように握りしめて

立ち上がりました。

命でも懸けるかのように、

しつこく飲む酒飲みたちを

相手にするために、

ビョルンもやはり、

少なからず酔いましたが、

よろめく体を支えるために

何度も壁に手をついて息を整えながら

無事にクラブを抜け出しました。

二度の独身パーティーだなんて、

酒に酔って鈍った頭で考えても

可笑しいことでした。

 

この情けないことをしたのは、

彼に黄金のトロフィーを捧げた

苦い過去を持つ牡鹿たちでした。

今度こそ、

ビョルン・デナイスタの角を

切ってやると執念を抱いた彼らは、

勝手にトロフィーを作って

独身パーティーを開きました。

 

ビョルンは、

昨夜、クラブを出ようとした時

それを知りました。

たとえ二回目だとしても、

最初の時のような気持ちで始めろと

何ともお粗末な詭弁に

失笑もしませんでした。

それでも、この狂ったことに

参加することになったのは、

この間抜けたちが、あえて彼の名前で

黄金のトロフィーを

注文したためでした。

 

どうせ、トロフィー代は

シュベリン宮殿に請求されるので

そのまま行ったら負けだと

戯言を言いながら請求書を振ったのは

最近、ビョルンに狩られた

牡鹿のベリマンでした。

支払人の欄に書かれた名前は、

呆れたことに本当に彼でした。

常連客である名門家の子弟たちを

過度に信じた工房の主人の呑気さと

間抜けたちの復讐心が合わさって

もたらした、粗雑な詐欺劇でした。

 

彼らが差し出した最初のグラスを

受け入れた時、

ビョルンは適当に飲んで

帰るつもりでした。

あえて自分に

詐欺を働こうとしたことは

腹立たしいけれど、これまで集めた

トロフィーのことを考えれば、

一つくらい、取らずに済ませて

与えてやれないことも

ないからでした。

しかし、

一杯、二杯と飲んでいるうちに

ビョルンは本気になりました。

独身パーティー

二度も開くのはおかしいけれど、

それで敗北するのは

もっとおかしいのではないかと

思いました。

 

結局、両者とも執念を燃やし

牡鹿の夜は

ヒートアップしていきました。

皆、殺気だって、

執拗に襲いかかってきたため、

朝が明けるまで、

勝負は簡単に終わりませんでした。

レナードが、

もう少し持ちこたえていたら、

勝利を断言できない状況でした。

 

クラブの建物を出たビョルンは、

長いため息をつきました。

広場の噴水台を見た瞬間は、

思わずクスクス笑いました。

馬車に乗って目を閉じる瞬間まで

その笑いは間欠的に続きました。

 

もし、あの夜明けに、

エルナが噴水台の前に現れなかったら

多くのことが変わったかもしれないと

ビョルンは目を閉じて考えました。

そして再び目を覚ますと、

馬車は大公邸の玄関前に

止まっていました。

 

馬車から降りるや否や

近づいて来たフィツ夫人は

 「何とまあ。やっと、

こんな姿で戻って来るなんて」と

驚愕して叫びました。

 

うわの空で笑って見せた後、

ふらふら歩いていたビョルンは

ハルディさんが待っているという

フィツ夫人の意外な話で

立ち止まりました。

 

ビョルンは眉を顰めながら、

エルナが、どうしてと

聞き返すと、フィツ夫人は、

今日、婚約者と昼食を共にすることを

約束していたからだと

呆れたように嘆きました。

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あれだけエルナに

酷い仕打ちをしたのだから、

まともな神経をしていれば

ウォルターもブレンダも

エルナの前に顔を出すことすら

恥ずかしくてできないはず。

それなのに、

エルナが大公妃になると分かった途端

甘い汁を吸おうと思って

恥も外聞を捨ててやって来たブレンダ。

おまけにウォルターと一緒に

バージンロードを歩けだなんて

よくも、そんなことが言えるものだと

呆れてしまいます。

似たもの夫婦のウォルターとブレンダ。

この二人の息子は、

一度も登場していませんが、

きっと二人に似て、

ハインツ家の次男みたいに

ろくでもない奴だと思いました。

 

たった二ヶ月で

結婚させることにしたのは

そうすることで、

エルナとビョルンの酷い噂の

一部くらいは、

収めることができるという

王と王妃の狙いがあったのではないかと

思いました。

***********************************

いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

ブログを書く方に必死で、

いつも

この一言で終わらせてしまって

申し訳ありませんが、

皆様がコメント欄を

盛り上げてくださっていることが

本当にありがたく、

私自身も「問題な王子様」に

ますます、のめり込んでいます。

 

DUNE様

お祝いのお言葉を

ありがとうございます。

ハーレムも、

お読みいただいているなんて

とても嬉しいです。

 

メロンパンナちゃん様

コメント一番乗り、

ありがとうございます。

 

midy様

おてもやんがツボにはまりました。

マンガでの

エルナの顔を思い出しながら、

ついつい笑ってしまいました。

金曜日は13:50~20:00頃まで

はてなブログにアクセスしにくい障害が

発生していたようです。

仕事が休みの日は、

ブログを書く大切な日なので(笑)

私もアクセス障害がないことを

願います。

 

kumari様

桜餅と抹茶の差し入れ

ありがとうございます。

 

そういえば、そろそろ

桜餅の季節だよねと考えながら

頭の中で桜餅と抹茶を

思い浮かべていたところ、

はるか遠い昔、修学旅行で行った

東大寺だったかどこかのお寺で

和菓子と抹茶をいただいたことと

小学校の料理クラブで、

ホットケーキミックス

食紅を入れて焼いたものに

あんこを挟んで、

なっちゃって桜餅を作ったのを

思い出しました。

突然、ふっと蘇るのは

嫌な思い出であることが多いので

今日は、幸せな気分になれました。

 

それでは、次回は金曜日に

更新いたします。

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